ISO9001における利害関係者とは
ISO 9001は世界標準化機構による品質 マネジメントシステム に関する 規格 でありますから、文化的な側面から私たち日本人にとって分かりにくい用語がいくつか出てきます。その中の一つに「 利害関係者 」というものがあります。
この利害関係者は規格の中で頻繁に出てきますが、特に重要なのが4項の『組織の状況』の部分です。今回は、ISO9001における利害関係者とはどのようなものなのかということについてわかりやすく解説していきたいと思います。
利害関係者とは
利害関係者とは、組織が何らかの形で利害がある人や組織のことを指します。一番わかりやすいものでいうと、「顧客」は組織と利害関係があるといえるでしょう。
しかし組織にとっての利害関係者は非常に多くあります。Public Relationsというアメリカから入ってきた概念では、利害関係者は例えばマスメディア、地方自治体や政府、近隣住民なども利害関係者(ステークホルダー)としてみなされます。他にも以下のような利害関係者が挙げられるでしょう。
- 従業員(エンプロイーリレーション)
- 顧客(カスタマーリレーション)
- 政府や自治体(ガバメントリレーション)
- マスメディア(メディアリレーション)
- 株主(インベスターリレーション)
- 近隣住民
- 学生
- 取引先
列挙すればキリがないほど組織は色々な人々とつながっています。
ISO9001では、その中でも以下のような利害関係者を明確にする必要があると要求事項の中で明記しています。
品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者
JIS Q 9001:2015
ISO9001における利害関係者はどの範囲?
では、品質マネジメントシステムに密接する利害関係者とは誰なのでしょうか?結論から先に申し上げると、以下がそれに該当します。事業内容によっては、官公庁や近隣住民などが利害関係者となることもあり、どこまでが密接に関わるのかということをよく考えてみましょう。
- 顧客
- 従業員
- 外部提供者
ISO9001ではプロセスアプローチ というものを行い、顧客満足を目指しますが、製造する過程において重要な役割を担う組織や人々を品質に密接する利害関係者とみなせば良いのです。
例えば政府や自治体が存在したとしても、(法律による影響は受けるかもしれませんが)品質には対した影響は与えないでしょう。また、マスメディアが存在するからといって、品質が向上したり大きく品質が損なわれたりすることはないと考えられます。
規格が最終的に目指す地点は顧客満足であり、それは品質マネジメントによって管理することができる範囲で達成するべきであるのですから、企業がある程度管理できる範囲の人々を利害関係者としてみなせば良いのです。
外部提供者はどこまでが範囲?
さて、しかしここで一つ問題が出てきます。ーーそれは外部提供者つまり、取引先はどこまで利害関係者としてみなせば良いかということです。例えば「社外の税理士」は取引先ではありますが、品質マネジメントシステムと密接な関わりがあるとは言いにくいですよね?
このため、外部提供者の中でも何らかの業務をアウトソースしている企業や仕入先があれば、それらは利害関係者と見做すべきですが、全ての取引先を利害関係者として見做す必要はありません。
インプットとアウトプットで考えよう
ISO9001は品質を管理するためのマネジメントシステムですから、ある業務において何がインプット されて、何がアウトプットされるのかということをそれぞれモジュール単位で考え、それらが一連のシステムであると見做すべきです。そうすると、そのシステムの中でどこを管理すべきか、あるいはどこまで管理することができるのかということが自ずとみえてくるはずです。
まとめ
今回は、ISO9001における利害関係者というキーワードについてご紹介してきました。利害関係者という概念は、私達日本人は「お金の取引があるところ」という風にとらえてしまいがちですが、諸外国では非常に広い範囲で利害関係者という言葉は使用されています。
こういった文化の違いから規格が読みにくいと感じてしまうかもしれませんが、本質は「顧客満足」を達成するものであると考えれば正解がみえてくるはずです。
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