• ISO45001は労働安全衛生にまつわる国際認証規格
  • ISO45001の導入によって、94%の事業所で労働災害やヒヤリハット体験が減少した

労働安全衛生にまつわる国際規格ISO 45001」。これから取得を考えている人からしてみれば、何を理解し、どのように進めれば良いのかわからず、不安を抱いている方も多いかと思います。
日本では昨今の労働問題から、労働安全衛生に対する関心は高まってきており、ISO45001を取得することで労働災害削減への取り組みを対外的アピールすることも一つの取得目的になっています。

この記事では、ISO45001をこれから学ぼうとする人向けに基本的な情報を抜粋して簡単にISO45001を理解できる内容になっています。ISO45001や労働安全衛生マネジメントシステム の概要、取得目的、要求事項、取得の流れについて解説します。

そもそもISOとは世界基準のモノサシです。
ISO45001は企業に勤務している従業員に対して労働災害など危険源を排除する仕組みを構築するガイドラインのことです。
そもそもISOとは?

ISO45001とは?


ISO45001とは、国際標準化機構による規格のひとつです。『労働災害など、危険源 を排除する仕組み構築のためのガイドライン』のことであり、製品やサービスが 働く人 々に与えるリスクを評価し取り組むための規格です。
この規格は労働安全衛生に関連する法令やその他要求事項を順守することはもちろん、組織が独自に労働 環境 を改善することを目的としています。

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労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)とは


労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)とは、組織の労働環境を認識し改善するためのシステムです。つまり、労働安全衛生の実現をするための「組織の仕組み」が労働安全衛生マネジメントシステムです。
精神論でただ「気をつけろ」といっても大きな変化は見られないでしょう。労働安全衛生マネジメントシステムを導入することで、継続的な改善を円滑に実行することができるのです。

OHSAS18001とISO45001の違いとは

OHSAS18001 とは、ISO45001が発行される前に存在していた労働安全衛生に関するマネジメント規格です。
大筋での要求事項は同じですが、 ISO9001 :2015など他の規格と同じ構成にして2018年に発行されたものがISO45001:2018です。OHSAS18001は、2019年10月に新規認証取得の申し込み受け付けを終了し、2021年9月に登録失効(コロナウイルスの影響で6か月延長)となりました。OHSAS取得企業はISO45001への移行が求められていました。
OHSAS18001をすでに認証されている企業はISO45001に移行するための審査を受けなければいけません。

ISO45001の取得目的と取得による効果

ISO45001を取得した企業はどのような目的から取得したのでしょうか。ここでは、ISO45001の主な取得理由や取得企業が多い業種、実際の取得による効果について紹介します。

取引先からの要求

ISO45001は世界で評価される国際規格です。信用の証になるので、取引先からISO認証規格が求められることがあります。

公共事業の入札加点に

公共工事の中にはISO45001を取得していることが参加条件となることがあります。そうでなくても、とりわけ建設関係の企業は入札加点の対象となることもあります。

業務効率化

ISO45001を取得するにあたって、作業工程の見える化を行います。その過程でこれまで見えなかった業務の無駄などを削減できるため、業務効率の見直しにつながるのです。

社内の意識改革

ISO45001を取得する過程で組織図や業務の割り振りを整えていきます。こうすることで、社員各々の役割や目指すものが明確になり、一人ひとりの意識が変わっていきます。

対外的アピール

職場の物理的、精神的な安全性への取り組みを行うことになるため、求職者へホワイトな企業であることをアピールすることもできるでしょう。採用率への寄与も見込めます。

取引や契約を優位にする・社内の改善が主な理由

ISO45001を取得する目的は企業によってさまざまです。
主な理由としては、取引先からの信頼獲得、公共事業の入札加点、業務の効率化、社内の意識改革などがあります。
取引や契約を優位にするためや社内整備などに重きを置いていると考えられます。

