建築業でよくあるISO9001導入の失敗パターン
建築業でも最近はISO 9001を導入するような会社も増えてきています。企業のイメージアップなどにも役立ちますが、導入するだけでは効果はありません。導入後も企業内の品質 マネジメントを行っていかないとなりません。ISO9001 の認証を得るだけでは何も役に立たないのです。
建築業でよくあるISO9001導入後の勘違い
ISO9001は欧米では仕事の受注条件として認証を受けていることが必要です。日本では認証は必要ないですが、取得すればイメージアップに繋がるのは間違いありません。ただ、業界内では余分な仕事が増えた、記録に追われる、お金がかかるなど、評判の悪い話も多く、取得しても恩恵が少なかったという声が見られます。認証を行なう審査側からも、出来合のマニュアルで、審査にならないということもあります。
取得する大きな目的としては、仕事を受注するためという会社が多いですが、取得までにも数千万円かかるようなこともあります。しかしせっかく莫大なお金をかけてIS9001を取得しても、仕事は増えないという会社もあり、費用ばかりがかかってしまったということになります。
ISOさえ取得すれば、大きな金額が動く公共事業の仕事が獲得できると勘違いして受注ターゲットを絞っている場合も多いですが、これも誤解です。受注を増やし利益を増やすなら、民間工事や下請け工事などにも力をいれて、本来はこのような仕事に役立てるためにもISO9001は使うべきなのです。
失敗したシステムが蔓延してしまう背景とは
ISO9001を取得しようとする場合には、品質マニュアルを作成し、それを元に認証機関によって審査が行なわれます。多くの建築業では税金の申告書などは、社内でなく行政書士など社外の人間に任せて作ってもらうことが多いです。そのような方法で、品質マニュアルも社外の人間に作らせることが多いのも現実です。じつはこの時点ですでにシステムとして失敗が起きているのです。
ISO9001の審査では、作成した品質マニュアル通りに仕事が行なわれているか審査されます。マニュアル通りに仕事がしていないとなると、それは記録の偽造であり審査不合格となります。社外の人間が作った品質マニュアルは、テンプレートにそった形であり、自社の仕事内容とはかけ離れていることも多いのです。つまりは品質マニュアルは、社内の仕事を熟知した人間に作らせるべきです。
ただマニュアルを作ると言っても、手際のよい会社だと、近くの業者の品質マニュアルを取り寄せ、似たようなものを手早く作ってしまうこともあります。これでは自社の仕事内容に沿っておらず、テンプレート通りのマニュアルとなり、これもやはり実際の仕事とかけ離れていることが多いのです。
失敗パターンに陥らないために大切なこと
多くの建築業者では、ISO9001は仕事受注に役立つものだと思いこんでいる場合も多いです。実際に取得にかかると、社内改革にも役立つものだと後で知ったという話も多いです。会社によっては、入札に必要だ、作成書類が多数必要だ、というような話しか聞いたことがない、というような場合もあります。ISO9001導入は、どの会社の経営者も、会社を良くするためにと思って取得に走ります。しかしそれにも関わらず、役に立てることが出来ないような場合が多いのは、正しい情報を得ていないからなのです。
中にはISO専門の職員を置くような会社も数多くあります。しかしこれはおかしな話であり、ISO9001に関わる業務はほとんどが日常業務の範囲です。ISO9001が正常に機能していれば専門の職員は必要ないのです。専門の職員の人件費だけを考えても、年間500万円以上となり、これだけ無駄なコストがかかっています。
また品質マニュアルにも関わりますが、システムを作成するときの書類やマニュアルは、大企業の作成したものを、そのまま丸写しという場合も多いです。大手企業と中小企業では仕事の内容もことなりますので、書類やマニュアルの丸写しは手間ばかりかかって、全く使えない書類になるのです。また失敗システムであるにも関わらず、そのような企業の書類を丸写しするのも、失敗したシステムのコピーとなり、やはり上手くいきません。まずは、同業種でもまたは異業種でも良いので、ISO9001を取得し上手くいっている会社の話を聞くべきです。そしてどこが上手くいっているのかを知り、真似をするならそのようなところを真似するようにしましょう。
ISO9001は、建築業では受注に役立つので取得したいという会社も多いです。もちろんそれも構いませんが、ISOは社内改革にも役立つものであり、正しい情報の元に取得を目指すべきです。審査では書類など作成も必要ですが、そのような場合も他社のコピーでなく、自社で考えて自分たちで作成していかないと、失敗したシステムのコピーとなり、上手くいかない場合が多いです。取得を目指すなら、まずは正しい情報を得て、ISO9001とは何かを調べてみましょう。
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