国際的な品質 マネジメントシステム規格であるISO9001。日本国内では、公共案件の入札加点対象であったりするため建設業や、大手企業からの要請で製造業を中心に取得されていますが、海外ではどのような状況にあるのでしょうか?

製造業などで海外進出を検討しているような場合には、「ISO9001を取得することで有利に働くのか?」ということは知っておきたいですよね。——ということで、今回はISO9001が海外ではどのような評価を受けていて、どれくらいの企業が取得しているのかということについてご紹介していきましょう。

ISO9001とは

ISO9001は国際標準化機構 (ISO)による品質マネジメントシステムに対する規格です。ISO9001は徹底的な顧客満足を追求した規格となっており、製品やサービスの品質向上に役立つマネジメントシステムとして国内外から高い評価を受けています。

2018年時点のISOの発表では、日本では34,335件、ISO9001の認証が発行されており、これは世界第4位の認証取得数となっています。

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海外の企業はどれくらい取得しているのか

では、そんなISO9001は海外ではどれくらいの企業が取得しているのでしょうか。以下の表をチェックしてみましょう。

中国295,703
イタリア87,794
ドイツ47,482
日本34,335
インド31,795
スペイン29,562
イギリス26,434
アメリカ21,848
フランス21,095
ブラジル16,351
韓国14,123
チェコ11,740
ポーランド11,294
コロンビア10,027
マレーシア9,558
ルーマニア9,299
台湾8,553
タイ8,401
トルコ7,988
イスラエル7,845

引用:ISO Survey 2018 results – Number of certificates and sites per country and the number of sector overall Functions – ISO

この表から、比較的製造業で海外への輸出を行っている企業が多いことがわかります。急成長を遂げている中国では高い評価を受けていることが伺えます。一方でアメリカやイギリスではそれほど認証を取得している企業は多くないことがわかります。

中国に関しては単純に人口が多いため、取得企業数も多いといえます。一方でモノづくり企業の多いインドでは意外にも認証取得企業数はそれほど多くない印象を受けますね。

一方の日本は「取得企業が多い」と感じるかもしれませんが、これは日本の産業構造上、中小企業が多いということが原因でしょう。聞いたことがあるかもしれませんが、アメリカなどでは人口の半分以上が大企業務めだと言われています。これは日本とは真逆の産業構造ですね。このため、人口と比較して企業母数が多いということが取得企業数の多い原因であると考えられるのです。

——各国の産業構造の違いはあるものの、モノづくりではなく情報通信やITが進んでいる国では取得される傾向が少ないイメージでしょうか。

ちなみに、ISO9001とセットで認証取得されることが多い環境マネジメントシステムの認証規格であるISO14001は、以下のような結果になっています。

中国136,715
日本19,131
イタリア15,118
スペイン12,198
イギリス11,201
ドイツ8,028
インド7,374
フランス6,084
韓国5,777
ルーマニア4,553

環境マネジメントシステムに関しては、ヨーロッパ諸国の企業のほうが積極的に取り組んでいる印象がありますが、CSR(企業の社会的責任)という考え方が浸透しているヨーロッパでは逆に認証取得をするほどのものでもないということなのかもしれません。

ISO9001は海外進出に効果的なのか?

さて、意外にも海外の認証取得企業数が少ないため、「マーケティング的なメリットがあるのか?」ということに疑問を感じてしまいますが、今や世界一の経済大国となった中国でISO9001の認証取得が積極的にされている点を見れば、価値があると考えても良いでしょう。——ただし、その他の国への市場拡大を目指すのであれば、無理をしてまでISO9001の認証を取得する必要がないこともあるかもしれません。

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ISO取得の動向とは?


世界における各ISO規格の取得状況は、以下の表のとおりになっています。認証件数については、ISOのホームページから、毎年データが更新されており、いつでも確認することができます。

規格世界の認証件数
20212020
ISO 9001:20151,077,884916,842
ISO 14001:2015420,433348,473
ISO 45001:2018294,420190,481
ISO IEC 27001:201358,68744,499
ISO 22000:2005&201836,12433,741
ISO 13485:201627,22925,656
ISO 50001:2011&201821,90719,731
ISO 20000-1:2011&201811,7697,846
ISO 37001:20162,8962,065
ISO 22301:2012&20192,5592,205
ISO 39001:20121,285972
ISO 28000:2007584520
参考:The ISO Survey

認証件数が最も多い規格は、ISO9001となっています。2020年から比較しても、10万件以上の伸びがあり、今後も増加傾向にあると言えるでしょう。品質管理の重要性は依然として高く、国際的な視点から見ても、ISO9001を取得するメリットは大いにあるのです。

また、その他のISOの中心的な規格であるISO14001(労働安全衛生マネジメントシステム)、ISO45001(環境マネジメントシステム)、ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)においてもこの1年間でかなりの増加傾向にあります。これらの規格は、組織が活動するうえで、社会的なニーズから積極的に取り組むべき課題であると言えます。つまり、顧客獲得のために、規格を取得することが求められていることが多くあるのです。

全体を通して、ISO規格の認証件数は増加傾向にあります。日本国内だけでなく国際社会においても、組織の活動を合理的に管理することが可能なマネジメントシステムの構築・運用が求められていることが分かります。

意義のあるISO9001に取り組もう

ISOはスムーズな国際間取引を実現するため、モノやマネジメントシステムを規格にしています。そのなかでも、ISO9001は品質マネジメントシステムを継続的に改善するためにある規格です。
ISO9001の要求事項自体も、世界で標準化するために、各企業に合わせられるようにある程度の自由度を持たせています。それは企業に合った継続的な品質改善の仕組みを構築し、顧客満足度を高めていくためなのです。
しかし、ISO9001を取得するためだけに、今まで企業になかったISOのためだけの文書類をいたずらに増やすという本末転倒な話もよく聞きます。このように目的と手段が逆転してしまっている状態では「意味のある品質マネジメントシステム」は構築できなくなってしまい、ISOが重荷になってしまうこともあります。

世界という市場でISO9001の認証は有利に働く場面は多いといえます。海外取引の際に、取引するための条件になっていることも少なくありません。
取引先が真に求めていることはISO9001に則った仕組みで運用が行われていることであり、形ばかりの取得では相手の要望に応えられていないともいえます。

自社にとってISO9001が本当に意味のある品質マネジメントシステム規格なのかどうかは、よく検討してみましょう。

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