なぜ今、労働安全衛生マネジメントが必要なのか?
組織における労働災害事故の防止活動および職場 の安全衛生活動を活性化し、より快適な職場環境 を形成するための方策として労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS )が期待されています。厚生労働省から毎月公表される死亡災害発生状況・死傷災害発生状況についての集計結果「死亡災害発生状況・死傷災害発生状況(速報)」(集計時期:令和元年10月)を参考に、日本の労働災害状況や組織における自主的労働安全衛生活動の視点から労働安全衛生マネジメントの必要性について考察します。
目次
労働災害発生状況の視点から
厚生労働省が集計した、令和元年10月の「死亡災害発生状況・死傷災害発生状況(速報)によると、令和元年1月~9月までの全産業死亡者数は548人で、前年577人より僅かに減少(前年比△29人、増減率△5.0%)したものの死亡災害発生状況は殆ど変わりませんでした。全産業死傷者数は79,591人で、死傷者数は昨年より減少(前年比△1,861人)していますが、増減率を見ると「△2.3%」で、死傷災害発生状況が改善しているとは言えません。
また、労働災害事故を防止するための「第13次労働災害防止計画*1」(2018年4月~2023年3月)では、死亡者数を15%以上、死傷者数を5%以上減少させることを目標としていますが、労働災害防止計画の達成度についても、令和元年1月~9月間においては達成できていない状況です。
*1 労働災害防止計画
5年ごとに厚生労働大臣が策定する、労働災害事故を減少させるための、国や事業者・労働者等が目指す目標や重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
【第13次労働災害防止計画が目指す社会】
「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」を目指す。
組織における自主的労働安全衛生活動の視点から
各組織では、自主的に、日常的(あるいは定期的)に労働安全衛生活動を実施している
企業が多く、下記「労働災害事故防止活動」に挙げた方策を何かしら実施しています。
但し、その自主活動は大概独立しており、活動結果の分析・評価が不十分であったり、
活動結果を次のプロセス「改善活動」に繋げられず、意図する活動成果を得られない企業
も少なくありません。
◇労働災害事故防止活動
- 5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)
- 安全教育
- ヒヤリハット活動
- KYT活動(危険予知訓練)
- 指差呼称活動
- 日まわり活動(現場パトロール)
- リスクアセスメント *2
- その他
*2 リスクアセスメントでは、作業に伴う危険性や有害性を見つけ出し、リスク
(負傷または疾病の重篤度と発生の可能性)対策の優先度を設定して、除去・
低減するための措置を決定します。この一連の手順のことリスクアセスメントと言い、組織はその結果に基づいて適切な労働災害防止対策を講じます。
労働災害事故防止を図る上で最も効率的な方策
現在「OHSMS」に表記が変わり、2018年3月12日にISO 45001:2018が発行されましたが、「OSHMS 」の労働安全衛生マネジメントシステムの定義(*3)は引き継がれています。ISO45001では、さらに労働安全衛生マネジメントシステムの「狙い及び意図」が明確に示され、リーダーシップの強化や労働安全衛生パフォーマンス の向上、組織内外のコミュニケーションについて重視しています。事業者と労働者が一体となって、継続的な安全衛生管理を自主的に進める方策として「OHSMS」を利用することが労働災害事故防止を図る上で最も効率的で、導入効果が高いと期待されています。
*3 労働安全衛生マネジメントシステムの定義
OSHMSと呼ばれた労働安全衛生マネジメントシステムでは、厚生労働省所管の「職場のあんぜんサイト」の解説によると、『労働安全衛生マネジメントシステムは、事業者が労働者の協力の下に「計画(Plan)-実施(Do)-評価(Check)-改善(Act)」という一連の過程を定めて、継続的な安全衛生管理を自主的に進めることにより、労働災害の防止と労働者の健康増進、さらに進んで快適な職場環境を形成し、事業場の安全衛生水準の向上を図ることを目的とした安全衛生管理の仕組」とあります。
労働安全衛生を含む「統合マネジメントシステム」が構築できます
国際標準規格 と整合した労働安全衛生マネジメントシステムにも取組んでいく必要がありますが、「OHSMS」がISO規格化したことで、ISOマネジメントシステム規格が整合化され、附属書SL(共通テキスト)の採用、規格の箇条構造や用語定義などの共通化により、品質 管理(ISO9001 )・環境管理(ISO14001)・情報セキュリティ対策( ISO27001 )など他のマネジメントシステムとの運用と合わせて、労働安全衛生を含む統合マネジメントシステムとして容易に構築することができます。これにより、組織がOHSMSを導入することで、トップマネジメントの関与、組織の役割・責任および権限の割り当て、目標の確立、維持および継続的改善などの考え方を労働安全衛生分野に取り入れることが可能になります。
まとめ
労働災害事故防止対策業務の効率性の向上・効果期待、既存の他のマネジメントシステムと統合して運用・維持されたい場合には、OHSMS認証 を取得し、PDCAサイクルを継続的に実施することで改善効果を得やすくなりますので、OHSMSの導入を検討されると良いでしょう。
なお、OHSMS認証取得する際、適用範囲の規模にもよりますが費用はかかります。
業務負荷や費用対効果なども含め、OHSMS認証取得(更新)についてISO専門のコンサルタント会社に相談されることをお勧めします。
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