• 品質保証(QA)は、製品・サービスの性能・機能を保証するために活動すること
  • 品質管理(QC)は、製品・サービスの品質に問題や異常を出さないようにするために活動すること

製造業を中心に浸透している「品質 保証」と「品質管理」ですが、それぞれの違いを明確に理解していますか。実は、その定義や活動内容は異なります。それぞれについて理解を深めることで、より高品質な製品・サービスの製造や提供ができる可能性があります。

そこで、この記事では品質保証と品質管理、それぞれの概要や活動内容、違いについて解説します。

品質保証(QA)とは


品質保証とは、製品・サービスの性能や機能を保証するための活動のことです。品質保証の基準として、国内規格や国際規格を取得する企業が多くあります。

たとえば、国内規格であれば日本産業規格(JIS)や電気用法安全法(PSE)、国際規格であればISO 9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)が代表的です。

品質保証(QA)の主な活動内容

品質保証のために、企業はどのような活動を実施しているのでしょうか。
品質保証では、製品の企画~顧客のアフターフォローまで一貫した品質管理を実施します。また、製造工程における品質管理だけでなく、企画や開発段階からユーザー視点のニーズやコストパフォーマンスについても重視して取り組むことで、高品質な製品の提供を実現します。

以下に、製品の各製造プロセスにおける品質保証の主な活動についてまとめました。

1.企画

製品の企画がはじまったら、顧客ニーズを調査・分析します。正確に顧客ニーズを把握することで、求められる品質を満たす製品を企画できます。

2.設計

高品質な製品を提供するには、不良品が発生しにくい設計をすることが不可欠です。また、ISO規格などから品質基準についても策定します。

3.原材料の調達

設計後は、品質に優れた材料を調達します。安全性や信頼性を担保できる原材料や食料品を選びます。

4.生産~出荷

生産~出荷までの各工程において管理を実施。品質保証のために、品質検査や内部監査を行い、ルールやマニュアルが機能していない場合には原因の解明と対策を講じます。不適合品チェックに通過したもののみを出荷します。

5.市場調査

製品・サービスが販売されたら、購入者の反応や評価をヒアリング。顧客満足度について調査・分析します。次回の新製品開発や製品リニューアルに役立てます。

6.顧客対応・リコール

カスタマーセンターを設置したり、取扱説明書を作成したりして、顧客対応を行います。製品に不具合が出てしまった場合には、迅速に回収業務を行うこともあります。

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品質管理(QC)とは

品質管理とは、製品・サービスの品質に問題がないかを製造プロセスの段階から確認する活動のことです。
QCサークル活動やQC活動と呼ばれることもあり、日本においてはトヨタ自動車の活動が中心となって多くの製造業で取り入れられるようになりました。

品質管理の詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:QCとは?概要やメリット・デメリット、進め方を解説

品質管理(QC)の主な活動内容

品質管理を行う際、QCサークルという少人数のサークルをつくることが一般的です。主な活動内容は、製造工程にある問題を洗い出し、対策を実施します。

そのため、品質管理における活動は「部品の検査」「機械の調整」「品質異常があった際の原因究明と改善」「社員への品質教育の実施」など、製造工程で実施されます。そのため、現場の社員がサークルメンバーとともに、他部署や他工程のスタッフとコミュニケーションを取って活動することが重要です。

品質管理の主な活動内容は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:QCサークル活動の5つの進め方!成功のポイントを解説

品質保証(QA)と品質管理(QC)の違い


それでは、品質保証(QA)と品質管理(QC)はどのような違いがあるのでしょうか。ここでは両者の違いを以下の3つの観点から解説します。

責任

品質保証(QA)と品質管理(QC)は、「責任を負う場所」が異なります。
品質保証は「ユーザー視点」で品質を改善するため、製品の企画や出荷後の製品の品質にも責任を負います。
一方、品質管理は「現場の作り手視点」で品質を改善するため、製品の生産から出荷までの品質に責任を負います。

時間軸

品質保証(QA)と品質管理(QC)は、「管理する時間」が異なります。
品質保証は、製品企画から販売後のアフターフォローまでかかるため、非常に長い時間をかけて製品の品質に携わります。
一方、品質管理は製造工程ごとに管理を実施します。そのため、長くても製品の完成まで携わることとなります。

業務範囲

品質保証(QA)と品質管理(QC)は、「業務範囲」が異なります。
ここまで、責任と時間軸において解説しましたが、どちらにおいても品質保証の方が広い範囲の業務を行うと解説しました。そのため、担当する業務範囲も広くなっています。

そのため、品質管理は基本的に製造に関わる従業員がサークルメンバーの一員として活動します。一方、品質保証の場合には工場に駐在して生産~出荷までを管理する担当者と、本社に駐在して製品のトラブルや顧客対応を実施したり、工場への指示出しを行ったりする担当者に分けられることが一般的です。

つまり、品質管理は品質保証の業務の一つでもあるのです。そのため、最近では品質保証に品質管理が包括されているという見方もあります。

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QAとQCどちらにも役立つ規格がISO9001

ISO9001は品質マネジメントシステムに関する国際規格のことです。品質保証において、品質基準の一つとして多くの企業が取得し、運用しています。

IO9001は製品・サービスの品質を向上することを目指していますが、最終的には顧客満足を達成することが目標としています。そのため、品質のみならず、価格・納期とのバランスを重視した顧客対応を行う品質管理の体制を構築・運用します。

ISO9001の概要は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:ISO9001とはなにか?導入企業や他の規格との違いを徹底解説!

ISO9001取得のメリット

ISO9001を取得することで、以下のようなメリットを得られます。

  • 公共事業の入札加点や参加条件を満たせる
  • 取引先が拡大する
  • 取引先や顧客から信頼を得られる
  • 業務効率化につながる
  • 従業員の品質に対する意識が向上する

ISO9001は、国際的な基準となっている規格です。そのため、取得することで、自社の製品・サービスの品質管理体制の質を担保してくれます。公共事業や取引先の中には、ISO9001の取得により、スムーズな契約につながる場合もあります。

自社の内外部において、さまざまなメリットが得られることから、多くの製造業や建築業で取得が進んでいます。

ISO9001の取得方法

ISO9001の取得方法には、自社社員だけで取得する「自社取得」とプロのコンサルに取得サポートを依頼する「コンサル取得」の2つがあります。

多くの企業がコンサルティング業者に依頼して、ISO9001を取得しています。というのも、ISO9001を取得するには、ISO9001の示す要求事項を満たすマネジメントシステムを構築・運用しなければならないためです。ノウハウや経験のない社員だけで要求事項を満たそうとしても、相当な時間や労力、人件費がかかります。また、自社の実情に適した品質マネジメントシステムを構築することも難しいでしょう。

そのため、ISO9001に精通している社員がいない場合には、経験豊富なコンサルに依頼することがおすすめです。

以下の記事で、自社取得した場合とコンサル取得した場合を比較していますので、参考にしてください。

関連記事:ISO取得の流れを「自社取得」と「コンサル取得」を徹底比較

まとめ

この記事では、品質保証(QA)と品質管理(QC)の概要やそれぞれの違いについて解説しました。

製造業において、品質保証と品質管理を行い、自社の製品・サービスの品質を高めることは非常に重要です。継続することで、取引先や顧客からの信頼を得られるでしょう。

両者の視点を明確に区分したうえで、意識して取り組むことで、より品質の向上が期待できます。

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