• ISO9001取得に必要な期間は最短で約1年4ヶ月
  • ISO9001に必要な費用は取得後も発生する
  • ISO9001取得をするとビジネスチャンスが広がる可能性も

企業や組織がISO 9001認証取得を目指す大きな理由に「取引に活かすため」があります。「取引先に取得を求められてた」「入札したい」「優位性を獲得し新規顧客を増やしたい」など、多くの企業がさまざまな形で取引に活かそうとしています。もちろんその他にもメリットが多くあり、自社に関係のあるメリットが多ければ多いほど、投資対効果が見込め取得する価値があると言えます。

この記事では、ISO9001認証取得の取得前後の流れや費用、期間、メリット・デメリットなどを網羅的に“わかりやすく”解説していきます。業種・従業員別の審査費用相場のまとめや導入事例なども掲載しているので、ISO9001認証取得を目指す企業のバイブルとなれる内容となっています。ぜひ参考にしてください。

ISO9001認証取得

ISO9001認証とは

品質マネジメントシステム

ISO9001認証とは、簡単にいうと「商品やサービスの品質 を改善し続ける仕組みが国際基準レベルで整っていることの証明」で、ISO9001認証取得は「その証明を取ること」です。
改善する仕組みと言えば「PDCA 」が真っ先に思い浮かぶかと思います。つまり顧客満足度向上を目標に、品質向上し続けるためのPDCAサイクルを回し、そのPDCAサイクルが審査機関に認められることでISO9001認証取得となるのです。

では、実際に何をするのかというと、たとえばサービス品質向上のためにクレームを減らそうという目標を立てたとします。クレームがあった時に、同じクレームが来ないように社内のルールを改善して、サービス品質を高めていくイメージです。

「そんなことで良いの?」と思われる方も多いかもしれません。そうです、どこの企業でも日常的にやっている“当たり前”をルール化して取り組めば良いのです。ISO9001が聞き慣れないからと、そこまで構える必要はありません。

関連記事:【初めての人向け】ISO9001とはなにか?わかりやすく説明します

そもそもISOって何?

ISOとはスイスに本部を置く『国際標準化機構(International Organization for Standardization)』という非営利法人の名称です。この組織が定めた国際規格 のことを『ISO規格』と言い、モノの大きさなどを定めた「モノ規格」と会社などの組織活動を管理する仕組み( マネジメントシステム )を定めた「マネジメントシステム規格」の2種類があります。ISO9001もマネジメントシステム規格のひとつで、サービス品質の向上という組織活動を管理する仕組みについて定めた国際規格なのです。
「ISO取得」という言葉は主にマネジメントシステム規格の認証を取得することを指します。ちなみにISO9001は170カ国以上で取得されている最も普及しているマネジメントシステム規格です。

関連記事:【図解】ISOとは?サルでも分かるISO入門
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ISO9001の認証取得の流れ

ISO9001認証取得の流れ

では、次に認証取得までの流れを大きく3つのステップに分けて解説します。ISO9001認証取得は上記の図の通り全工程を含めて約1年4ヶ月程度かかります。これからISO9001認証取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

検討・準備

ISO9001認証の取得を決めたら、必要な体制を整えていきます。ここでは下記の3つを実行しましょう。

ISO担当者を決定する

まずはISO担当者を決めましょう。担当者を主体にISO構築をすることとなります。できれば2名は確保したいところです。

要求事項を入手する

要求事項をベースにマネジメントシステムを構築するため、日本規格協会グループが販売している要求事項を購入しましょう。またわかりやすくまとめられた本も書店などで購入できるので、そちらも検討してみましょう。

関連リンク:日本規格協会グループ

ISO9001を取得する範囲を決める

全社単位でなくても、事業所や部門単位でも取得できるため、認証を必要とする範囲を踏まえて決めましょう。

マネジメントシステムの構築・運用

ISO9001はPDCAを実践すると言いましたが、このパートがまさにPDCAなのです。
マネジメントシステムの構築(Plan)、マネジメントシステムの運用(Do)、内部監査マネジメントレビュー(Check)、是正処置 (Action)のサイクルを回していきます。
先の例でいうと、クレームを減らす目標を設定(P)、クレーム削減の取り組みを実践(D)、クレーム内容の確認(C)、同様のクレームが起きない方法を決める(A)となります。
では、細かにみていきましょう。

