ISO45001認証を取得する方法と流れを知ろう
これからISO
45001の認証取得を考える企業にとって、どのような流れで認証取得に向けて動くのか気になるポイントではないでしょうか?
この記事では、現役のISOコンサルタント監修のもと、ISO取得の流れをきめ細かくステップに分けてご紹介しております。各ステップで重要なポイントの解説はもちろん、全てのステップをどのくらいのスケジュールで進めるのかも解説をしていますので、ぜひ御覧ください。
目次
ISO45001を取得するための11の手順
ISO45001の認証を取得するためには、マネジメントシステムを構築し、運用し、審査を受ける必要があります。具体的には以下のステップを踏むことでISO45001認証を取得することが可能になります。
- 労働安全衛生方針、労働安全衛生目標の作成
- 文書構築(マニュアル、手順書等)
- 帳票整備
- 運用+運用記録作成
- 内部監査
- マネジメントレビュー
- 是正処置
- 第一段階審査
- 第二段階審査
- 是正処置(該当する場合)
- 認証取得
また、ISO45001の認証取得後も認証を維持するために1年に1回~2回の維持審査(サーベイランス審査)、3年に1回の更新審査を受ける必要があります。以下では、認証取得後のステップも合わせて詳しく解説していきます。
1.労働安全衛生方針、労働安全衛生目標の作成
労働安全衛生方針とは、労働安全衛生マネジメントシステムを構築する土台となる方針のことです。そして、労働安全衛生目標
とは労働安全衛生マネジメントシステムの中でも中核となる文書となるため、組織の目的や内外の課題、組織の全体的な方針(経営理念や企業目的)と整合したものを作成するように心がけましょう。
労働安全衛生方針ってどんなもの? 「労働安全衛生方針」は、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)の認証取得有無に関わらず、事業場全体で安全衛生管理・労働災害防止活動に取り組む際に重要になります。事業者(経営者)は、国内における… 労働安全衛生目標ってどんなもの? ISO45001に基づいた労働安全衛生マネジメントシステムと構築する上で必須となる労働安全衛生の計画ですが、その中で「労働安全衛生目標」を作成する必要が出てきます。
労働安全衛生目標とは、労働安…
2.文書構築(マニュアル、 手順書等)
ISO45001では、下記の事項を満たす文書を作成する必要があります。
- 4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定
- 4.4 労働安全衛生マネジメントシステム
- 5.2 労働安全衛生方針
- 6.2 労働安全衛生目標及びそれを達成するための計画策定
- 8.1 運用の計画及び管理
一般的には上記の内容を含む文書をそれぞれ作成しますが、必ずしも労働安全衛生方針は「労働安全衛生方針」という文書として作成する必要があるわけではありません。ISO認証のための文書としてではなく、実際に本業で活用することができる形で文書化することが望ましいでしょう。(※ただし、手順書、マニュアルを作成することは規格 は要求していません。)
3.帳票整備
帳票整備は軽視されがちですが非常に重要なステップです。このステップでは見積書や契約書、仕様書など現場で使用する帳票のフォーマットの整備や保管方法、変更の管理方法などを決定します。この帳票整備をしっかり行わないと審査時にフォーマットに指摘が入ったりすることでこの後の運用ステップで対応方法や記録の方法が変わってしまいます。以下の要求事項を満たせるようにしっかりと帳票整備を行いましょう。
- 必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
- 情報が十分に保護されている。
- 配付,アクセス,検索及び利用が可能である。
- 読みやすさが保たれ、保管及び保存されている。
- 変更の管理がされている
- 保持及び廃棄方法が適切である
4.運用+運用記録作成
帳票を整備することができたら労働安全衛生目標の達成を確実にする労働安全衛生計画を実行し、マネジメントシステムを運用していきます。運用フェーズはPDCAサイクルのD(実行)の部分に該当します。運用の記録や検証の結果を作成した帳票に記入し、後から振り返りができるようにしておきましょう。
5.内部監査
ある程度の機関運用して帳票も作成できたら、内部監査
を行います。内部監査とは、組織内部の人間によってマネジメントシステムを評価する監査のことです。内部監査では内部監査員
としての
力量
を身に着けた数名が「マネジメントシステムが規格要求事項に合致しているか、ルール通り運用されているか(適合性)」ということと、「ルール通り運用していることが改善の役に立っているか(
有効性
)」を主に評価します。また、意図した通りにマネジメントシステムが現場で運用されているか(複雑すぎて形骸化していないか)についても確認しておくと良いでしょう。
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6.マネジメントレビュー
内部監査が完了したら、内部監査の結果に基づいてマネジメントレビュー
