ISO9001における改善の機会とは?
- 改善とは、マネジメントシステムをより良いものにしていこうという組織活動のこと
- 改善の機会とは、内部監査やマネジメントレビューの結果、「〜すべき」あるいは、「〜したほうが望ましい」と評価されたもの
ISO 9001では、PDCAサイクルによる品質 マネジメントシステムの継続的な改善が非常に重要なものであると位置づけされています。ISO9001 における品質マネジメントシステムで求められるもの(要求事項)は、PDCAサイクルを円滑に回すためにあるものであるといっても過言ではありません。
今回は、PDCA(Plan-Do-Act-Check)の中のAct(改善)と、改善の機会について解説していきたいと思います。
改善とは
ISO9001における改善とは、何かしらの計画を実行し、その実行結果から得られたフィードバックをもとにマネジメントシステムをより良いものにしていこうという組織活動のことを指します。
ISO9001を日本語訳したJIS Q 9001では、以下のような記述があります。
この規格は,Plan-Do-Check-Act(PDCA)サイクル及びリスクに基づく考え方を組み込んだ,プロセスアプローチを用いている。組織は,プロセスアプローチによって,組織のプロセス及びそれらの相互作用を計画することができる。
組織は,PDCA サイクルによって,組織のプロセスに適切な資源を与え,マネジメントすることを確実にし,かつ,改善の機会を明確にし,取り組むことを確実にすることができる。
何やら難しいキーワードが並べられていますが、組織は品質マネジメントシステムをPDCAサイクルを回すことで改善する必要があり、また「改善の機会」というものを設定してリスクや機会への取り組みを確実にしなければならないということが記述されているのです。――要するに、「ちゃんとマネジメントシステムをより良いものにするための活動を行ってね」ということを言っているのです。
改善の機会とは
さて、では明確にする必要があるとされている「改善の機会」とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか? 改善の機会とは、内部監査などを実施し、マネジメントレビューを行った結果、「〜すべき」あるいは、「〜したほうが望ましい」という状態のことを指します。
例えば、品質改善のために中途入社の社員に対して「入社時の教育」という計画を行い教育研修を実行していたとします。しかし内部監査の結果、「入社時の教育はこれだけでは足りないのではないか?」ということに内部監査員が気づいたとしましょう。このとき、改善の機会は「入社時の研修時に●●というカリキュラムを組み込んだほうが教育効果が高まるため望ましい」と記載することになります。
ISO9001では、「改善」という項目に以下のような記述があります。
組織は,顧客要求事項を満たし,顧客満足を向上させるために,改善の機会を明確にし,選択しなければならず,また,必要な取り組みを実施しなければならない。
これには,次の事項を含めなければならない。
a)要求事項を満たすため,並びに将来のニーズ及び期待に取り組むための,製品及びサービスの改善
b)望ましくない影響の修正,防止又は低減
c)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性の改善
注記 改善には,例えば,修正,是正処置,継続的改善,現状を打破する変更,革新及び組織再編が含まれ得る。
改善の機会はどのように記述すれば良いのか
では、改善の機会は具体的にどのように明確にする必要があるのでしょうか?
改善の機会は、内部監査などの結果、次のような評価を行ったときに明確にするのが良いでしょう。
- 「監査基準」と「監査証拠」は合っているが改善した方が望ましいと判断した。
- 「監査基準」がないが改善した方が望ましいと判断した。
- 内部監査員による気づき。
そして、上記のような評価を行った場合に、以下の例のように改善の機会を記載します。
- 手順書通りに業務を行なっているが、エネルギー削減のために工程を改善する
- 省電力に取り組んでおり、設計部門の環境影響が大きいので、業務の見直しを行なう
- 情報セキュリティの研修を毎年4月に行なっているが、重要性を認識させるために、四半期ごとに行なうべきである
まとめ
今回は、改善の機会についてご紹介してきました。改善の機会は、内部監査員による「改善案の提案」のようなものです。
提案は、根拠があり、その効果を見込めるものであることが望ましいですから、改善の機会は、改善することによる効果まで試算しておくことが望ましいといえるでしょう。
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