マネジメントシステムの構築

ISO9001の要求事項に沿ってマネジメントシステムを構築し、必要に応じて文書化します。

マネジメントシステムの運用

構築したマネジメントシステムを実際に運用します。

内部監査&マネジメントレビュー

運用しているマネジメントシステムに問題がないか内部の人間がチェック、チェックした項目で発覚した問題をトップの人間が確認します。

是正処置

マネジメントレビューでISOが定める要求事項に不適合が発覚した場合、その不適合に対して原因追求及び再発防止をします。
同じ不適合を繰り返さないためにもルールを改善したりして二度と発生させないようにします。

審査

ISOの審査機関の審査を受けます。マネジメントシステムがISO9001のルールに適合していると認められれば、晴れてISO9001認証の取得です。工場の看板や名刺などで「ISO9001認証取得」と記載したり、取得企業として活動できるようになります。

第一段階審査(文書審査)

構築したマネジメントシステムの手順書や文書化したものをISO審査機関が確認します。

第二段階審査(現地審査)

ISO審査機関が実際に現場に入り、構築したマネジメントシステムを確認します。

関連記事:ISO9001認証を取得する方法と流れを知ろう

ISO9001取得にはこれだけの費用がかかる

認証取得に必要な費用とは


※事業規模や取得範囲などの状況で費用は変動します。

詳しい認証取得の費用はこちら:ISO9001取得・運用支援 コンサルティング料金

ISO9001認証取得の費用は、「人件費」「審査費用」「コンサルタント費用」が主な3つです。
取得方法は、社内の担当者が対応する「自社取得」とISOコンサルタントにアウトソースする「コンサルタント利用」の2パターンがあり、金額が大きく変わります。

お気づきかもしれませんが、上図をみると自社取得では取得までの期間が長く、人件費は高く、トータルコストが高くなっています。これは単純に不慣れな従業員が担当するよりも、コンサルタントに依頼した方が早く安く取得できるケースが圧倒的に多いことを意味しています。

関連記事:ISO認証に必要な3つの費用を徹底解説

認証取得後も費用がかかる

ISO認証の審査プロセス

ISO9001認証取得後も費用は掛かり続けます。ちなみにISOの有効期限は3年間です。認証取得後の1年目と2年目にISO認証を維持するための「定期審査」、3年目はISO認証の有効期限を更新するための「更新審査」があります。そして4年目、5年目に「定期審査」、6年目に「更新審査」と繰り返していくのです。

また審査費用は企業規模や業種、取得範囲などで変動しますが、下図のような割合です。

関連記事:審査機関による審査内容とコスト

業種別ISO9001の審査費用相場

ここでは業種と従業員規模別の費用相場をまとめています。実際にISOプロが見積もりを取った数値から出しています。ISO9001認証の取得を検討している企業様は、ご自身の会社の業種、規模をぜひ参考にしてください。

製造業・加工業
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 101名以上
  • 平均相場
  • 37万円
  • 43万円
  • 66万円
  • 96万円
建築・建設業
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 101名以上
  • 平均相場
  • 33万円
  • 52万円
  • 74万円
  • 101万円
ITサービス
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 101名以上
  • 平均相場
  • 32万円
  • 49万円
  • 72万円
  • 77万円
システム開発
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 101名以上
  • 平均相場
  • 31万円
  • 43万円
  • 70万円
  • 77万円
WEB制作
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 平均相場
  • 32万円
  • 83万円
卸売業・小売業
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 101名以上
  • 平均相場
  • 36万円
  • 41万円
  • 67万円
  • 101万円
コンサル業
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 101名以上
  • 平均相場
  • 35万円
  • 57万円
  • 78万円
  • 101万円
保険業
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 平均相場
  • 39万円
  • 47万円
  • 70万円
不動産
  • 企業規模
  • 1-20名
  • 21-50名
  • 51-100名
  • 平均相場
  • 43万円
  • 48万円
  • 70万円

※審査会社によって金額が異なります
※2022年7月調査(ISOプロ調べ)。現在の費用と異なる可能性があるため詳しくはお問合せください。

ISOプロでISO9001の取得を考えている方はこちら
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ISO9001取得のメリット・デメリット