を実施します。マネジメントレビューとは、トップマネジメントによって行われる労働安全衛生マネジメントシステムの評価のことです。マネジメントレビューでは、内部監査の結果や労働安全衛生目標と労働安全衛生計画の乖離、利害関係者
からの
フィードバック
をもとに、「改善の機会」および「労働安全衛生マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性」、「資源の必要性」について
アウトプット
します。また、マネジメントレビューの記録についても残しておくようにしましょう。
専門家が教える!マネジメントレビューの方法を徹底解説 マネジメントレビューとは企業が今まで行ってきた活動やマネジメント体制を“次”に活かすために振り返り懸念点や問題点を洗い出すことです。基本的にマネジメントレビューの判断は経営陣などのトップマネジメントが…
7.是正処置
内部監査やマネジメントレビューの結果、是正処置が必要な場合(不適合があった場合)は是正処置を行います。是正処理とは不適合があった場合に原因を除去し、再発を防止するために行うことです。ここで注意しておきたいことは、取り急ぎ不適合を回避するための「修正」と是正処理を混同しないようにすることです。有効な是正処置を行えるようにすることも内部監査員の重要な役割です。
8.第一段階審査
是正処置まで完了して、マネジメントシステムを3ヶ月~半年程度運用できたら、いよいよ審査機関に審査を依頼します。第一段階審査(一次審査)は文書審査とも言われており、マニュアルや手順書が要求事項を満たしているかどうかが確認されます。 内部監査員が教えるISO審査機関の一次審査のポイントとは ISO規格の認証を新規取得する場合、マネジメントシステム構築後3ケ月~半年程度運用して実績を作り、内部監査実施後、初回審査(一次審査・二次審査)を受けます。本稿では、「一次審査」を受けるための準備とし…
9.第二段階審査
一次審査の結果、文書類が要求事項を満たしていると判断された場合に二次審査に移行します。二次審査では一次審査で提出した文書類をもとに現地審査が行われます。現地審査ではISOの担当者やトップマネジメントだけでなく、現場の作業員や労働安全衛生責任者にも質問がされるため、想定される質問に対して適切に答えられるように準備をしておきましょう。 内部監査員から見たISO審査員による二次審査のチェックポイント 今回のテーマは、「二次審査」(初回審査)です。一次審査について詳しく知りたい方はこちら。
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10.是正処置(該当する場合)
第一段階審査、第二段階審査後に発生する是正処置は、審査機関の審査で不適合があった場合に是正処置を行います。指摘箇所に対して有効な是正処置を行うことで、認証取得を行うことができます。
11.認証取得
二次審査の結果、労働安全衛生マネジメントシステムがISO45001規格要求事項を満たしていると判断された場合、認証が発行されます。二次審査から一ヶ月程度で認証が発行されます。不適合があった場合は是正処置を行う必要があり、認証取得予定日もずれ込んでしまうため注意が必要です。
認証取得までのスケジュール
ISO45001 の認証を取得するまでの期間は、会社規模や適用範囲、自社で取得するかコンサルタントを入れるかで、大きく異なってきます。
適用範囲が広ければ、その構築や審査に時間を要します。
経験の多いコンサルタントへ依頼することで、経験のない自社で構築するよりも早いという違いも出てきます。取得したい時期や費用感などを踏まえて、最適な選択をする必要があります。
取得後の運用・審査も意識しておこう
ISOは認証を取得してからも運用する必要があり、また年に1回~2回行われるサーベイランス審査、3年に1回行われる更新審査にも備える必要があります。運用や更新審査が負担にならないよう、構築時からスリム化した運用を行うことで、低コストで認証を維持できるようになります。
ISO45001の取得に関してのQ&A
スケジュールにあるキックオフ宣言とはなんですか?
キックオフ宣言とは、企業のトップマネジメントが社員に対してISOを取得することを宣言することです。宣言をすることで全社員の指揮を高め目的達成のために行動します。
ISO45001は一部の部署のみでも取得可能なのでしょうか?
ISO45001の取得は全社取得はもちろん、本社のみや○○工場といった取得も可能です。全社取得の場合は適応範囲が広いので費用やスケジュールが増大してしまいますが、部分取得であれば短期間での取得を目指すことができます。
ISO45001を取得するにあたってハードルは高いものでしょうか?
ISO45001の取得には、ISOに対してどれだけの時間をとることができるのか、どれだけの予算が組めるのかなどの問題があります。文書作成、業務文書との紐づけなどの構築をいかにスムーズに進められるかが重要です。ハードルの高さは、構築のレベルから直結し、構築に携わる方(コンサルタントや自社担当者様)により異なります。裏を返すと、うまくやれれば低めにも調整できます。
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