今回のテーマは、「QMSの運用で効果を出したければ現場を知ること」です。

ISO 規格 にはいくつか種類がありますが、ISOの取得・運用状況に関して言えば、その中で特にISO9001 やISO14001を取得する企業が多く、ここ数年の認証取得状況ではISO認証を新規に取得した企業よりも、既に取得されている企業がISOを継続する(維持・更新)ケースが多く見られます。しかし、ISOを導入したものの、多くの中小企業では規格の種目に限らず、ISO運用面で下記共通の課題を抱えています。

≪共通の課題≫

  • マネジメントシステムの運用がマンネリ化・形骸化している
  • 内部監査を定期的に実施しているが、その成果を得られていない
  • ISO業務の負荷は増大し、費用対効果は低下

ISO運用面で課題を抱える企業については、これまでISO認証の運用で多額の費用・工数をかけて継続してきたのですから、無駄にすることなく、成果が出るよう解決に向けて既存マネジメントシステムの運用状況を見直しましょう。
ISOを新規取得される企業についても、認証取得後に同様の課題が出てくる可能性がありますので、本テーマ内容を念頭においてマネジメトンシステムを導入されると良いでしょう。

QMSの運用で効果を出すには

本テーマであるマネジメントシステムで運用効果を得るためには、ISO内部監査を効果的に実施することはとても重要です。特に内部監査員 およびISO業務担当者はマネジメントテムの仕組み(概念)を理解しなければ自社のマネジメントシステムがどのように運用されているのか正確に理解することは難しいでしょう。「仕組み」を理解し、被監査部門における実際の運用状態を把握して適切に評価(改善の機会)できるようにしましょう。

マネジメントシステムの「仕組み(概念)」について再確認しましょう

マネジメントシステムでは、組織は自社のマネジメントシステムにISO規格の要求事項 を確実に反映させて、PDCAサイクルという共通の概念に基づいて運用されます。品質 マネジメントシステムは製品・品質等に対する顧客要求を満たすために、業務を円滑に進めるためのフレームワークで、PDCAサイクルにはP(Plan)、D(Do)、C(Check)、A(Act)という4つのセクションがあります。このサイクルに製造・各種業務 (内部監査も含む)プロセスを落とし込み、業務・作業を効率よく実施します。不適合などの是正措置や運用面で改善事項あればその効果を確認し、過去の改善事項についても維持しつつ、企業活動が続く限り (あるいはISO認証を返上するまで)継続します。
ISO9001の内容を理解しよう

【被監査部門における各セクションの実施内容】

  • Plan : 品質目標・計画を立てます。
  • Do  : 計画に沿って業務を遂行し、運用(品質)記録を残します。
  • Check: 定期的に実施する内部監査でエビデンスを基に運用実績の評価や課題を洗い出します。
  • Action: 監査の評価結果・指摘事項について是正措置を講じて課題解決に取り組みます。
  • 被監査部門の運用方法を理解しよう

    PDCAサイクルとプロセスの概念について

    マネジメントシステムでは、適用範囲全体を1つのサイクルで回しますが、「プロセス」という概念があり、一般的には部門/事業や業務など「役割」ごとにプロセスを運用・管理しています。プロセスは大別すると「マネジメントプロセス」と「製品実現プロセス」があり、プロセスの運用単位については部門・業務、製品・サービスなど管理しやすい規模で、組織独自にプロセスの運用を計画しPDCAを回しています。

    例えば、製品実現プロセスのPDCAサイクル(図解2)では、製品あるいはロット(生産計画の単位)ごとに生産計画(Plan)があり、計画に従い製品製造(Do)~製品検査(Check)が実施されます。また、製造工程で不適合が発生した場合には是正措置をとり、再発防止、類似事象の発生予防対策など改善措置(Action)を講じます。生産計画~出荷までの工程で問題や課題がある場合は、マネジメントシステムの運用面の改善(Action)に取り組みます。

    図解2 製品実現プロセスにおけるPDCAサイクル
    製品実現プロセスにおけるPDCAサイクル

    各プロセスの関連性について把握

    マネジメントシステムの有効性 を評価する場合、マネジメントシステムの運用全体像を把握する必要があります。被監査部門では、プロセスアプローチと呼ばれる各プロセス間の相互関係および相互依存性を示した「タートル図 」や「プロセスフロー(概要)図」等作成していますので必ず入手し、各プロセスの関連性について把握します。

    ■図解3タートル図-例
    タートル図例

    ■図解4 プロセスフロー図-例
    プロセスフロー図-例

    プロセスにおける文書管理

    ①文書化と改訂内容の展開状態を確認する

    管理業務・作業現場では、製品(あるいはサービス)の要求仕様を満たすために、担当者は社内規定や作業手順書などの「文書」に従い作業を実施します。様々なルールや作業手順(指示)がありますが、全て文書化され、文書は常に最新状態で保持されている必要があります。もし、旧版の仕様を参照して作業した場合、製品不良・不適合や業務トラブルに発展する可能性もあります。文書の改訂時には発行文書の承認や採番管理を確実に行い、改訂内容について関係者(社外含む)に的確に展開されていなければなりません。

    ②標準化について

    品質マネジメントシステムを運営管理するには、各作業工程の標準化が必要になりますが、標準化を進める中で類似する業務で同じような手順(基準)が作成される場合もあります。不要に標準化されていないか、無駄なく効率よく標準化が進められているかなど、標準化 (ムリ、ムダ、ムラの排除) を進める際、問題点や課題について確認します。

    ③記録について

    品質記録(エビデンス)は正確に作成・保持し、顧客に対して製品品質を保証するために必要不可欠ですが、無駄な記録(*1)は改善あるいは排除しなければなりません。ISO運用では文書と記録の維持管理の負荷が大きく、少しでも業務負荷を軽減するための工夫も必要です。
    *1無駄な記録とは
     記録自体不要、記録の重複、記録方法が非効率、記録回数が多いなど

    また、内部監査では、被監査部門は監査で提示する記録を事前にできる限り用意しています。その際、被監査部門は監査で不適合を受けないために、都合の良い記録を用意することもあり、提示された記録のみ確認して評価することのないよう注意が必要です。つまり、「被監査部門にとって都合の悪い記録とは何か?」から状況を考察し、その状況が発生する原因を明白にし、改善していくことが監査にとって重要です。

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    まとめ

    ISO規格要求事項(箇条)をそのまま転記したような監査チェックリストを読み上げるだけでは、監査の質は上がりません。内部監査員は公正中立の立場で被監査部門の事情も配慮しつつ、マネジメントシステムを有効活用して運用成果を上げられるよう都度監査内容を見直し、監査がマンネリ化・形骸化しないよう工夫することも重要です。

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