今回は、要求事項「4.4 品質 マネジメントシステム 及びそのプロセス」についての解説です。

2015年版-要求事項「箇条4.4」の品質マネジメントシステムについての要求は、改正前2008年版では「4 品質マネジメントシステム/4.1一般要求事項」で記載があり、また2015年版になって「プロセスアプローチ」についても細分箇条4.4.1で明記されており、要求事項をプロセスに落とし込む必要があります。プロセスアプローチについては後ほど解説しますが、プロセスアプローチの運用では、一般的に「タートル図 」と呼ばれる分析ツールを使用します。

ISO9001:2015要求事項の内容について

まずは、2015年版-要求事項について下記に掲載しましたので、確認していきましょう。

■箇条4.4

4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
4.4.1組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。組織は,品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また,次の事項を実施しなければならない。

  • a)これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
  • b)これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。
  • c)これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し,適用する。
  • d)これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確実にする。
  • e)これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
  • f)6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
  • g)これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。
  • h)これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

4.4.2組織は,必要な程度まで,次の事項を行わなければならない。

  • a)プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。
  • b)プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

【出典】JIS Q9001:2015(4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス)

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プロセスアプローチについて

品質管理手法を「プロセスアプローチ」と呼びますが、各組織ではプロセスアプローチを用いて顧客満足を向上させ、品質管理マネジメントシステムに適用しています。プロセスアプローチにより、相互に作用するプロセスの関係を管理することで効率良くPDCA サイクルを回すことができ、各プロセスにおける問題点および課題を明確にして継続的に改善することで、組織が意図する効果を得ることが可能になります。また、プロセスアプローチでは「プロセス」単位に運用され、各プロセス(業務)担当者は顧客要求を満たす製品(サービス)品質を考慮しつつ、担当業務の前後の工程も考慮して業務・作業を進めます。

プロセスとは

「プロセス」という用語が度々出てきますが、「プロセス」とは一般的には物事が変化するときの経過や物事が進むときの過程、処理の手続きや単位を意味しますが、品質マネジメントシステムで「プロセス」というと、組織全体的な視点のプロセスから、各部署、各業務、一連の作業1つ1つ全てがプロセスになります。

そこで、プロセスを捉えるときは、まずプロセス概念図を作成するとわかりやすいでしょう。以下に、製造業における組織のマクロ的視点のプロセス概念図例を示します。Input/Outputやプロセスの順序、各プロセスの相互作用について明確にします。

■図解01

プロセス概念図

タートル図の作成

プロセス概念図(上記「図解02」参照)をもとに、プロセスごとにタートル図を作成(図解02参照)し、プロセス情報・人的資源・物理的資源・手法・インプットアウトプット・評価指標である監視測定項目(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標)について記載します。
その際、 ISO 9001:2015要求事項「箇条4.4」が各プロセスに落とし込まれていることが重要です。(「●製造プロセス例」参照)
タートル図作成した後に「箇条4.4」の要求内容が全て満たされているか確認しましょう。

 

■図解02

タートル図例(監視測定項目)

●製造プロセス例

【Input】

  • 調達プロセスで発注した製造作業で使用する部材等の搬入
  • 顧客より貸与された作業手順書や作業指示書、設計図面、支給部品の用意
  • 生産計画書および工程管理表など用意
  • その他、製造作業に必要な文書があれば用意

[要求事項:4.4.1 a)/b)]

【人的資源】

  • 各種生産設備機械を使用する場合、専任のオペレーターを確保
  • 生産設備機械専任オペレーターを除く、製造作業員の確保
  • 製造作業を遂行する上で必要とする教育・訓練の実施

[要求事項:4.4.1 d)]

【物理的資源】

  • 顧客要求に従い、製造に必要な各種設備機械・工具等の確保
  • 顧客要求で清浄度規格に準拠する必要がある場合、要求を満たす環境を用意
  • 設備機械・工具等において精度保証が必要な場合、校正実施、校正有効期限の管理、実施記録および校正書類の保管などが必要)

[要求事項:4.4.1 d)]

【手法】

  • Inputに記載した手順書以外で、参照する関連規定や関連作業手順書等あればこちらに記述します。

【Output】

  • 検査工程で必要な完成製品
  • 製造工程検査票を作成し製品に添付
  • 納品する際に必要な他の書類もあれば作成

[要求事項:4.4.1 a)/b)、4.4.2 ]

【評価指標】

  • 社内不適合率、生産工程進捗状況を確認できる文書、生産性/在庫量なども評価指標となります。

[要求事項:4.4.1 c)/g)/h)/f) 、4.4.2]

【プロセス情報】

  • プロセス名/組織名/プロセス責任者/関連部署/プロセスの説明などについて記載します。

[要求事項:4.4.1 e)]

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