ISO45001の労働安全衛生目標・労働安全衛生方針とは?
ISO 45001規格 の労働安全衛生マネジメントシステムを構築するためには、労働安全衛生方針 と 労働安全衛生目標 を決定する必要があります。この労働安全衛生方針と労働安全衛生目標は、ISO45001規格の労働安全衛生マネジメントシステムの基軸となる概念ですが、具体的にどのように決定すれば良いのかわからないと考えている方も多いと思います。
ということで、今回は、労働安全衛生方針、労働安全衛生目標はそれぞれどのようなもので、どのように決定すれば良いのかということについて解説していきたいと思います。
労働安全衛生方針とは
労働安全衛生方針とは、働く人の労働に関係する負傷や疾病を防止し、安全で健康的な職場 を提供するための方針のことです。労働安全衛生マネジメントシステムは、この労働安全衛生方針を達成するためにある必要があります。
JIS Q 45001によると、労働安全衛生方針は、以下のような項目を考慮に入れて決定される必要があるとされています。
- a) 労働に関係する負傷及び疾病を防止するために,安全で健康的な労働条件を提供するコミットメントを含み,組織の目的,規模及び状況に対して,また,労働安全衛生リスク及び労働安全衛生機会の固有の性質に対して適切である。
- b) 労働安全衛生目標の設定のための枠組みを示す。
- c) 法的要求事項及びその他の要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
- d) 危険源を除去し,労働安全衛生リスクを低減するコミットメントを含む(8.1.2参照)。
- e) 労働安全衛生マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
- f) 働く人及び働く人の代表(いる場合)の協議及び参加へのコミットメントを含む。
JIS Q 45001
労働安全衛生方針は、例えば以下のようなものがあります。
労働安全衛生に関する法令及び当社が同意したその他の要求事項の順守、徹底に努めるとともに、OH&Sマネジメントシステムの継続的改善を実施する。また、労働安全衛生に関する役割と責任を明確にした労働安全衛生管理 体制を確立する。
労働安全衛生方針は、当社工場及び構内で働く者全員に周知徹底するとともに、協力会社等にも理解と協力を要請する。
労働安全衛生方針は、規格要求事項内で述べられているような要件を考慮して決定する必要がありますが、それ以外に関しては組織が自由に決定することができるものです。これは、経営方針や組織の内外の状況を鑑みて決定されるべきであるため、他社の方針を参考にしながら、自社にはどのようなものが当てはまるのかということを決定すると良いでしょう。
労働安全衛生目標とは
労働安全衛生目標とは、労働安全衛生方針を実行するためにある計測可能な労働安全衛生に関わる具体的目標のことです。
JIS Q 45001では、労働安全衛生目標は以下のようなことを考慮して決定されるべきであるとされています。
- a) 労働安全衛生方針と整合している。
- b) 測定可能(実行可能な場合)である,又はパフォーマンス評価が可能である。
- c) 次を考慮に入れている。
- 1) 適用される要求事項
- 2) リスク及び機会の評価結果(6.1.2.2及び6.1.2.3参照)
- 3) 働く人及び働く人の代表(いる場合)との協議(5.4参照)の結果
- d) モニタリングする。
- e) 伝達する。
- f) 必要に応じて,更新する。
JIS Q 45001
ポイントは、測定可能であるという点です。「労働安全衛生に関するセミナーを年3回実施する」、「ヒヤリハットの10%減少」といったように、数値を含んだものであるものが望ましいです。
労働安全衛生目標は、マネジメントレビュー の結果適宜チューニングを行うもの、PDCAサイクルのPの部分であるため、計測可能でなくてはレビューをすることができなくなるためです。
労働安全衛生方針と労働安全衛生目標の関係について
規格の要求事項にもある通り、労働安全衛生方針と労働安全衛生目標は整合性がとれている状態である必要があります。これは、OSHMSが労働安全衛生方針を実行するためにあるもので、OSHMSのPの部分が労働安全衛生目標であるためです。
労働安全衛生計画を実行することで、労働安全衛生目標を達成することができ、さらに複数の労働安全衛生目標を達成することで労働安全衛生方針の実現が可能となる…そんな上下関係にあるのです。
これは、会社の売上目標、営業マンの営業目標、営業マンが目標を達成するための計画の関係と似たような関係性です。
まとめ
今回は、労働安全衛生方針と労働安全衛生目標について解説してきました。これら2つの概念は労働安全衛生マネジメントシステムの中でも特に重要なものですので、トップマネジメントはしっかりと検討した上で決定し、組織内に伝達を行うように心がけましょう。
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