• 著しい環境側面とは、「環境に影響を与える原因となる」とみなされた組織活動(環境側面)の中でも、一定の基準を越える環境側面のこと
  • 著しい環境側面決定のプロセスは複数あり、要求事項では特に規定されていない

ISO 14001では、組織活動の中で環境 に影響を及ぼす側面(環境側面)を洗い出し、その中から著しい環境側面というものを決定します。つまり、環境側面の中でも特に影響が大きいと判断されるものが「著しい環境側面」となるのですが、「影響が大きい」とは何をもってして判断するのでしょうか?
これは、ISO14001の中でも非常に分かりにくい要素の一つです。

ということで、今回は著しい環境側面をどのように決定すれば良いのかということについてご紹介していきましょう。

著しい環境側面とは

著しい環境側面とは、環境側面を洗い出し影響評価をした結果をもとに、「環境に影響を与える原因となる」とみなされた組織活動(環境側面)の中でも、一定の基準を越える環境側面のことを言います。

例えば、組織が営業活動を行う際に営業車を利用することがあると思いますが、この営業車を動かすことで排気ガスを大気にバラまいてしまいます。——この、「大気に排気ガスを排出してしまう」というものが環境側面となります。「大気」という環境に対して影響を与えてしまっていますよね?

この他にも、組織は様々な活動を通じて様々なものをアウトプットしています。——例えば、マーケティング部門は「提案書」や「企画書」のような紙をアウトプットしていますし、製造部門は騒音のような目に見えないものをアウトプットしているでしょう。このような、活動の結果アウトプットされたものを、与える影響の良し悪しに関わらず環境側面と呼ぶのです。

さて、ではこの環境側面の中でも特に重要であるとみなされる「著しい環境側面」はどのように抽出されるのでしょうか?

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著しい環境側面は、環境評価によって決定する

ISO14001による環境マネジメントシステムを構築する際には、環境側面を抽出した上で環境影響 評価というものを実施します。——この環境影響評価をどのように実施するかということは、ISO14001 規格 内では言及されておらず、組織の自由裁量に委ねられています。——しかし、多くの場合は以下のような評価方法を採用することになるでしょう。

点数化

点数化は、環境側面ごとに環境影響を点数化していく方法です。環境影響とは、「どの程度環境に影響を与えているか」ということを意味するキーワードですが、この環境影響の中に基準を設けてその環境側面がどの程度重大なものかということを表にして可視化していくのです。

例えば、下記のような基準を設けると良いでしょう。

発生の頻度

1点・・・1年に1回程度
2点・・・3ヶ月に1回程度
3点・・・1ヶ月に1回以上

影響の深刻さ

1点・・・軽微
2点・・・警戒すべき
3点・・・即時改善が望ましい

影響の規模

1点・・・適用範囲
2点・・・周辺地域を含む
3点・・・全国広範囲

影響の持続時間

1点・・・1日〜数日
2点・・・1ヶ月〜3ヶ月
3点・・・3ヶ月〜

例えば、以下のような表にしてみると、その環境側面の重大さを評価できるはずです。

環境側面 頻度 深刻さ 規模 持続時間 合計
汚水の排出 2 2 1 2 7
排ガスの排出 1 1 1 1 4

上記表から、6点以上の環境側面については、著しい環境側面の候補として抽出するなどの基準を設けると良いでしょう。

有数化

有数科とは、評価項目というものを設定し、各環境側面がどの評価項目に影響を与えているかということを評価。その個数に応じて環境側面を評価する手法です。

例えば、以下のような表を作成し、環境側面を評価していくと良いでしょう。

大気汚染 水質汚染 騒音 地球温暖化 クレーム 法的規制 合計
汚水の排出 2
排ガスの排出 3

これらの評価手法を用いて、環境側面を評価していくことを「環境影響評価」と言います。——もちろん、組織の環境方針によっては異なる評価手法を採用した場合が良いこともありますので、あくまで一例として認識していただければと思います。

総合影響評価でさらに抽出を行う

さて、著しい環境側面を抽出するためには、上記の手法のみで問題ないこともありますが、さらに細かく環境側面の評価を行うとより良いEMSを構築することができるでしょう。

総合影響評価に関しても、ISO14001では特にその手法について言及されていません。このため、組織の状況に応じた評価手法を採用することになります。例えば有数化手法と点数化手法をかけ合わせて、その環境側面の評価点を算出していくことで、その環境側面の影響の大きさや重大さを抽出することが可能です。

こういった細かい環境評価を行っておくことのメリットとしては、

  • 組織の環境に与える影響を定量化して監視することができる
  • 環境活動の正確な評価ができるようになる

といったことが挙げられます。

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まとめ

今回は、著しい環境側面の抽出方法についてご紹介してきました。著しい環境側面は組織の環境方針によって「どのように実施するか」が変わってきますので、どのような評価を行うことが最適かということについては慎重に決定すると良いでしょう。

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