一般建設業と特定建設業とは?違いや許可要件を解説
- 特定建設業許可とは、元請けとして4,500万円以上の下請け契約を結ぶ工事を行う際に必要な許可
- ISO9001を取得することで、公共工事の入札において、経審の加点対象となる
建設業には、一般建設業と特定建設業許可という2つの許可があります。これらの許可を得ることで規模の大きな工事に携わることが可能です。しかし、許可を得るには許可の要件を満たすことが求められます。
また、許可を得たのち、公共工事の入札に参加するにはその条件を満たし、経審の評価を高めることも必要です。
そこで、この記事では一般建設業と特定建設業の概要や両者の違いについて解説します。また、経審の評価を高める方法としてISO 9001についても紹介します。
目次
一般建設業とは
一般建設業とは、元請・下請けを問わず、500万円以上(原材料費含む・税込)の工事を請け負う場合に必要な許可です。2022年に国土交通省が実施した「建設業許可業者数調査の結果について」の調査によれば、一般建設業の取得業者数は450,901業者となっており、前年比0.2%と増加傾向にあります。
以下の場合の軽微な建設工事であれば、一般建設業の許可は必要ありません。
1.建築一式工事
- 工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事
- 延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
2.建築一式工事以外
- 工事1件の請負代金が500万円未満の工事
特定建設業とは
特定建設業とは、元請として直接工事を請け負った際に、1件の建設工事につき税込4,500万円以上(建築一式工事の場合は税込7,000万円以上)を下請けに依頼する場合に必要な許可です。元請人が提供する原材料費は含みません。
そのため、発注者から直接請け負っていないのであれば、下請業者との契約金額が4,500万円以上であっても特定建設業許可は必要ありません。
また、2022年に国土交通省が実施した「建設業許可業者数調査の結果について」の調査によれば、特定建設業の取得業者数は47,823業者となっており、前年比1.6%と増加傾向にあります。
特定建設業の許可要件
特定建設業を取得するには、厳しい要件をクリアすることが必要です。以下に、4つの要件をまとめました。
1.経営業務管理責任者がいること
建設業は工事ごとに資金調達や資材の購入などの多くのプロセスを実施し、工事の目的物の完成まで適切に施工管理する必要があるため課せられている要件です。
経営業務管理責任者は、法人の場合には役員、個人事業主の場合には本人または支配人でなければなりません。また、建設業に関係する5年以上の経営業務の管理責任者としての経験があるなど、一定の経験も求められます。
2.専任技術者が営業所に常駐していること
建設業の営業の中心が営業所であることから、営業所ごとに専任技術者が常駐していることが適切として課せられている要件です。
専任技術者は、土木管理施工技師など必要な資格の1級と、実務経験を保有していることが条件となっています。
3.誠実性があること
建設業の取引は、長い期日を要することや前払いが慣習化していることから、顧客との信頼関係をもとに行われます。そのため、請負契約の締結や履行において、不正や不誠実な行為をする者に営業を認めないようにするために課せられている要件です。
具体的な不正や不誠実な行為には、詐欺や脅迫、横領、工期や工事内容などの契約内容を違反することなどが挙げられます。
4.財産的基礎があること
建設業は、工事着工にあたり多額な資金を必要とするために課せられている要件です。
以下の3つを満たすことが求められます。
- 欠損額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金額が2,000万円以上かつ自己資本額が4,000万円以上であること
また、このほかにも欠格要件に該当しないことが求められます。各要件の詳細は、国土交通省の「建設業の許可とは」をご覧ください。
一般建設業と特定建設業の違いとは
それでは、一般建設業と特定建設業は具体的にどういった点が異なるのでしょうか。最も大きな違いは、自社が「元請」であるかどうかです。わかりやすいように、以下に元請・下請についてまとめました。
許可の種類 | 自社で施工する | 自社が下請の場合 | 自社が元請の場合 |
---|---|---|---|
一般建設業 | 制限なし | 制限なし | 4,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満) |
特定建設業 | 制限なし | 制限なし | 制限なし |
また、先ほど特定建設業の要件で解説した4つの要件も特定建設業の方が厳しく設定されています。特定建設業許可を取得したい場合には、自社の体制が要件をクリアしているかしっかり確認しましょう。
特定建設業許可が必要か迷った場合の相談先
一般建設業と特定建設業の許可について、それぞれの概要や違いを解説しましたが、自社に必要なのがどちらかわからないという企業もあるでしょう。
例えば、「この工事の元請をするには、特定建設業許可が必要になるのだろうか」「特定建設業許可を取得できるのだろうか」など判断が難しい場合には、以下の2つの機関で相談や問い合わせが可能です。
- 管轄の都道府県の建設業課
- 行政書士
相談先に迷ったら、まずはホームページを確認して相談先の情報を確認しましょう。また、申請代行を行っている業者もあります。依頼する場合には複数社から見積もりを取り、信頼できる業者に依頼することがおすすめです。
経審の評価を上げるならISO9001の取得がおすすめ
建設業許可を得たのち、公共工事の入札に参加する際には経営事項審査(経審)を受けなければなりません。その際、ISO9001を取得していると、主観点・総合評価の加点対象になることもあります。
そこで、事業拡大を目指す建設業者におすすめのISO9001について解説します。
ISO9001とは
ISO9001とは、品質
マネジメントシステム
に関する国際規格
です。
企業が提供する製品・サービスの品質向上を目指し、最終的には顧客満足を達成することを掲げています。
そのために、品質向上のみに特化しているのではなく、Q(quality:品質)C(cost:価格)D(delivery:納期)バランスを重視しています。例えば、どれほど品質に優れた建設を行っても、顧客の予算を大きくオーバーしてしまっては顧客満足にはつながりません。また、高品質かつ安い原材料を入手できたとしても、仮に顧客が希望する納期の10年後では無意味となってしまうでしょう。
このように、QCDという3つの要素をバランスよく向上させることで、結果的に顧客満足度につながる品質向上が行えるのです。
ISO9001の詳細は、以下の記事をご覧ください。
建設業がISO9001を取得するメリット
以下に、建設業がISO9001を取得する主なメリットをまとめました。
- 経審での加点や主観点・総合評価がアップにつながる
- 顧客や取引先の信頼を獲得できる
- 事業体制を強化できる
特に建設業者にとってメリットとなるのは、公共工事を請け負う際に必ず受ける経審や主観点で評価され、総合評価がアップされる点でしょう。
自治体によっては、ISO規格が評価対象となっています。そのため、自社が入札に参加する場合に、該当自治体においてISO9001が加点や評価ポイントになっているかどうかを確認することがおすすめです。
経審の詳細は以下の記事をご覧ください。
まとめ
一般建設業と特定建設業の概要や両者の違いについて解説しました。
一般建設業の許可を得ている企業は多くある一方、要件が厳しい特定建設業の許可を得るには事前の準備が欠かせません。また、許可を得たあとも、公共工事の入札に参加条件を満たし、契約を得るには経審の評価を上げることが必要です。
そのためには国際規格であるISO9001の取得が効果的です。建設業者の多くはISO9001を取得し、自社の品質マネジメントシステムを社外にアピールしています。公共工事の入札への参加を検討している場合、ISO9001の取得を検討することがおすすめです。
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