ISO9000シリーズとは?各規格やISO9001との違いを簡単に解説

- ISO9000シリーズとは、品質マネジメントシステムに関わる規格群
- ISO9001はISO9000シリーズにおける唯一の認証規格
品質マネジメントシステムの規格 として知られるISO 9001ですが、ISO9001 はISO9000シリーズ(ISO9000ファミリー)の一つの規格です。実はISO9000シリーズには、さまざまな規格が存在しています。
そこで、この記事ではISO9000シリーズの規格の概要や規格群、取得メリット、関連規格について解説します。
目次
ISO9000シリーズとは
ISO9000シリーズとは、品質マネジメントシステムに関する規格群です。ISO9000ファミリー規格と呼ばれることもあります。
製品・サービスの品質管理における体制を構築・運用することで、品質向上ひいては最終的に顧客満足度の向上を目指しています。
ISO9000シリーズは、「要求事項」についてまとめているISO9001を中心に、国際認証規格として成立させるために補完する形で発行されている規格群です。世界的な品質マネジメントシステムの基準となっています。
品質マネジメントシステムとは
そもそも品質マネジメントシステムとは、「自社製品・サービスの品質を継続的に維持・向上させるための仕組み」のことです。
具体的には以下のように全体で「品質向上」という一つの働きをする構造を築くことを指します。
- 品質目標を決める
- 目標を達成するためのルールを策定する
- 実際にルールどおりに業務を行ってみる
- 改善点や問題点を検証する
- 対策を立てて、改善する
- 新たな目標を立てる
さらに、ISO9000シリーズの最終的な目標である「顧客満足」を達成するには、QCD(品質・価格・納期)という3つの要素がバランスよく高くなるような仕組みが求められます。

