品質を守るためのISO9001「7.2力量」とは
品質
マネジメントシステム
を運用するためのリソースに「人的資源」があります。
事業は人的資源の確保から始まり、事業目標を達成するための職務能力の洗い出しがとても重要になります。事業を品質マネジメントシステムに絡めて運用する場合には、要員の職務能力に対する要求事項「
ISO
9001:2015 7.2
力量
」に適合しなければなりません。
そこで、今回は
ISO9001
の要求事項「7.2力量管理」について解説します。
「7.2 力量」の規格要求事項の解説
まずは、ISO規格「7.2 力量」の要求事項を確認しましょう。
Q 9001:2015 (ISO 9001:2015)
7.2 力量
組織は,次の事項を行わなければならない。
- a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
- b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
- c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
- d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。
【Q 9000:2015 (ISO 9000:2015)-2.2.5.3 力量】
2.2.5.3 力量 全ての従業員が,各自の役割及び責任を果たすために必要な技能,訓練,教育及び経験を理解し,これを適用したとき,QMSは最も効果的なものとなる。これらの必要な力量を身に付ける機会を人々に与えることは,トップマネジメントの責任である。
a)について
a)の要求事項に「品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性 」、「その管理下で行う人(又は人々)」とあります。これは、具体的には、品質目標を達成するための運用プロセスを効率性良く実施、並びに製品及びサービスの要求事項を満たすために必要な要員の職務能力を明確にしなければならないということです。
プロセスのパフォーマンスや製品/サービスの適合性に影響を与える業務は企業・部門によって異なります。個々の業務に必要な要員の職務能力を洗い出し、各プロセスで成果を得られるよう職務能力を持った要員を確実に割り当てるために職務能力を明確にします。
b)について
「適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする」とあります。言い換えると、業務で必要とする要員の職務能力は明確にしたものの、各要員が業務に活かせる、どのような職務能力を持っているかを明確にしなければ、適切にリソースを割り当てることはできません。一般的には、要員の職務能力(力量)は、学歴や教育歴・指導歴、職業訓練歴、社会活動や所属団体などの情報や、人格・コミュニケーション力なども考慮して評価し、調達した要員が必要とする力量を持っているか確認します。
c)について
c)の「該当する場合」とは、「要員の力量が不十分である場合」を意味し、「力量」を充足する方法としてQ 9000:2015 (ISO 9000:2015)の[2.2.5.3 力量]では、全ての従業員は、各自の役割及び責任を果たすために必要な技能・訓練・教育及び経験を身に付けるための機会を与えられ、部門長はその効果を確認するものとしています。適切な要員の教育・訓練計画を立て、予定通りに計画が実施され、その成果を確認します。なお、成果が乏しい場合は、要員の成長に合わせて適切に計画を見直し、継続的に教育・訓練を実施します。
d)について
d)では、力量を評価した際の結果(記録)を保管するよう要求したものです。また、監査などでは、力量評価記録と合わせて下記の記録も確認します。
力量評価基準では、業界・組織によって評価基準(評価内容・評価レベル)は異なりますが、企業情報漏洩問題を抱える現代においては、要員の人格について詳細な性格分析まで行い、評価するケースが増えています。
≪力量評価記録と関連する記録≫
- -力量評価記録
- -力量評価基準
- -要員の教育・訓練計画および計画の実施記録
要員の調達条件
新規事業でも、既存事業でも、事業目標を達成するためには要員計画(見直し含む)や部門に所属する従業員の職務能力の把握・育成が必要不可欠です。要員計画を立てる際には、まずは業務を遂行する上で必要な職務能力を洗い出し、下記要員の調達条件を検討します。
≪調達条件≫
- 要員の人数・・・必要とする人数。なお、時期によって特にリソースを増やしたいときもあります。
詳細な事業計画に基づき、特記事項も考慮して要員の人数を算出します。 - 要員の調達先・・・組織内部だけで調整・調達できるのか、調達に不安があるときは外部への委託も検討します。
- 職務能力(力量)・・・業務/作業で必要とする熟練度や有資格者など確認します。
- 教育の必要性・・・業務/作業を行うのに熟練度が不足している場合、教育・訓練が必要です。
業務を遂行する上で必要とする力量が不足する場合、事前/継続的に教育・訓練を実施します。 - 人格・・・業務や作業を継続して担当するには、適性も大切なポイントとなります。
適性に欠ける要員を担当にしてしまうと強いストレスを与えることになり、モチベーションの低下による怪我や周囲とのコミュニケーショントラブル、進捗率への影響など業務に支障が出ることもあります。 - その他・・・英語力など外国語のスキルが必要な場合もあります。
事業・業務が目標とする成果を得られるよう業務全体を捉え、業務遂行に必要な人材をバランスよく確保することも大切です。
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