ISO22000の食品安全目標・食品安全方針とは?
ISO 22000規格 の食品安全マネジメントシステムを構築するにあたって、食品安全方針と食品安全目標というものを決定する必要があります。この食品安全方針と食品安全目標は、ISO22000規格の基幹部分とも呼べる概念ですが、具体的にどのように決定すれば良いのかということがわからない方も多いのではないでしょうか?
ということで、今回はISO22000における食品安全方針と食品安全目標とはどのようなものなのか、またどのように決定すれば良いのかということについて解説していきたいと思います。
食品安全方針とは
食品安全方針とは、食品安全に関する組織が実現したいと考える方針のことで、この食品安全方針を実現するためのマネジメントシステムが食品安全マネジメントシステムです。つまり食品安全マネジメントシステムの意図した成果のことを食品安全方針と呼ぶのです。
食品安全方針は、組織の内外の状況や取引先や顧客からの要求、経営方針などに基づいて決定されるものであるため、「こうでなくてはならない」という規約は特にありませんが、前述のようなことを考慮して決定される必要があります。
食品安全方針は、具体的には以下のようなものがありますので、参考にしてください。
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食品安全目標とは
食品安全目標は、食品安全方針と整合性の取れた組織が達成すべき計測可能な具体的な目標のことです。食品安全目標は食品安全方針を実現するために必要なものであり、食品安全計画を遂行することによって達成されるものです。
細かく言えば、色々なことを考慮すべきですが、大きなポイントは、
- 食品安全目標は計測可能なものである
- 食品安全目標は食品安全方針と整合性が取れた状態にある
- 食品安全目標は達成可能である
これら3つです。
まず、食品安全目標は計測可能でなくてはなりません。なぜなら、食品安全目標はISO22000規格のFSMS において、PDCAサイクルのPの部分に該当するものであるからです。ISO規格のマネジメントシステムはいずれも、PDCAサイクルによる継続的な改善を行うことが要求事項 内で求められていますが、このプランが方針とずれてしまっていては、方針を実現することはできません。また、計画はレビューされる必要があります。「何がうまくいったか」「何がうまくいかなかったか」ということを判断する基準が曖昧では、合理的な決断を組織が行うことはできませんよね? このため、具体的には、「不良品率を10%低減させる」といった具体的な数値を伴う計測可能なものである必要があるのです。
次に、食品安全目標は食品安全計画を実行することで達成できるものである必要があります。ISOのマネジメントシステム規格では、個人の力量頼みの目標を掲げることは望ましくありません。例えば営業というフィールドに置き換えてみると、「A君は過去の実績に基づいて年間1000万円の売上目標を」というのは納得のいく経営判断ですが、「会社の利益が良くないから、A君には達成できないかもしれないけど3000万円なんとか頑張ってもらおう」という経営判断は理想的であるとは言えませんよね? 神頼みにも似た経験と勘、現場任せの組織運営はこのご時世では受け入れられません。――それと同様に、食品安全目標はしっかりと計画を実行すれば達成できるものでなくてはならず、限りなく不確定要素を排除したものであるものが望ましいでしょう。
食品安全方針と食品安全目標の関係について
食品安全方針と食品安全目標は、先にも述べた通り上下関係にあります。食品安全目標を達成することによって食品安全方針として掲げた方針を実現することができ、また食品安全目標は食品安全計画を遂行することによって達成できるものでなければなりません。
もちろん、食品安全目標は必ずしも100%達成できるものにする必要はありませんが、PDCAサイクルのA(改善)の部分でレビュー・振り返りを行う際に「何がいけなかったのか」ということを分析できる必要があります。そして、達成できた目標なのであればP(計画)は適宜チューニングを行うべきです。
このように、P(計画)は方針を達成するためにあるもので、適宜食品安全方針をより高いレベルで達成するためにチューニングされていくべきなのです。
まとめ
今回は、食品安全方針と食品安全目標について解説してきました。これら2つの概念はISO22000の中でも特に重要な概念です。トップマネジメントはこれらの決定によって、組織がどのような方向に進んでいくのかということを慎重に検討し、決定するようにしましょう。
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