ISO9000シリーズの規格群
ISO9000シリーズの規格群と呼ばれている5つのISO規格について解説します。
ISO9000
ISO9000とは、ISO9000シリーズ内で使用されている用語や定義の説明や基本概念、適用範囲をまとめた規格です。
ISO9001を和訳したJISQ9001内にも重要なキーワードの用語が説明されているため、ISO9000に目を通したことがないという方も多いでしょう。
ISO9001
ISO9001とは、ISO9000シリーズの中核となる品質マネジメントシステムの規格が求める要求事項です。世界各国で取得されており、現在最も普及しているISOマネジメントシステム規格です。
規格が求めること(要求事項)を満たしてはじめて認証を取得できるため、ISO9001が認証を取得するにあたっては最も重視されています。
ISO9001は2015年に改訂され、品質マネジメントシステムの基盤となる品質マネジメント7原則が示されています。
- 顧客重視
- リーダーシップ
- 人々の積極的参加
- プロセスアプローチ
- 改善
- 客観的事実に基づく意思決定
- 関係性管理
ISO9001は1994年版ではISO9001、ISO9002、ISO9003の3つに分かれていましたが、2000年版からはISO9001に統合されています。
ISO9002
ISO9002とは、1994年版のISO9000シリーズにのみあった規格です。製造、据え付け、および付帯サービスにおける品質保証モデル(ISO9001から設計開発を除いた分野)に対しての規格として位置づけられていました。
しかし、2000年の改定によってISO9001をより柔軟なマネジメントシステムとしたことで、ISO9001に統合されました。
ISO9003
ISO9003もISO9002と同様、2000年版からISO9001に統合された規格です。
ISO9003は「最終検査・試験における品質保証モデル」という分野に対する規格として位置づけされていました。
ISO9004
ISO9004とは、組織の持続的成功のための運営管理(品質マネジメントアプローチ)として制定、発行されている規格です。
「ISO9001よりも高いレベルでの品質管理システムを構築したい」と考える企業を対象としています。
ISO9001は規格そのものを柔軟なものとし、中小企業や零細企業であっても取り組みやすいような設計を行っています。そのため、大企業のように力量に左右されにくい大規模なマネジメントシステムでは、「物足りない」と感じる企業も多く、こういった企業を対象として設計されたのがISO9004です。
もちろんISO9001がレベルの低いマネジメントシステムというわけではありませんが、ISO9001ではカバーしきれない枠組みを提供している規格がISO9004です。
間接的に関与するISO19011
ISO19011は厳密にはISO9000シリーズではなく、マネジメントシステムの監査の指針や手法を示している規格です。
品質マネジメントシステム規格を監査する審査機関が対象となっており、審査機関はISO19011に則って取得審査をしています。またISO9001「9.2内部監査」をより詳しく理解したい場合にも参考になる内容です。
そのため、取得審査の内容を把握したい場合や内部監査の有効性を高めたい場合にも目を通しておくと役立つでしょう。
ISO9000シリーズを導入するメリット
ここでは、ISO9000シリーズを組織が導入するメリットを解説します。
事業体制の強化
ISO9000シリーズの導入により、品質管理のプロセスを体系的に見直し、改善することでシステムの強化が期待できます。
従業員のスキルや経験などの差によって品質に差が出る可能性をできる限り抑えるような仕組みを構築するため、合理的な管理が実現します。
また生産プロセスを見直す中で、ムダな工程や人材配置などが発見される場合も多くあります。そうしたムダを削減することで業務効率化にもつながります。
- 取引先からの要求に応えられる
- 公共工事の入札条件や経営事項審査の加点の対象になる
- 取引先や消費者などから品質に対する信頼を得られる
- 海外進出時に、品質に対する一定の担保が得られる
対外的なメリットには、取引や契約を優位できることが挙げられます。
顧客満足度の向上
ISO9000シリーズの導入により、製品・サービスの品質の標準化が進みます。品質が安定することで、顧客は製品やサービスに対して安心感を持ち、満足度が高まるでしょう。
また顧客のニーズを正確に把握し、製品・サービスに反映するためのプロセスが整備されることも、顧客満足の達成につながります。
社員の品質管理に関する意識の向上
ISO9000シリーズを導入するには、社員の品質管理への取り組みが欠かせません。取り組みの過程で従業員それぞれの役割が明確になり、従業員の品質に対する意識を高められるでしょう。
取引先や消費者からの信頼を得られる
ISO9000シリーズを取得することで「国際的な品質管理に対する基準を満たしている」という証明になり、取引先や消費者からの信用獲得につながります。
特にISO規格は国際規格であるため、海外進出している企業にとっては自社の品質を担保してくれる心強い存在といえるでしょう。
取引や公共工事における入札が有利になる
取引の際にISO9001の取得が条件になる場合や、公共工事の入札においてISO9001の取得が経審の加点対象となる場合があります。
取得企業がISO9001を取得した理由に「取引が優位になる」「取引先から要求を受けた」などを挙げるケースは多くあります。そのため、市場での競争優位性を高めたい企業はISO9000シリーズの取得がおすすめです。
実際にISO認証を取得した企業の経営者・経営幹部約300人に取得理由についてアンケートしたところ、以下のような回答が得られました。
期待していた効果を実現できた、あるいは実現に近づいていると感じている組織が多いことが分かります。
このアンケート調査の詳細は、以下の記事をご覧ください。

ISO9000シリーズの関連規格
ISO9000シリーズはさまざまな産業において活用されています。ここでは、ISO9000シリーズの主な関連規格を紹介します。
ISO13485
ISO13485とは、「医療機器に関する品質マネジメントシステムの規格」です。
医療機器・体外診断用医薬品の設計・製造・据付や付帯サービス、その他関連するサービスも含めた医療機器業界に関連する組織を対象としています。
医療機器業界が対象であることから、安全性が最重視されているもののISO9001をベースとしています。
IATF16949
IATF16949とは、自動車産業に関する品質マネジメントシステムの規格です。
IATF(International Automotive Task Force)は「国際自動車産業特別委員会」のことで、GMやフォードなどの世界的な自動車メーカーや自動車産業団体から成り立っています。
ISO9001とIATF16949は、どちらも品質マネジメントシステムに関する国際規格ですが、その対象範囲が異なります。ISO9001はあらゆる業種を対象としている一方、IATF16949は自動車産業に特化しています。
AS/EN/JIS Q 9100
JIS Q 9100とは、航空・宇宙・防衛産業サプライチェーンにおける品質マネジメントシステムの規格です。他の国では使用言語が異なりAS9100やEN9100などと呼ばれています。
要求事項はISO9001をベースとしており、航空・宇宙・防衛産業特有の要求事項が追加されています。
まとめ
今回は、ISO9000シリーズの紹介でした。ISO9001の認証取得とはあまり関係がないかもしれませんが、ISO9000シリーズというものがあって、そこには様々な規格が存在しているということを知っておくと他の規格の認証を取得するときに役に立つかもしれません。

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