• ISO14001の「リスクと機会」では良い環境影響と悪い環境影響のことを指す
  • ISO14001では、リスクアセスメントで事業活動における環境影響を特定・分析・評価することが重要

ISO 14001では、規格要求事項内で明確にリスクアセスメント という言葉は用いられていませんが、リスクアセスメントと同じことを行う必要があります。ISO14001内では 環境 影響評価を実施する必要があるとしています。では、ISO14001のリスクアセスメントはどのようなプロセスで実施されるのでしょうか。

そこで、この記事ではISO規格における「リスクと機会」の考え方やISO14001の「リスク」の見つけ方であるリスクアセスメント、ISO14001における「リスクと機会」の具体例を紹介します。

ISO規格における「リスクと機会」の考え方


まずはISO規格全般における「リスクと機会」の考え方について解説します。

リスク

リスクとは、マネジメントシステムにおける将来の不確実性の高い出来事のことです。
事業活動への悪影響を与える出来事はもちろん、特需による売上の大幅な向上などもリスクと考えられます。

機会

機会には明確な定義はありませんが、ある程度自社の事業活動に良い影響を与える要素です。時間の流れや状況の変化、新たな技術革新などが相互に作用することにより、機会となる影響が発生します。将来のある程度確定的なことが当てはまるかもしれません。

ISO規格における「リスクと機会」の詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:【具体例あり】ISOの「リスクと機会」とは?目的や概要を解説
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ISO14001の「リスク」の見つけ方:リスクアセスメントとは

ISO14001ではリスクを見つけるために、「リスクアセスメント」という手法を用います。
リスクアセスメントとは、リスクを特定し、そのリスクの影響範囲や重要性について分析することです。リスクが一定の基準を満たすものかどうかということを評価する一連のプロセスの集合のことを言います。

ISO14001では、「著しい環境側面」というものを決定する必要がありますが、著しい環境側面を決定するプロセスでは、環境マネジメントシステムにおけるリスクアセスメントを実施する必要があります。

著しい環境側面とは、環境側面の中でも特に重要性・緊急性の高い環境側面のことです。この重要性や緊急性は主観的に決定して良いものではありません。つまり、ある合理的な手法に基づいて著しい環境側面は決定されるべきなのですから、このプロセスにおいてリスクアセスメントを実施する必要があるのです。

関連記事:【ISO14001】著しい環境側面はどのように決定すれば良い?

ISO14001:リスクアセスメントのプロセス

リスクアセスメントの流れ
ISO14001におけるリスクである悪い環境影響を特定するためには、以下のようなプロセスが必要になります。

1.環境影響の特定

環境影響の中でも重大で緊急性の高い環境影響を特定するためには、まず環境影響を洗い出す必要があります。組織が計画した活動を行うことで、環境影響を与える側面にはどのようなものがあるのか、またどのような環境影響を与えるのかということについて特定するプロセスが必要です。

また、ISO14001では地球環境はもちろん、政府や取引先、消費者、地域住民、従業員などの利害関係者が対象範囲であることを意識して特定しましょう。組織の内部環境・外部環境への影響をそれぞれ確認してください。

これは、情報セキュリティマネジメントシステムなどでは、リスク特定と類似するプロセスです。

2.環境影響の分析

次に特定した環境影響が誰に対して、どのような影響をどの程度、あるいはどれくらいの頻度で与えるのかということを分析します。

これはリスクアセスメントでは、リスク分析と呼ばれるプロセスです。

3.環境影響評価

次に組織が定めた環境方針と整合性の取れた基準を設け、環境影響がある一定の基準を満たしているかどうかということを評価していきます。この環境影響評価を行った結果、その環境影響がどの程度のレベルなのかということを判断しやすいように、可能であれば数値化しておきましょう。

環境影響評価の方法は様々ありますが、規格はこの手法について特に規定を設けているわけではありませんので、組織が望ましいと考えた手法によって環境影響の評価を行います。

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何をリスクとみなすのかという視点も重要

ISO14001でリスクアセスメントを行う場合、「何をリスクと捉えるか」ということでつまずく企業も多いのです。リスクは「過去から今現在」という視点で考えてしまいがちですが、ISO14001では「予防」という考え方も存在します。

つまりフィードバック的にリスクを特定するだけではなく、フィードフォワード 的な考え方を取り入れる必要もあるのです。

また、環境側面という視点から環境影響について考えることも重要です。環境影響からリスクを考えると、既に与えている影響に着目してしまうことになります。一方の環境側面から考えることは、「将来的に与えるであろう環境影響」についても考慮することにもつながります。

ISO14001におけるリスクアセスメントでは、他のマネジメントシステム規格で実施するリスクアセスメントよりも、フィードフォワード的な視点が強いことも認識しましょう。

ISO14001の「リスクと機会」の具体例


ここまでリスクと機会の見つけ方について解説しましたが、最後にISO14001の「リスクと機会」の具体例を紹介します。

「リスク」の具体例

ISO14001における「リスク」の具体例を、以下にまとめました。

  • 地球規模で起きている環境汚染や気候変動、資源枯渇などにより、環境目標が未達成になること
  • 法律の策定により、遵守義務が増えたり、変更になったりすること
  • 自然災害により新たな環境負荷の要因が判明すること
  • エコエネルギーに関連する機器や機械の故障
  • 不良品が多発したことにより、追加製作する際に使用する資源の増加

「機会」の具体例

ISO14001における「機会」の具体例を、以下にまとめました。

  • 環境への取り組みにおける新たな国・地方自治体からの助成策の決定
  • 環境負荷低減のための新技術の開発・導入
  • 環境に優しい新事業の活動により、新たな顧客層の獲得

ご紹介した例は、一般的な内容であるためどの会社にとっても当てはまるわけではありません。適切なリスクアセスメントにより、自社の「リスクと機会」を見極めましょう。

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まとめ

今回は、ISO14001におけるリスクアセスメント(環境影響評価)について解説してきました。リスクアセスメントは環境マネジメントシステムにおけるPDCAサイクルのPの部分の最重要項目である環境目標 を決定するために必要なプロセスです。

つまり、PDCAサイクルを回すために重要な前準備だと言うことができるでしょう。リスクアセスメントの重要性を理解した上で、適切にリスクアセスメントを行うように心がけましょう。

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