ISO9001における顧客とは?
ISO 9001では、「顧客満足」というものを最終目標として品質マネジメントシステムを構築していきます。しかし、そもそも顧客とは誰のことを指すのでしょうか?
今回は、ISO9001の中でも最も重要なキーワードである「顧客」について改めて解説していきたいと思います。
顧客とは?
「顧客」といえば、私達が日常的に「お客様」と呼ぶような人が顧客であると考えてしまいがちです。しかしその認識は品質マネジメントシステムでも正しい捉え方なのでしょうか?
ISO9000では、顧客は以下のように定義されています。
製品を受け取る組織もしくは人
【出典】JIS Q9000:2006(3.3.5 顧客)
確かに、飲食店のような事業で考えた場合、製品を受け取る人はご来店いただいたお客様ですから、ここで言う「顧客」は消費者という一種類の相手にたどり着くことができます。
しかし他のビジネススキームでは、自社の製品を購入してくれる人が必ずしも「お客様」となるかどうかはわかりません。例えば、製造業の場合は製造した商品を販売代理店や卸業者に購入してもらいますが、実際にその製品を利用するエンドユーザーは一般消費者であるかもしれません。
この場合、「顧客」は複数種類いることになります。
この中で製造業者は直接販売する相手を顧客とみなすか、それともエンドユーザーである一般消費者を顧客とするか迷ってしまうかもしれません。
もっとわかりやすい例でいうと、オレンジジュースのペットボトルを製造する事業を行っていたとします。ペットボトルを利用するのは、実際にオレンジジュースを消費することが想定される一般消費者ですが、ペットボトルは飲料品メーカーが購入することになると思います。——この場合、ペットボトルを製造する事業者は誰を顧客とみなせば良いのでしょうか?
内部顧客と外部顧客
ここで出てくる考え方として、内部顧客と外部顧客というものがあります。内部顧客とは、供給ルート(サプライチェーン)の中で、ある製造工程の引き継ぐ担当者や組織のことを指します。先程のペットボトルの例でいうと、「オレンジジュース」という最終的な製品を製造するためには、「ペットボトルをつくる」→「オレンジジュースを注ぐ」という工程が必要になります。つまり、ペットボトルを製造する人から見ると、次の工程であるオレンジジュースを注ぐ工程を担当する人や組織が内部顧客とみなせるわけです。
一方の外部顧客は、一般的に顧客とみなされる、その製品を最終的に受け取り、消費する人たちのことを言います。ペットボトルの例でいうと、オレンジジュースを最終的に飲む人たちのことです。
つまり、サプライチェーンという大きいくくりで見れば、エンドユーザーこそが「顧客」ということになりますが、企業や組織単位で見ると、飲料メーカーが顧客ということになるのです。
ISO9001では、どちらを顧客と呼ぶのか
ISO9000では、「顧客は、組織の内部又は外部のいずれでもあり得る」と定義されています。しかし、品質マネジメントシステムをサプライチェーン全体に適用することはほとんどのケースでは無いでしょう。
なぜなら、品質マネジメントシステムを行うためには、製造工程を管理する必要がありますが、ペットボトルの製造を行う事業者が、飲料メーカーの製造工程まで管理することはまず考えられないからです。このため、通常は「顧客」は実際に製品の販売を行う相手——つまり飲料メーカーが顧客であると考えるのが正しいでしょう。
自社の状況に合わせて顧客は決定しよう
結論として、誰を顧客とみなすかどうかは、以下のようなことと共に考えるのが良いでしょう。
QMSの適用範囲
品質マネジメントシステム(QMS)をどの範囲に適用させるのかということによって顧客を考えてみましょう。サプライチェーン全体を通してQMSを適用する場合はエンドユーザーが顧客となりますが、事業所単位でQMSを適用する場合は製品を購入する組織が顧客ということになります。
トップマネジメント
そのQMSのトップマネジメントはどこになるのかについても考えてみましょう。
品質方針
品質方針は、そのQMS適用範囲全体をカバーするにふさわしいものなのかどうかを考えてみましょう。
品質の継続的改善が可能かどうか
品質を改善するために顧客からのフィードバックを回収し、それをマネジメントシステムに反映していくことができるかどうかを考えましょう。
ISOプロでは月額4万円から御社に合わせたISO運用を実施中
ISOプロではISO各種の認証取得から運用まで幅広くサポートしております。
また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に認証を取得しているお客様においてもご提案しております。
サポート料金においても新プランを用意し、業界最安級の月額4万円からご利用いただけます。
こんな方に読んでほしい