【基本】品質保証とは?業務内容や考え方を簡単にわかりやすく解説
- 品質保証とは、顧客が満足できる品質を維持・向上するための「買い手目線」での品質に関する取り組み
- 品質保証は、製品開発プロセスの企画から購入後の顧客対応まで幅広い工程において取り組む必要がある
最近、商品・サービスの品質や安全性に対する社会ニーズは高まり続けています。より高い品質や安全性を目指すために、商品・サービスの製造プロセスだけでなく、企画や開発段階から顧客へのアフターフォローまで注力する品質保証の考えが浸透しています。
そこで、この記事では品質保証の概要や具体的な業務内容、考え方について解説します。
目次
品質保証とは
品質保証(Quality Assurance:QA)とは、「自社の製品・サービスの品質を保つことで、納品後も顧客に安心・満足を保証するために行う活動」のことです。
品質保証では、製造プロセスや商品完成時のみだけでなく、出荷後や納品後においても品質を保証することが特徴です。そのために、保証の根拠となる製造データの収集や調査、顧客へのヒアリング、クレーム対応などを行います。
品質管理との違い
品質保証によく似た言葉に、品質管理があります。
品質管理(Quality Control:QC)とは、「自社の製品・サービスにおける製造プロセスにおいて不良品を出さないための対策や手段を実施する活動」です。
品質保証と品質管理の大きな違いには、以下の3つが挙げられます。
違い | 品質保証 | 品質管理 |
---|---|---|
対象 | 完成後の製品が対象 | これから製造する製品が対象 |
視点 | 「顧客視点」顧客の満足度や安心感につながるかどうかが重視される | 「作り手視点」不良品を出さないかどうかが重視される |
活動範囲 | 企画・構想~顧客対応までの広範囲 | 基本的に製造工程のみ |
つまり、品質管理は品質保証の取り組みの一部として考えられています。
品質保証と品質管理は「相互関係」にある
品質保証と品質管理の概念や対象など異なる点はあるものの、どちらも「品質向上」を目指している点は同じです。そのため、「どちらが良いもしくは悪い」というものではなく、相互関係として取り組むことが求められます。例えば、品質保証の活動により把握した顧客の声を、品質活動を行う製造現場に反映させることで、より高い品質向上につながるでしょう。
このように、2つの活動の相乗効果を狙うことが大切です。「顧客視点」と「作り手視点」の両方から品質向上に取り組むことで、自社ならではの品質の考え方につながります。
【生産プロセス別】品質保証の具体的な業務内容
品質保証では、具体的にどのような業務を行うのでしょうか。ここでは生産プロセスに沿って、品質保証の具体的な業務内容を解説します。
企画フェーズ
商品・サービスを企画する段階では、「どのような商品・サービスをつくるか」もしくは「商品・サービスをどのように改良するか」といった点を検討します。
その際に、市場調査を行い既存顧客の要望やクレームなどを収集し、買い手視点で商品・サービスの提案を行います。
開発・設計フェーズ
商品・サービスを開発・設計する段階では、以下のような内容について確認したうえで仕様書や企画書を作成します。
- 使用する原材料について、原産国や特性などに関するデータから検討する
- 関連する法律や国際規格がある場合には、仕様が基準を超えるように定める
多角的な視野をもって取り組む必要があるため、企画・設計・調達部門といった各セクションと連携しながら取り組むことが大切です。
製造フェーズ
商品・サービスを製造する段階では、原材料の入荷~製品の出荷までにいたる各製造工程における品質管理活動(QC活動)を実施します。
品質の維持・向上に関する問題点がないかどうかを細かく確認するため、製造部門や品質管理部門などの部署との連携を取ることが大切です。
QC活動の詳細は、以下の記事をご覧ください。
また製造後、以下2つの項目において品質チェックを実施します。
- 外観検査:傷や汚れなどの外観に異常がないか
- 機能検査:仕様書どおりに機能するか
最近では、画像認証技術などの検査機器を用いることが一般的です。適した機器を導入することで、品質向上や人手不足解消、業務効率化なども期待できます。不良品の出荷を阻止できる最後の機会となるため、精密な検査を実施しましょう。
顧客サポートフェーズ
出荷後、商品・サービスを購入した顧客を対象に、顧客サポートを実施します。
商品・サービスの保守や保全の提供やトラブル対応、顧客へのヒアリングなどを通じて顧客の声や事例に関するデータを収集・分析。その結果を蓄積することで新たな問題の発見や商品・サービスのさらなる改善へとつなげます。
品質保証におけるポイントとなる考え方
ここでは、品質保証におけるポイントとなる考え方について解説します。
PDCAサイクルを回して継続的に取り組むこと
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」の4つの取り組みを回し続けることで、継続的に改善していくことです。
