【食品業者必見】ISO22000内部審査のポイントと業務手順
- ISO22000の認証は食に関わるサプライチェーン全体が対象
- 内部監査では、各業務が規定に準じているか検証することが必要
- 内部監査は外部監査をクリアするための準備と誤解されがちだが、自社内おける業務の有効性の確認が求められる
ISO 22000は、HACCPの内容も取り込んだ全世界の食品衛生管理基準 で食品安全マネジメントシステム に関する規格 です。全ての工程で管理手法を明確にして、食に関わる安全を保証するというのが基本的な考え方になります。
内部監査では、各業務が規定に準じているか検証し、問題のある箇所は不適合として改善や再発防止を確実に図る必要があるのです。
この記事ではHACCPとの違いとISO22000の内部監査について簡単に解説していきます。
ISO22000とHACCP(ハサップ)の違い
HACCP(ハサップ)とは、国際的に用いられている食品の衛生管理手法で、1960年代にアメリカで生まれた、管理・記録システムです。
食品を安全に管理するためのハザード分析と必須管理点に関わるガイドラインとして、製品の規格や特性 、保存方法といった、管理すべき項目を挙げています。
HACCPの目的は製品の安全性と衛生管理にありますが、具体的な基準は示されていません。そのため、各業種や国、自治体などで運用される複数のHACCPが存在しており、世界的な統一基準として用いるのは難しいでしょう。
一方、目的は同じながらも、国際規格であるISO22000には、具体的な管理基準も明記されており、HACCPの内容を包括しながらマネジメントシステムの要素が追加されています。
また、ISO22000の認証は、農業や漁業などの一次産業や食品製造・加工業など食品を扱っている業種にとどまらず、小売業や物流業、レストラン業といった、食に関わるサプライチェーン全体が対象になっています。
ISO22000の内部監査の目的は?
ISO22000は食品安全マネジメントシステムに関する規格です。全ての工程で管理手法を明確にして、食に関わる安全を保証するというのが基本的な考え方です。運用では、前提条件やモニタリングの要否、許容限界の有無といった条件が定義されています。
また、PDCAサイクルに関わる品質 を評価・改善する方法をはじめ、リーダーの役割や権限、計画の立て方や変更方法、人員の 力量 やコミュニケーション方法など、各業務に携わる人に求められる役割なども示されています。
ISO22000の監査には、特に以下のような適合性と有効性 の確認が求められます。
・食品を安全に提供するための手順は正しいか
・各工程で食品の安全を脅かすリスクはないか
・国内外の取引先から出される取引要件に対して不備はないか
・社員に適切な教育を行い、法令を順守(コンプライアンス)するよう推進できているか
・業務効率や想定されるリスクへの継続的な改善を行い、企業価値が向上できているか
・仕事を見える化し業務が円滑に進められているか
ISO22000内部監査のポイント
ISO22000は2018年に改定が行われているため、内部監査を行う際は新しい規格で追加・改定された内容を理解してから準備をはじめましょう。2018年の改定では、マネジメントシステムに関わる用語がISO全体で統一されたことに加え、「リスクと機会」が管理項目として追加されています。
たとえば、下記のようなものがあります。
・食品の製造や提供などの過程で想定されるリスクの管理
・食品の安全が脅かされた場合経営にどう影響するか
・事業を展開していく中で効率などを求めすぎて食品の安全に悪影響はないか
こういった内容を管理していくことになります。
内部監査では、各業務が規定に準じているか検証することが必要です。管理文書の確認だけでなく、「どのように業務を処理、評価しているか」といった内容を担当者に確認する方法も有効です。内部監査員自ら、食品安全に関わるハザードを指摘するように努めましょう。問題のある箇所は不適合とし、改善や再発防止を確実に図る必要があります。
ISO22000内部監査の業務手順
まず、品質管理責任者が年間計画を立て、内部監査員に監査を割り当てます。監査員は、ISO22000の要求事項や、組織のマニュアルが正しく運用されているか項目を確認し、内部監査実施計画書を作成します。必要があればチェックリストを見直しましょう。
内部監査は、チェックリストをもとに行います。食品の安全管理というISO22000の目的を意識して、業務の流れや目標、担当者の役割、力量評価などを確認しましょう。
その際、2018年改訂で追加された「リスクと機会」 の内容を理解し、緊急事態の想定や予防、対策ができているかなども確認して適合、不適合を判断します。
監査後は、内容を内部監査報告書にまとめます。不適合になった箇所については監査報告書とは別に不適合を是正するための指示書を提出しましょう。
提出指示内容を是正内容、監査員により是正内容が適当かを判断するレビューの項目を一覧化しておくと、フォローアップしやすくなります。また、不適合の是正指示書は決められた期間保管しておく必要があります。
まとめ
食品安全のためのマネジメントシステムであるISO22000は、HACCPの内容も取り込んだ世界統一の食品衛生管理基準です。
食品製造業界のほか、食に関わるサプライチェーン全体に認証メリットがあります。
内部監査は外部監査をクリアするための準備と誤解されがちですが、内部監査の場合は規格への適合性はもとより、自社内おける業務の有効性の確認が求められます。
自分たちの業務を見直して問題を発見し、不適合箇所があれば是正を行い改善するために、PDCAサイクルを回していきましょう。
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