【ISO14001入門】規格の詳細から要求事項・取得のノウハウまで徹底解説

ISO14001とは、国際標準化機構(ISO)による環境 マネジメントシステムEMS : Environmental Management Systems)が満たさないといけない事項を定めた規格です。

環境マネジメントとは、企業または団体などの組織が組織活動をする際に環境リスクを低減し、環境リスクの発生を予防するの行動であり、組織全体で管理するシステムのことを環境マネジメントシステムと呼びます。構築した環境マネジメントシステムは、環境マネジメントの目的を達成するものであり、ISO14001を使うことで、環境に優しい組織活動が可能です。

環境マネジメントシステム(EMS)とは?

環境マネジメントシステム(EMS)とは、企業が活動をすることで、“環境”に対して与える影響を認識し、改善するためのシステムのことです。

例えば、「自然環境」のために電気代削減や紙などの資源を大切にする動きをしたとしても「組織環境」にとってメリットがなければ意味がありません。

環境マネジメントシステムが目指すところは、「自然環境」にも「組織環境」にもメリットがあるシステムであり、残業を減らす動きをすれば、電気代を削減にも繋がり、従業員の作業効率も向上するという両方にメリットがある状況を作ります。

EMS導入のメリット

ISO14001における環境とは
ISO14001における『環境』とはどのようなものなのでしょうか?JIS Q14001:2015では、「大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,組織の活動をとりまくもの。」と定められています。簡単に言えば、空気や水などの『自然環境』を守るための経営を実践するために『組織環境』も変えていきましょうという意味を含んでいます。

3.2.1環境(environment) 大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,組織(3.1.4)の活動をとりまくもの。
注記 1とりまくものは,組織内から,近隣地域,地方及び地球規模のシステムにまで広がり得る。
注記 2とりまくものは,生物多様性,生態系,気候又はその他の特性の観点から表されることもある。
【出典】JIS Q14001:2015(3.2.1 環境)

環境方針・環境目標

環境マネジメントシステムを運用するには、どのように取り組むのかを定める“環境目標”と最終的にどこを目指すのかを定める“環境方針 ”を設定しなければいけません。環境方針と環境目標について詳しく見ていきましょう。

環境方針とは
環境方針とは、企業が環境に取り組むための“基本方針”です。環境目標や目標設定などを決定するための“枠組み”であり、ISO14001の要求事項の一つでもあります。下記の要求事項を確実なものにするため、会社の経営陣営は組織における環境方針を決定する必要があり、作成した環境方針は社員はもちろん、一般の人など外部の人にも周知をします。
そのため、企業の会社案内パンフレットや企業のコーポレートサイトなどに“環境方針”を記載しているのです。

5.2 環境方針
トップマネジメントは,組織の環境マネジメントシステムの定められた適用範囲 の中で,次の事項を満たす環境方針を確立し,実施し,維持しなければならない。

  • a)組織の目的,並びに組織の活動,製品及びサービスの性質,規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切である。
  • b)環境目標の設定のための枠組みを示す。
  • c)汚染の予防,及び組織の状況に関連するその他の固有なコミットメントを含む,環境保護に対するコミットメントを含む。注記 環境保護に対するその他の固有なコミットメントには,持続可能な資源の利用,気候変動の緩和及び気候変動への適応,並びに生物多様性及び生態系の保護を含み得る。
  • d)組織の順守義務を満たすことへのコミットメントを含む。
  • e)環境パフォーマンスを向上させるための環境マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。環境方針は,次に示す事項を満たさなければならない。− 文書化した情報として維持する。− 組織内に伝達する。− 利害関係者が入手可能である
  • 【出典】JIS Q14001 :2015(5.2 環境方針)

環境目標とは
環境目標とは、企業が環境に取り組むための“具体策”を定めることです。「著しい環境側面」、「順守義務」、「リスク及び機会」の内容を把握し、目標を組み立てます。

6.2.1 環境目標 組織は,組織の著しい環境側面及び関連する順守義務 を考慮に入れ,かつ,リスク及び機会を考慮し,関連する機能及び階層において,環境目標を確立しなければならない。環境目標は,次の事項を満たさなければならない。