品質保証の取り組みは、1回では完了しません。「最高の品質」に仕上がったと思っても、技術の進歩や市場の変化などの要因により求められる品質は常に変わります。例えば、今はまだない技術により、より高い品質を目指せるようになるかもしれません。
そのため、品質保証をPDCAサイクルで回し、仕組みとして継続的に取り組むことで、常にその時代に望まれる品質の確保につながるのです。
ファクトコントロールを重視すること
ファクトコントロールとは、「客観的な事実に基づいて判断し、業務を進めること」です。
これまでの日本では「経験や勘」に頼って判断することもありましたが、IT技術が進歩した現代においては、より正確に現状を把握することが可能になりました。
品質保証において、正確な現状把握は非常に重要な要素です。
「経験や勘」に頼った結果、事実と異なっていた場合、品質保証の活動を行うことで顧客の満足度や安心感が低下してしまうかもしれません。
そのため、ファクトコントロールを重視し、客観的な事実に基づいて品質保証を行うことが大切です。
プロセスコントロールを実施すること
プロセスコントロールとは、「仕事のプロセスを管理することで、優れた結果を目指すこと」です。
例えば、不良品が出た際には、どの製造工程で問題が発生したのかを考えるでしょう。きちんと各工程において行われた作業内容や担当者、その工程における基準に達したという証拠などがきちんと管理されていれば、問題点を特定しやすく、改善までスムーズに対応できます。
作業を標準化すること
作業の標準化とは、「作業の質にバラつきが出ないように、作業マニュアル・ルール、作業手順書などを作成し、作業方法や手段を統一すること」です。
複数の従業員が働くため、スキルや経験などにより作業の質にバラつきが出てしまうと、そのまま製品の品質にも影響します。そのため、標準化することですべての製品の品質を均一化することにつながります。
品質保証の実現には、ISO9001の取得がおすすめ
品質保証の実現には、ISO9001の取得がおすすめです。ここでは、ISO9001がなぜ品質保証に適しているかを解説します。
ISO9001とは
そもそもISO規格とは、国際標準化機構という非営利法人が運営している国際規格のことです。ISO規格という世界共通の基準を定めることで、国を越えた取引をスムーズにし、国際貿易の発展を支援することを目的としています。
そうしたISO規格のうち、ISO9001とは「品質マネジメントシステムに関する規格」を指します。
自社商品・サービスの品質向上を目的としていますが、最終的には顧客満足の達成を目標としています。継続的に商品・サービスの提供プロセスを改善する仕組みを運用することで、品質向上につなげます。
またISO9001の特徴として、ただ高品質であれば良いというものではなく、Q(quality:品質)C(cost:価格)D(delivery:納期)バランスを重視することが求められています。というのも、顧客満足の達成が最終的な目標であることから、「いくら良い製品でも高額すぎては購入できない」と感じて満足度が低下してしまう場合もあるでしょう。
このようにISO9001ではQCDバランスを考慮することで、品質向上かつ顧客満足の達成を目指しているのです。
ISO9001の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO9001取得がおすすめの理由
ISO9001が品質保証を強化したい企業におすすめの理由は、先ほど紹介した品質保証の考え方のポイントである「PDCAサイクル」「ファクトコントロール」「プロセスコントロール」「標準化」といった内容を、ISO9001においても重視しているためです。
そのため、品質保証を強化するためにISO9001を取得する企業も多くあります。
また「品質保証を進める際、具体的に何をすべきかわからない」という場合にも、ISO9001の要求事項に「品質維持・向上のための手段や方法」などが示されているため、取り組みのガイドラインとして活用しながら取り組むことが可能です。
つまり、ISO9001要求事項に則って品質マネジメントシステムを構築・運用することで、品質保証に関する体制づくりにつながるのです。
まとめ
この記事では、品質保証の概要や具体的な業務内容、考え方について解説しました。
品質保証とは、商品・サービスの企画・開発から購入後のアフターフォローまでを対象に、商品・サービスの品質を保証するための活動のことです。品質管理が「作り手視点」である一方、品質保証は「顧客視点」で品質向上を目指します。
より広範囲に活動する必要があるため、企画部門や調達部門、製造部門などのさまざまな部門と連携し、消費者が満足できる品質を追求することが求められます。
また、品質保証を強化するには、ISO9001の取得がおすすめです。まずはISO規格のプロであるコンサルタントに取得方法について相談してみてはいかがでしょうか。
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