ISO9001取得のメリット

取引先の拡大

取引にISO9001認証取得が条件の企業との契約に繋げられます。

入札に有利

官公庁の入札要件にISO9001認証取得が求められている場合があります。入札に参加するために取得する企業も多いです。

企業の安心感・信頼感の醸成

認証取得は、国際基準レベルで品質管理をしている証明となるため、企業イメージ向上に繋がります。お客様や取引先からの信用が得られ、結果的に売上向上に期待できます。

業務の効率化

企業や組織で行っている作業手順が明確になるので、従業員の業務効率アップに期待できます。

従業員教育の効率化

従業員が何を理解して何を把握すれば良いのかが明確となり、品質に対する教育基盤ができるので教育の効率化に繋がります。

品質の継続的な改善

品質を向上させる仕組みづくりができるので、PDCAサイクルに則って長期的に商品の品質を継続的に改善できる環境が生まれます。

ISO9001取得のデメリット

取得と維持にコストが掛かる

ISO9001は認証取得後にも、毎年継続や更新のための審査を受けなければならず、その度に審査費用が掛かるのはデメリットといえます。

従業員の負担が大きくなる可能性がある

多かれ少なかれISOのための業務が増えるため、従業員に負担が掛かるのも理解しておきたいポイントです。企業の実情に合わないISOを構築すると、ISOのためだけの業務が本業に多く追加されることとなり従業員負担は非常に大きなものとなります。結果維持できず、ISO返上に至る企業も少なくありません。
従業員負担を最小限に抑えるには、企業の状況に合わせたマネジメントシステムを構築する必要があるのです。

ISO9001認証取得をした企業の事例

従来のやり方だと品質に対する“進め方”や“周知の仕方”に課題があった

会社名:コニカミノルタジャパン株式会社
事業内容:商社
従業員数:3500名

コニカミノルタジャパン様は、官公庁への入札をキッカケにISO9001を取得しました。結果的に独自のITソリューションサービスの品質向上に繋がり、ISO9001取得後には積極的な提案をしてビジネスチャンスを広げています。

インタビュー記事はこちら:【コニカミノルタジャパン】ITソリューション事業の積極展開へ向けISO取得

取引先からISO9001の認証取得が求められていた

会社名:サンシーズ株式会社
事業内容:食品製造業
従業員数:21~50名

取引先からの要求を受けてISO9001の認証取得をしたサンシーズ様。ISO9001認証取得をした際に原料受け入れから製品出荷までの各工程を徹底管理するようになりました。この徹底した仕組みが強固な基盤となり、HACCPの手法を取り入れたISO22000認証取得に向けてスムーズに取り組めています。

インタビュー記事はこちら:管理体制強化で変化するニーズに対応!高みを目指し続けるサンシーズ

元請けとして会社が変わっていく中で内部統制が統一できなくなってきた

会社名:株式会社野崎造園
事業内容:造園業
従業員数:21~50名

二次下請け競争の厳しさから、元請けに活路を見出し実現した野崎造園様。ISO9001を内部統制に活用している企業様です。品質を向上させるという目的を持つことで、従業員一人ひとりが現場の課題を解決しようという意識が生まれ、従業員が自発的にISO9001を勉強したり業務フローについて議論する場ができたそうです。

インタビュー記事はこちら:従業員の想いが一つに。社内ルール統一に踏み切った野崎造園の決意
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まとめ

今回は“ISO9001認証取得”について網羅的に解説しました。取得・維持には継続的に費用がかかるものなので、その費用以上の効果が得られなければ取得する必要はないと言えるでしょう。
どのくらい取引に繋がったかだけでなく、どんなメリットがあって自社にはどのメリットが当てはまるかを把握しておくことで効果を感じやすくなります。当然メリットが多ければ多いほど取得による効果は大きくなり、取得する価値は高まっていきます。
まずは自社が得られそうなメリットと費用のバランスを把握し、その後自社で取得するのか、ISOコンサルタントにアウトソースするのかを費用面も踏まえて決めていくと良いでしょう。
この記事が貴社のISO9001認証取得の参考になればと思います。ご不明点などあれば、お気軽にお問合せください。

また今後の取り組みに向けて、下記を把握しておくとスムーズだと思いますのでぜひご覧ください。
より具体的なISO9001を知りたい方は下記の「ISO9001入門」のページもご一読のほどよろしくお願い致します。

関連記事:【ISO9001入門】認証取得のキホンと規格要求事項を徹底解説

ISO9001認証取得には主に、「人件費」「審査費用」「コンサルタント費用」の3つのコストがかかります。下記の記事では、各費用の相場もお伝えしているのでぜひ参考にしてください。

関連記事:ISO認証取得に必要な3つの費用を徹底解説

ISO9001認証取得には、自社の力だけで構築する『自社取得』とISOコンサルタントへ依頼する『コンサル取得』の2種類の方法があります。目的に応じてどちらかを選びましょう。

関連記事:ISO取得の流れを「自社取得」と「コンサル取得」を徹底比較
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