ISO45001の取得企業に多い業種

現在では建設業や製造業といった高所作業など危険な場所での業務が発生する企業が取得していることが多いです。
労働者の安全に対する意識が高まってきていることもあり、今後はサービス業などでも取得する企業がでてくるかもしれません。

ISO45001取得による効果


平成22年の厚生労働省の統計(労働安全衛生基本調査)によると、労働安全衛生マネジメントシステムを導入したことで94%の事業所が効果を実感しています。その内訳は、労働災害やヒヤリハット体験が「減少した」と回答した事業所が39.5%、「ある程度減少した」と回答した事業所が54.5%となっています。

労働安全衛生マネジメントシステムを導入することは、マネジメントシステムの本来の目的である「労働安全衛生上のリスクの低減」の他にも、取得目的でご紹介したように「取引先の拡大」「業務効率化」などのさまざまなメリットにつながるでしょう。

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ISO45001要求事項を解説

要求事項とは、ISO45001を取得するために国際標準化機構(ISO)が定めた企業が実現すべき基本的な要件のことです。
これからISO45001を取得しようとする企業や既に運用している企業はこの要求事項の要件を満たす必要があります。
ISO45001の要求事項では、労働安全衛生を実現するために危険源の管理方法などがきちんと機能しているかを判断します。

1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義
4.組織の状況
5.リーダーシップ及び働く人の参加
6.計画
7.支援
8.運用
9.パフォーマンス評価
10.改善
附属書A

労働安全衛生目標・労働安全衛生方針

ISO45001を構築するにあたって、決定の基準となる『労働安全衛生方針』と構築に向けて具体的に達成すべき『労働安全衛生目標 』の2つを定める必要があります。
労働安全衛生方針は、企業や組織で働く人の労働に関する負傷や疾病を予防し、安全で健康的な職場を提供する方針のことです。構築時には安全に労働できる環境を保てるようにしなければいけません。

労働安全衛生目標は、労働安全方針を実行するために定める具体的な目標のことです。よくある話として目標そのものが「認証取得すること」になりがちですが、あくまでも目標設定は労働安全衛生を保つことであり、働きやすい環境を向上させることです。

こうした認識のブレに注意し、策定した労働安全衛生方針や労働安全衛生目標を達成できるように取り組みましょう。

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ISO45001取得の流れについて

ISO45001の内容を把握したら次はISO取得の流れについて理解してみましょう。
最初はどこから着手するのか、全体像を把握することで取得に向けた動き方が理解できます。

STEP 内容 主な取得時間
STEP1 プロジェクトチームの結成 1か月目
STEP2 キックオフ宣言 1~2か月目
STEP3 現状(ギャップ)分析 2~3か月目
STEP4 マニュアル・手順書作成 3~7か月目
STEP5 下位文書作成 5~9か月目
STEP6 実践 6~12か月目
STEP7 内部監査員養成セミナー 8~10か月目
STEP8 内部監査 10~12か月目
STEP9 マネジメントレビュー 12~13か月目
STEP10 1次審査(文書審査) 13~14か月目
STEP11 2次審査(現地審査) 14~15か月目
STEP12 是正処置 15~16か月目
STEP13 認証取得 16か月目

※自社取得の場合のスケジュール一例です。

ISO認証取得までの基本的な流れは各規格で同様です。
ISO取得のための準備を行い、ISO規格の要求事項に沿ったマネジメントシステムを構築し、実際に運用をします。その上で審査を受け、通過することでISO規格の認証取得となります。詳しい詳細はこちらで確認できます。

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まとめ

ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)を取得することで、作業現場における労働災害やヒヤリハット体験の減少が期待できます。
そのため、取引先の安全を担保するために、取引条件や公共事業の入札加点になっており、多くの製造業や建築業などにおいて取得が進んでいます。ISO45001を取得する過程で自社の社員や事業を守る仕組みの構築・運用が可能になるだけでなく、自社の経営活動の発展につながるのです。

自社の事業体制を変革し、労働安全衛生マネジメントシステムを築きたい企業は、ISO45001の取得を検討することがおすすめです。

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