ISO 45001における「危険源 」という用語は、リスク管理プロセス(リスクアセスメント)や各組織によってその定義に多少の違いがあり、リスク=危険源と定義し単純に読み替え可能なものもあれば、リスク≠危険源というケースもあります。ここでは、ISO45001の箇条3:用語及び定義に基づいて表記し、説明していきます。

ISO45001:2018における「危険源」の定義について

危険源
「危険源」に関して、ISO45001:2018の認証 を取得する場合、当規格 6箇条(計画)-「6.1リスク及び機会への取組み」で要求事項がありますので対応が必要になります。
まずは、ISO45001における危険源の定義と危険源に関する用語ついて【箇条3:用語及び定義】で確認し、「危険源」とはどのようなものか理解しましょう。

【箇条3:用語及び定義】
3.18 負傷及び疾病(injury and ill health)
人の身体,精神又は認知状態への悪影響。
[注記1] 業務上の疾病,疾患及び死亡は,これらの悪影響に含まれる。
[注記2] “負傷及び疾病”という用語は,負傷又は疾病が単独又は一緒に存在することを
意味する。

3.19 危険源(hazard)
負傷及び疾病(3.18)を引き起こす可能性のある原因。
[注記] 危険源は,危害又は危険な状況を引き起こす可能性のある原因,並びに負傷
及び疾病につながるばく露の可能性のある状況を含み得る。

3.20 リスク(risk)
不確かさの影響。
注記1~注記4、 注記6省略
[注記5] この規格では,“リスク及び機会”という用語を使用する場合は,労働安全衛生
リスク(3.21),労働安全衛生機会 (3.22),マネジメントシステムに対するその
他のリスク及びその他の機会を意味する。

3.21 労働安全衛生リスク(occupational health and safety risk)/OH&Sリスク(OH&S risk)
労働に関係する危険な事象又はばく露の起こりやすさと,その事象又はばく露によって
生じ得る負傷及び疾病(3.18)の重大性との組合せ。

3.22 労働安全衛生機会(occupational health and safety opportunity)
OH&S機会(OH&S opportunity)
労働安全衛生パフォーマンス(3.28)の向上につながり得る状況又は一連の状況。

3.27 パフォーマンス(performance)
測定可能な結果。 ※注記1~2省略

3.28 労働安全衛生パフォーマンス(occupational health and safety performance)
OH&Sパフォーマンス(OH&S performance)
働く人 (3.3)の負傷及び疾病(3.18)の防止の有効性(3.13),並びに安全で健康的な
職場 (3.6)の提供に関わるパフォーマンス(3.27)。

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「危険源」に関する要求事項を見てみよう

危険源の特定

OHSMSの計画策定時に「リスク及び機会」について決定・評価するプロセスがありますが、その決定・評価する際の考慮事項の1つとして危険源を特定するよう要求が記載されています。

また、「リスク及び機会」については、ISO45001用語及び定義3.20リスク[注記5]に、以下のように定義されていることから、

  • 労働安全衛生リスク(3.21)
  • 労働安全衛生機会(3.22)
  • マネジメントシステムに対するその他のリスク及びその他の機会

「リスク及び機会」について決定・評価する場合、危険源の他に、以下の点についても考慮する必要があり、従来「危険源」とされたリスクは「労働安全衛生リスク」として評価されます。そこで、従来の「危険源」が労働安全衛生リスクとして取り扱われるた
め、労働安全衛生リスクのポイントについて次頁で取り上げることとします。

≪考慮事項≫

  • 危険源(6.1.2.1)
  • 労働安全衛生リスクとOHSMSリスク(6.1.2.2)
  • 労働安全衛生機会とOHSMS機会(6.1.2.3)
  • 法令等要求事項(6.1.3)

労働安全衛生リスク

リスクの対象範囲

労働安全衛生パフォーマンス関連で、これまで危険源とされてきたリスクや、労働安全衛生リスクアセスメントにより新たに抽出されるリスクが対象となります。

危険源の特定方法

危険源を特定する場合、作業(操作)的視点と作業環境的視点の両面から考慮する必要があります。

a.作業的視点

①危険源の特定方法

各業務の作業工程・作業手順、誤使用、危険行動等について危険源を特定します。

②対象となる主な危険源

機械的(稼動装置・フォークリフト)、電気的(感電)、熱的(火傷・火災・爆発)、生物学的(カビ・ウイルス)、化学物質的(有機溶剤)、放射線的、人間工学的(機械設備など誤使用の誘発のしやすさ等)、高所(転落・転倒)

b.作業環境的視点

①危険源の特定方法

巡回・定期点検等により危険源を特定します。

②対象となる主な危険源

作業環境に関するもの(床面、階段、高所、ガス・粉塵、騒音・振動、照度など)、運動・搬送に関するもの(人力移動、台車、運搬車)、VDT(長時間の繰返作業)

【留意点】

  • 従事者の動線上に危険源となるものはないか
  • 機械設備は、清掃・修理・保守(トラブル対策含む)の各種マニュアル等の整備
  • 必要に応じて従業者への教育、作業者の適正チェック
  • 足跡の痕跡(侵入経路)、保湿材の変形など異常を見逃さない
  • カッター、脚立、工具などの備品類の状態や数量の確認
  • 温湿度、臭気、異音など五感を働かせ、異常に気づく

リスク評価について

労働安全衛生リスクの場合、すべてのリスク(従来の危険源含む)を洗い出し、判定基準に基づいて評価します。見積もり方法の例としては、リスクアセスメントでは「負傷・疾病の重篤度」と「発生可能性の度合い」に応じたリスクの程度について点数化・記号化して見積もりますが、労働安全衛生リスクの評価(優先順位づけ)でも同様にリスクレベルを算出します。

要求事項

  • リスクの特定について⇒箇条6.1.2.1 危険源の特定
  • 判定基準の決定方法と判定基準について⇒箇条6.1.2.2 労働安全衛生リスク及び労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他のリスクの評価

リスク(危険源)の評価手順

≪リスクの特定手順≫

  • ①業務内容の調査・洗い出し
  • ②上記業務より危険源の抽出

≪リスクの評価手順≫

  • ③上記②で抽出されたすべての危険源に対して、既存のリスク管理策の有効性について検証
  • ④危害(負傷・疾病)の「発生可能性の度合い」と「負傷・疾病の重篤度」を見積る
  • ⑤労働安全衛生リスクの対策が必要(許容範囲外)か判断

危険源リストの作成

文書化要求に基づき、危険源リストに追加(更新)。
※危険源/危害・事象/原因/危険源の場所等の把握

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