労働安全衛生方針 」は、労働安全衛生マネジメントシステムOHSMS )の 認証 取得有無に関わらず、事業場全体で安全衛生管理・労働災害防止活動に取り組む際に重要になります。事業者(経営者)は、国内における労働 環境 や労働災害状況、労働安全衛生に関する法令等について情報を収集しつつ、活動方針を決定しなければなりません。
 例えば、「従業員の負傷や病気などを防ぐために方針の中に安全で健康的な 職場 を提供する」などを取り入れます。この方針は、企業や業種、経営者、担当するコンサルタントなどによって異なるものであり、全体的に共通して言えるのは、企業の関係者が一丸となって安全衛生活動をすることです。
本稿では、事業者が労働安全衛生方針を決定する際の一助となるよう、基本方針策定の留意事項について掲載します。

≪留意事項≫

  • 国内における労働災害の発生状況
  • 労働災害に関連する法令
  • 労働安全衛生方針の確立で重要性なこと
  • OHSMS基本方針に対するISO45001:2018要求事項

はじめに

労働災害発生状況について

事業者は法律を遵守し、OHSMSの導入や、ゼロ災運動(*1)・危険予知訓練(KYT)など各企業の自主的な取り組みの効果もあって、毎月厚生労働省から公表される「死亡災害発生状況・死傷災害発生状況(速報)*2」(2019年10月集計)によると、全産業集計した労働災害事故件数はここ数年減少傾向にあります。ただし、2019年の全産業死傷者数(死亡災害及び休業4日以上の死傷災害)は「79,591人」で、この9ヶ月間で約8万件の死傷災害が発生しています。労働災害防止の取り組みが不十分な事業者は勿論のこと、すでに労働災害防止活動に取り組んでいる事業者についてもさらなる継続的改善が必要で、労働災害事故を低減するための取り組み(改善活動)が必要不可欠です。

*1ゼロ災害全員参加運動(ゼロ災運動)

人間尊重の理念に基づき、全事業場において全員参加で安全衛生を先取りし、一切の労働災害や疾病を出さず「ゼロ件で抑えよう」とする究極の目標を掲げた運動です。
経営者・労働者一体となって、それぞれの立場・持ち場で労働災害防止活動に参加し、
職場・作業に潜む全ての危険性を発見・認識・解決し、目標を達成します。

*2 毎月厚生労働省-公表の「死亡災害発生状況・死傷災害発生状況(速報)*2」(2019年10月集計)は、当サイトISO45001シリーズの「なぜ今労働安全衛生マネジメントシステムが必要なのか?」でご確認頂けます)

労働安全衛生関係の法令について

①事業者に義務づけられている措置

事業者は労働災害を防止し、自主的な安全衛生活動を推進するよう、労働安全衛生法では事業者に対して以下の措置を義務づけています。

措置内容
  • 危険防止の措置
  • 健康管理の措置
  • 安全衛生管理体制の整備
  • 安全衛生教育の実施
2014年6月改正内容
  • 労働時間の状況把握
  • 面接指導
  • 産業医および産業保健機能の強化(ストレスチェックの実施)
  • 法令等の周知方法
  • 心身の状態に関する情報の取扱い

②労働安全衛生法第2条「適用範囲」

原則、労働者を雇用するすべての事業について適用されますが、下記に該当する者は、適用外となります。ただし、ISO45001を認証する場合、下記に該当する者を含めた、働く人すべてが対象となります。

  • 家事使用人
  • 船員法の適用を受ける船員
  • 国家公務員(5現業の職員を除く。)

労働安全衛生方針の確立で重要性なこと

労働安全衛生方針とは

労働災害を防止するには、経営者・労働者・取引先などの利害関係者も含め、事業場が一体となって取り組む必要があり、「労働安全衛生方針」は活動指針になります。事業場の安全衛生方針を策定して全従業員に周知し、全員が基本方針や労働災害防止の取り組みについて理解し、正しく行動できるよう安全衛生教育を実施しましょう。

【基本方針の例】

  • 安全衛生管理体制の強化
  • 安全衛生教育および訓練の充実化
  • 目標達成に向け、各自主体的に行動
  • OHSMSを有効活用し、労災x%以下
  • コンプライアンスの遵守
  • 関連した法律、条例、要求事項等を守る
  • 危険源の除去、労働災害の防止
  • 労働安全衛生マネジメントシステムの改善

トップ・マネジメントが率先して行動しましょう

ここで、重要になるのが「経営者」(トップ・マネジメント)の姿勢です。
トップ・マネジメントは、事業場に危険性や有害性がないか労働環境の安全性について把握し、ゼロ災運動など労働災害防止活動の支援、労働者の健康などについて積極的に取り組んでいく必要があります。トップ・マネジメントや工場長が現場に出向いて直接安全衛生を指導するなど、トップ・マネジメントが率先して行動することが重要です。

OHSMS基本方針に対するISO45001:2018要求事項

OHSMS認証を取得する場合、ISO45001:2018の要求事項に基づいてマネジメントシステムの仕組みを構築します。OHSMS 方針については、ISO45001:2018の「5箇条」に以下のように定義されており、「5.2箇条」に基づいて労働安全衛生方針を決定します。また、ISO45001では、労働者のみでなく、経営者も含む現場で働く人々すべてを対象とした仕組みを構築することを求められています。

ISO45001における労働安全衛生方針に対する要求

【ISO45001:2018の要求事項】
5.リーダーシップ及び働く人の参加
5.1 リーダーシッブ及びコミットメント
・トッブマネジメントは,次に示す事項によって,労働安全衛生マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない.
a)労働に関係する負傷および疾病を防止すること,及び安全で健康的な職場と活動を提供することに対する全休的な責任及び説明責任を負うこと
b~m) 省略

トップマネジメント
組織を指揮し,管理する個人または人々の集まり社長個人ではなく,役員層および経営層が該当
・説明責任明をする責任だけでなく,結果に対する最終責任も負う

5.2 労働安全衛生方針
・トップマネジメントは,次の事項を満たす労働安全衛生方針を確立し, 実施し,維持しなけれぱならない
a~f) 省略
・労働安全衛生方針は次に示す事項を満たさなければならない

-文書化した情報として利用可能である
-組織内に伝達する 一必要に応じて利害関係者が入手可能である
-妥当かつ適切である ・労働安全衛生方針は, 労働安全衛生パフォーマンス を支え, 継続的改善のためにトップマネジメントが組織の方向性を示 すコミットメントとして明示する原則 ・労働安全衛生方針の策定に当たり,組織は方針の一貫性 及び他の方針との調整を考慮することが望ましい.

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