ISO22000の内部監査の目的とチェックポイントについて簡単解説

食品安全マネジメントシステム の認証 規格 である ISO 22000を取得するためには、内部監査 を実施する必要があります。この内部監査では、組織の内部の人間やコンサルタントによって組織が構築した食品安全マネジメントシステムの有効性 と規格適合性をチェックしますが、初めて内部監査を行う組織にとっては、「何をチェックすれば良いのか」がわからないと思います。
ということで、今回は、ISO22000における内部監査ではどのようなポイントをチェックすれば良いのかということを解説していきたいと思います。
目次
内部監査とは?
内部監査とは、組織が構築したマネジメントシステムが、ISO22000の要求することを満たしているか、またマネジメントシステムが有効な状態――つまり継続的な改善を行うことができて、方針・目標が達成できる状態にあるかどうかということを組織が自らチェックすることを言います。
内部監査は認証取得の本審査の前に必ず実施するものでありますが、その後にも定期的に実施し、常にマネジメントシステムが適合性と有効性を満たしている状態にあるかをチェックしていく必要があります。

ISO22000の内部監査でのチェックポイント
ISO22000では、以下のようなポイントを内部監査でチェックしていきます。
適合性について
適合性とは、規格の要求事項を満たしているかどうかということを意味します。ISO22000は食品安全マネジメントシステムを構築するためのガイドラインのような役割を持ちます。このガイドラインに沿ってマネジメントシステムが構築されていなければ、それはISO22000規格のマネジメントシステムであるとは言えません。
- 法的要求事項を満たしているか
- 国外と取引を行っている場合は、その国の法令を順守しているか
- 食品安全方針とマネジメントシステムの目標を定め、適切にレビューを行っているか
- リスク及び機会を特定し、それへの取組の計画を決定しているか
- 食品の安全を脅かすリスクは、既に洗い出しており、本当にそれ以外の漏れはないか
- 食品安全方針やマネジメントシステムの目標は組織の構成員に伝達され、目標達成計画は実施しているか
- 前提条件プログラムは実施しており、HACCPシステムの監視記録はできているか
- 仕事のプロセスは見える化されているか
- 食品安全計画は円滑に実行されているか
- 組織の構成員に対して適切な教育は行われているか
- マネジメントシステムの目標は食品安全方針と整合性が取れているか
- マネジメントシステムの目標は測定(判定)可能で、進捗状況は正しく評価を行えるか
- マネジメントレビューを実施しているか
- データ収集の方法は適切か
- 何らかの測定機器によってCCP監視のデータを収集している場合、測定機器の検証はできているか
- 第三者的な目線で、問題点のチェックが可能
- 自社のため、適合性を確認しやすい
- 是正箇所を発見した際に対処しやすい
-
上記のようなポイントをチェックしておくと良いでしょう。
有効性について
有効性とは、マネジメントシステムが「目標を達成する状態にある」ことを言います。目標を達成する状態とは、マネジメントシステムが意図した結果を達成できる状態に運用できているということです。
ISO22000が意図するマネジメントシステムの結果とは、例えば「お客様が安心して口に入れられることができる食品を提供する」といったようなものだけでなく、マネジメントシステムの目標を達成して組織の目的を成就することです。この意図した結果を達成するためには、規格の要求事項を満たすだけでは足りません。事業と統合したマネジメントシステムの運用に真摯に取り組む必要があります。
マネジメントシステムの有効性を確かめるためには、
上記のようなポイントをチェックするようにしましょう。
内部監査でよくある質問とは?
内部監査を行う際には、5W1Hを意識して、ポイントに沿って質問することが大切です。いくつかの例をご紹介します。
適合性について
1.「食品安全リスクを洗い出し、それへの対応の方法を決定しているか」についての質問例
Q「(食品の製造過程におけるリスクの管理方法について)食品の交差汚染を予防し製品を安全に提供するために、どのようにしているか教えてください。」
A「現場において、ルールの見える化を実施しています。ひと目で判別できるように、床に印を付けたり、色の異なる帽子の導入を行っています。」
有効性について
2.「組織の構成員に対して適切な教育は行われているか」についての質問例
Q「いつ、どのように構成員に教育が行われていますか?」
A「毎月一度、テキストを選んで配布して勉強会を実施しています。」
3.「マネジメントレビューを実施しているか」についての質問例
Q「どのように、マネジメントレビューを実施していますか?」
A「経営者の主導で、食品安全のチームからレビュー項目の報告をして実施しています。」
注意点としては、「Yes」「No」で答えられる質問はしないようにし、5W1H特にhow=「どのように」という質問をしましょう。従業員の食品安全への理解度を確認する必要があるため、具体的に回答できる形式で質問することが大切です。

内部監査をするべき理由やメリット
ISO22000を取得するためには、内部監査を行うことが必要です。
内部監査には時間や手間がかかるため、多くの組織にとって悩みのひとつになりやすいポイントとなるかもしれません。内部監査を行う理由や、行うことによるメリットを理解して、自社の食品安全マネジメントシステムをより改善していく足がかりにできると良いでしょう。
内部監査をするべき理由
内部監査は、ISO22000の要求事項「9.2内部監査」で実施を要求されています。
そのため、内部監査を行うことは、ISO22000を取得するうえでは行わなければなりません。
その役割としては、マネジメントシステムのPDCAのCにあたる部分です。築いてきた食品安全マネジメントシステムが有効に機能しているかどうかを自社で確認することが求められています。
内部監査を行うメリット
内部監査は規格要求ではありますが、行うことによって以下のようなメリットが期待できます。
内部監査は、マネジメントシステムの粗を探すために行うわけではありません。自社のマネジメントシステムをより良いものに改善していくために行う評価制度であると押さえておきましょう。
内部監査によって新たなリスクが発見されることも
マネジメントシステム構築段階では発見することができなかったリスクが内部監査によって発見されることもありますし、未来のリスクに気づくこともあるでしょう。こういったリスクについては、是正処置などの取り組みを行うことで継続的改善を目指します。
ISOのマネジメントシステムでは、「現在対応できているか」ということよりも、「継続的に改善していくことができているか」ということが重視されます。こういった規格が本来意図するマネジメントシステムの形についても意識して内部監査を行うことも重要です。
このため、内部監査員はマネジメントシステムの規格の意図について理解を深めておく必要があります。
組織はマネジメントシステム構築段階から、内部監査員を養成していくようにと言われますが、規格にはそういう要求はなく外部の専門家が実施することはより有効です。

ISOプロでは御社に合わせたHACCP・ISO22000取得・運用支援を実施中
ISOプロではHACCP、ISO22000、FSSC22000、JFSなどの各種食品安全規格の認証取得から運用まで幅広くサポートしております。
また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に認証を取得しているお客様においてもご提案しております。ぜひご相談ください。

こんな方に読んでほしい