今回は「ISO 9001:2015 5.2 品質 方針」についての解説です。

品質管理では、「顧客満足」、「顧客ニーズ」といった顧客志向の考え方を前提に事業活動を推進しますが、品質マネジメントシステム を導入することは顧客志向を実現するための施策の1つです。ただし、品質マネジメントシステムを導入するだけでは組織が期待するほどの成果を得ることは難しいでしょう。組織の意図する成果を得るには、品質マネジメントシステム 規格 である「 ISO9001 :2015」の 要求事項 を組織や適用事業に落とし込み、事業活動の課題を洗い出し、継続的改善に取り組まなければなりません。その運用プロセスの最初の一歩となるのが「 品質方針 」です。

2015年版「品質方針」の要求事項は、2008年版に比べ記載内容が簡素化されましたが、定義は2008年版を継承しており、より明確になっています。本稿では、巻末に掲載した「■ISO9001:2015要求事項 箇条5.2」に基づいて「品質方針」について説明していきます。
 

品質方針の確立

組織の目的

組織における品質マネジメントシステムの導入は、顧客満足の追求による事業の継続/発展(組織の存続)を目的としており、トップマネジメント(*1)は組織目的の実現に向けて、品質方針・品質目標 と組織の状況・戦略的な方向性を両立させなければなりません。

トップマネジメントは品質方針・目標を定め、表明

組織は事業継続/発展するために顧客重視であることが必要になりますが、トップマネジメントはどのように顧客満足の向上を実現していくのか、明確な品質方針及び品質目標を設定しなければなりません。組織の状況や要求事項への適合など考慮して、達成可能な品質方針を確立します。

*1 トップマネジメント

  • ・適用範囲が組織全体の場合、組織内で権限を委譲し、資源を提供する力を持っている人
  • ・適用範囲が組織の一部である場合、その一部を指揮し、管理する人。

※[JIS Q9000:2015]3.用語と定義より

適用される要求事項及び品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメント

細分箇条「5.2.1 品質方針の確立」のc)とd)については、下記「4.4.1」に対するコミットメントと解釈することができます。

『c) 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
d) 品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。』

≪4.4.1≫

  • ・組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。
  • ・組織は,品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また,次の事項を実施しなければならない。

≪トップマネジメントのコミットメント≫
トップマネジメントは、品質マネジメントシステムの促進に積極的に参加し、その有効性を確保し,伝達及び監視において能動的な役割を果たさなければなりません。品質マネジメントシステムに関する活動やその有効性に対し、説明できること、すべての責任を負うことを明確にすることで、リーダーシップ及びコミットメントを実証することを確実にします。

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品質方針の伝達

品質方針の文書化

トップマネジメントは、品質方針を文書化して随時閲覧できるよう保管し、その内容について定期的に見直して維持することが重要です。

経営方針の要点として口頭で従業員に説明する組織もありますが、品質方針が文書化されていない場合、いつでも確認することができませんので何方かに伺うしかありません。品質方針の意図や一語一句正確に伝えるということは難しいものです。組織化で働く方が品質方針について確実に認識できるようにしましょう。

また、品質方針を維持するには、トップマネジメントによるマネジメントレビューを定期的に実施し、その結果に対して「品質マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性」を判断し、組織の状況変化やそれに伴うリスクの変化、戦略的方向性の変更等があれば品質方針を改訂しなければなりません。

品質方針の伝達・理解・適用

品質方針の伝達は、経営計画発表会や新年度事業計画会議などで年度方針と合わせて発表されることが多いですが、品質方針は直接業務に関わってきますので、品質マネジメントシステムの適用範囲となる部署の管理者及び要員に対し、適切に伝達されなければなりません。日常業務の中で品質方針がどのような形で実現されるのか、具体的なイメージを持てるような伝達方法が望ましく、理解に必要と思われる教育訓練、内部コミュニケーションなど適宜実施します。

品質方針は利害関係者も入手できるように

利害関係者」とは組織によって様々ですが、一版的には顧客や仕入先、外注先、金融機関、株主など、そして社員も含まれます。組織は品質マネジメントシステムにおける利害関係者を特定し、利害関係者が品質方針を入手できるよう、会社案内(パンフレット)やホームページなどに掲載します。

ISO9001:2015要求事項

5.2 方針
  5.2.1 品質方針の確立
トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し,実施し,維持しなければならない。

  • a) 組織の目的及び状況に対して適切であり,組織の戦略的な方向性を支援する。
  • b) 品質目標の設定のための枠組みを与える。
  • c) 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
  • d) 品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。

5.2.2 品質方針の伝達
品質方針は,次に示す事項を満たさなければならない。

  • a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ,維持される。
  • b) 組織内に伝達され,理解され,適用される。
  • c) 必要に応じて,密接に関連する利害関係者が入手可能である。

【出典】JIS Q9001:2015 (5.2 品質)

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