  • a)環境方針と整合している。
  • b)(実行可能な場合)測定可能である。
  • c)監視する。
  • d)伝達する。
  • e)必要に応じて,更新する。組織は,環境目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。
  • 【出典】JIS Q14001:2015(6.2.1 環境目標)

企業活動における環境目標・環境方針は、企業にとってのメリット、環境にとってのメリットの両方を両立させる意味合いがあります。

例えば、工場を稼働させる会社の場合、残業をなくす動きを実施した場合、企業としてのメリットは無駄な残業代をカットさせること、残業時に稼働している工場の電気代カットとメリットへと繋がります。自然環境としてのメリットは、工場の稼働時間が少なくなるのでその分の排気ガスなど自然環境に与えるダメージを軽減できます。また、企業も自然環境に優しい会社を取引先などにアピールできるなどの強みも生まれます。

このように企業活動における環境目標・環境方針を決定することは、企業にとっても自然環境にとっても良い方向性に向かう為に必要なものなのです。

環境側面とは

ISO14001の要求事項に登場する『環境側面』とはどのようなものでしょうか。

環境側面を理解するためには、『環境』とは何かを理解が必要です。環境を意味するものとして、空気や水などの“自然環境”と人々が構成する“組織環境”があります。

企業が製品の製造やサービスの提供など活動を行った際に“環境”に対して何かしらの影響を与える可能性があるものを“環境側面”と言います。

例えば、製造業の企業が製品を生産すると工場を稼働させることとなり、工場機器を動かせば電力の使用、排気ガスの排出、汚水の排出など自然環境に対して悪影響を与えることとなります。これらの影響が甚だ大きい場合『著しい環境側面』であり、要求事項の中にも登場するキーワードです。

この著しい環境側面を解消するために、環境目標の設定や維持管理が企業に求められています。

環境側面はネガティブなものだけではなく、ポジティブなものもあり、『製品の品質を高める』という企業活動に対して、『不良品の削減』という本業とつながった環境側面が生まれます。

環境側面の良し悪し

順守義務(法令、その他要求事項)

“順守義務”とは、iso14001:2015の要求事項に組み込まれている項目です。環境マネジメントシステムを構築する上で、環境関連の法規制や業界団体、取引先とのルール作りに関連するものとなります。

例えば、工場を運営する企業であれば、ボイラーからの排ガスや有害大気汚染物質などが『大気汚染防止法』に触れる項目なので、運用にあたって排ガスや有害大気汚染物質の処理に対してルールを決めないといけません。他にも工場関連であれば、『水質汚濁防止法』や『土壌汚染対策法』、『騒音規正法』など複数の環境に関する法に触れることになります。

ISO14001の要求事項

1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義
4.組織の状況

PDCAのP にあたる部分で、組織における内外の状況の理解や利害関係者 のニーズを理解した上で、環境マネジメントシステムの適用範囲の決定などを行っていきます。

5.リーダーシップ

PDCAのP にあたる部分で、環境目標の達成のために全員が積極的に参加している状況を作り出すことをトップの役割として、環境方針の作成や必要な組織体制の確立、権限などを明確にしていきます。

6.計画

PDCAのP にあたる部分で、リスクや機会の活動計画策定や環境方針に従った目標設定などを行います。環境マネジメントシステムの変更の場合についても計画的に行うことが求められています。

7.支援

PDCAのP にあたる部分で、組織の文化や社風、仕事の環境、情報などの資源を特定・管理していきます。管理対象の文書化 も求められています。

8.運用

PDCAのD にあたる部分で、計画通りに運用していくことが求められています。緊急事態への備えや訓練を実行することも必要になってきます。

9.パフォーマンス評価

PDCAのC にあたる部分で、監視測定の方法を明確にします。順守評価の確認や分析、運用状況が適正か自社内でのチェックも行います。トップによる運用などの確認・評価も求められています。

10.改善

PDCAのA にあたる部分で、何を改善するか決めていきます。不適合の場合の対応や是正処置 、是正処置が有効だったかを評価記録します。継続的な改善が求められています。

