海外におけるISO9001の動向について
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最終更新日: 2019年10月23日
国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001。日本国内では、公共案件の入札加点対象であったりするため建設業や建築業を中心に取得されていますが、海外ではどのような状況にあるのでしょうか?
製造業などで海外進出を検討しているような場合には、「ISO9001を取得することで有利に働くのか?」ということは知っておきたいですよね。——ということで、今回はISO9001が海外ではどのような評価を受けていて、どれくらいの企業が取得しているのかということについてご紹介していきましょう。
ISO9001とは
ISO9001は国際標準化機構(ISO)による品質マネジメントシステムに対する規格です。ISO9001は徹底的な顧客満足を追求した規格となっており、製品やサービスの品質向上に役立つマネジメントシステムとして国内外から高い評価を受けています。
2018年時点のISOの発表では、日本では34,335件、ISO9001の認証が発行されており、これは世界第4位の認証取得数となっています。
海外の企業はどれくらい取得しているのか
では、そんなISO9001は海外ではどれくらいの企業が取得しているのでしょうか。以下の表をチェックしてみましょう。
中国 | 295,703 |
イタリア | 87,794 |
ドイツ | 47,482 |
日本 | 34,335 |
インド | 31,795 |
スペイン | 29,562 |
イギリス | 26,434 |
アメリカ | 21,848 |
フランス | 21,095 |
ブラジル | 16,351 |
韓国 | 14,123 |
チェコ | 11,740 |
ポーランド | 11,294 |
コロンビア | 10,027 |
マレーシア | 9,558 |
ルーマニア | 9,299 |
台湾 | 8,553 |
タイ | 8,401 |
トルコ | 7,988 |
イスラエル | 7,845 |
引用:ISO Survey 2018 results – Number of certificates and sites per country and the number of sector overall Functions – ISO
この表から、比較的製造業で海外への輸出を行っている企業が多いことがわかります。急成長を遂げている中国では高い評価を受けていることが伺えます。一方でアメリカやイギリスではそれほど認証を取得している企業は多くないことがわかります。
中国に関しては単純に人口が多いため、取得企業数も多いといえます。一方でモノづくり企業の多いインドでは意外にも認証取得企業数はそれほど多くない印象を受けますね。
一方の日本は「取得企業が多い」と感じるかもしれませんが、これは日本の産業構造上、中小企業が多いということが原因でしょう。聞いたことがあるかもしれませんが、アメリカなどでは人口の半分以上が大企業務めだと言われています。これは日本とは真逆の産業構造ですね。このため、人口と比較して企業母数が多いということが取得企業数の多い原因であると考えられるのです。
——各国の産業構造の違いはあるものの、モノづくりではなく情報通信やITが進んでいる国では取得される傾向が少ないイメージでしょうか。
ちなみに、ISO9001とセットで認証取得されることが多い環境マネジメントシステムの認証規格であるISO14001は、以下のような結果になっています。
中国 | 136,715 |
日本 | 19,131 |
イタリア | 15,118 |
スペイン | 12,198 |
イギリス | 11,201 |
ドイツ | 8,028 |
インド | 7,374 |
フランス | 6,084 |
韓国 | 5,777 |
ルーマニア | 4,553 |
環境マネジメントシステムに関しては、ヨーロッパ諸国の企業のほうが積極的に取り組んでいる印象がありますが、CSR(企業の社会的責任)という考え方が浸透しているヨーロッパでは逆に認証取得をするほどのものでもないということなのかもしれません。
ISO9001は海外進出に効果的なのか?
さて、意外にも海外の認証取得企業数が少ないため、「マーケティング的なメリットがあるのか?」ということに疑問を感じてしまいますが、今や世界一の経済大国となった中国でISO9001の認証取得が積極的にされている点を見れば、価値があると考えても良いでしょう。——ただし、その他の国への市場拡大を目指すのであれば、無理をしてまでISO9001の認証を取得する必要がないこともあるかもしれません。
意義のあるISO9001に取り組もう
そもそもですが、ISO9001の規格は品質マネジメントシステムを継続的に改善するためにある規格です。それがいつの間にかマーケティング的なメリットばかりに目が移ってしまっているケースはよく聞く話です。しかし、このように目的と手段が逆転してしまっている状態では「意味のある品質マネジメントシステム」は構築できなくなってしまい、ISOが逆に重荷になってしまうこともあります。
世界という市場でISO9001の認証は有利に働くことに間違いはないのですが、パフォーマンスを落としてまで認証取得に踏み切らないほうが良いと考えられるのです。
自社にとってISO9001が本当に意味のある品質マネジメントシステム規格なのかどうかは、よく検討してみましょう。
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