ISO14001の取得の流れ

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP1プロジェクトチームの結成

得に向けた中心となるチームを結成。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP2キックオフ宣言

トップマネジメントによるISO規格取得への取り組みを行う宣言をする。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP3現状(ギャップ)分析

現状のマネジメントシステムが、ISO14001の要求事項とどれくらい離れているかを明らかにする。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP4マニュアル・手順書作成

STEP3で分析した結果をもとに、要求事項に適合する為の環境マニュアルや手順書の文書化を行う。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP5下位文書作成

下位文書(作業指示書・記録方法を定めた文書)で、マニュアルや手順書との整合性を保つ。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP6実践

マニュアルなどをもとに、現場へ導入。仕組みが機能しているかや無理なく導入できているかの確認や改善を行う。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP7 内部監査員 養成セミナー

仕組みが機能しているかを定期的に社内の人間がチェックできるように、監査ノウハウのセミナーを実施する。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP8 内部監査

策定した決まり事がちゃんと運用されているか確認を行う。運用できていない箇所の要因確認をし、その記録を残す。※最低2名の内部監査員が必要

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP9 マネジメントレビュー

内部監査の結果、運用状況を決裁者に報告、課題に対しての対策方法や今後の方向性に関する回答をもらい、記録に残す。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP101次審査(文書審査)

マニュアルなどの文書が要求事項に適合しているかの審査。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP112次審査(現地審査)

文書どおりに運用がされているか、実態はどうかの現地審査。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP12是正処置

審査の結果、不適合とされた場合、マネジメントシステムの是正を行います。是正完了後は登録待ちとなります。

推進チームメンバーと現場、現物の確認

STEP13 認証取得

審査が通過すれば、ISO14001認証の取得となります。

ISO14001を取得するメリット

ISO14001を取得するメリットとして、社内的な改善と対外的な改善を見込むことができます。例を挙げるとペーパーレス化の推進などがあり、社内の資料を紙媒体から電子データに切り替えると、紙代や印刷代、破棄費用などを軽減することが可能となり、従業員や企業の負担を軽減できます。これにより、省エネやエコなど対外的に自然環境への貢献も可能です。

このようにISO14001を取得することで、従来の企業活動では発見できなかったムダを見つけるきっかけとなります。さらに社会的信頼や自然環境への対外的アピール、顧客満足度の向上などに繋げることが可能です。

ISO14001を取得するのはこのような企業

ISO14001を取得する企業には製造業を初め、商社なども含まれています。取得理由には取引先からの要望などがありますが、他のISO規格と組み合わせて総合マネジメントシステムを構築するために取得する企業、企業環境や自然環境への改善を模索する企業などさまざまです。

  • 建設業
  • 商社
  • ビルメンテナンス業
  • 食品製造業
  • リサイクル業
  • 金属加工業
  • 電子機器製造業
  • 印刷業
グリーン調達
商社などがISO14001を取得する理由として“グリーン調達”があります。グリーン調達とは、商社が取り扱う製品が自然環境の負荷が少ないものを積極的に取り扱っていることです。それに合わせて、ISO14001を取得している企業も多く存在します。グリーン調達と合わせて、改正RoHS(RoHS2)指令やREACH規則、chemSHERPAに対応するため、ISO14001を取り入れている企業が多いです。

ISO14001取得に関してよくある質問

ISO14001を取得するメリットはどのようなものですか?

ISO14001の考え方には環境の見直しがあります。企業環境であれば、組織運用における課題の発見や今後の組織運用などに繋がります。自然環境に対しては環境保全をすることで取引先からの信用などを得ることも可能です。

ISO14001には有効期限があるのでしょうか?

ISO14001には有効期限が登録もしくは更新してから3年間の有効期限が設けられた登録書を発行します。

ISO14001は一部の部署のみでも取得可能なのでしょうか?

ISO14001は、工場のみ、本社のみなど対応可能です。全社で取得する場合はグループ会社内で同一のルールで運用することになるので、全社で運用できる統一された仕組みを構築することになります。

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