ISO14001規格の「適用範囲」とは?
国際標準化機構であるISOでは、各企業が提供するサービスや商品を国際間で円滑に取引できるように標準化 を推進する機関です。いつくかあるISO 規格 として、ISO14001(環境 マネジメントシステム )の構築も行っています。
環境マネジメントシステムから考える企業の体質
ISO14001(環境マネジメントシステム)規格は、企業組織の立地環境や利用者、従業員などすべての人間関係や環境を対象に、それが周りの環境や他者にどのような影響を与えているのかを判断するシステムを指します。
良い部分・悪い部分のどちらも評価するようなシステムになっており、認証取得すると「環境 保全に前向きに取り組んでいる」企業と認められる のです。
特に、建設業などの業界で認証取得が進んでいます。建設業界では、自社の評価だけでなく現場での作業や仕事内容にもISO規格要求は大きく関わってきます。
周りの環境影響にて、汚すことなく、また近隣住民に迷惑を掛けることなく作業ができているかどうかなど、環境保全を推進しているという事実ではなくて作業工程や活動を見ます。
ISO規格要求が考える品質 管理というのが、商品自体ではなくて、それを生み出すまでの過程や計画性を重視している点を考えても、活動思想は同じです。実は2015年に「環境マネジメントシステムの適用範囲の決定」ということで、従来のISO14001と違った規格となりました。そもそも、ISO14001では企業に関連する環境面での見直しを行い、それが法律やISOが要求する事項をクリアしているのかチェック します。
その上で、問題がありそうな項目について事故の危険性や、現在進行形の問題がないかを確認し、そうしたリスクをチェックした後、そのリスクを軽減・管理するためのルールを作成します。ルールを決める過程では、環境面で考えられるリスクをどのように管理していくのか(目標管理)と、これ以上大きな被害にならないための管理(日常管理)についても確認し、実行と活動見直しを繰り返します。
こうした過程を踏まえた上で取得に至ります。しかし、この環境マネジメントシステムを含める適用範囲というのは、2004年版では企業側で自由に決めることが可能でした。
たとえば、建設業で考えてみると、ISO14001を適用するのは現場だけや、工場だけなどと適用範囲を限定できました。これは、社内組織において総務部や経理部までに適用させる必要性が無いという判断の上での規格です。
変更された適用範囲の決め方
2015年版では、「適用範囲を決める際に新たに設けた項目について考えた上で決定するべき」という内容が付け加えられました。新たな項目の中には、以下の5つがあります。
- 内部および外部の課題
- 利害関係者のニーズ・期待への順守義務
- 組織の単位、機能および物理的境界
- 組織の活動、製品およびサービス
- 管理する中で影響をおよぼす組織の権限並びに能力
こちらの取り決めが変わったからと言って、今までに決めた環境マネジメントシステムを無理に変更する必要はさほど必要ありません。見直しをする必要はありますが、反対に今まで自社の思い通りに規格の適用範囲を絞っている場合は注意が必要となります。
ISOを導入する場合はその根拠が求められます。どのようなサービスや商品であったとしても、ISOを導入してシステム化するだけの理由がないと、認証は与えられないことになっています。
そのため、一部の事業や商品、サービスだけに環境マネジメントシステムを当てはめて、それ以外は認証範囲にしないのであれば、「なぜ範囲にしないのか」という理由が審査時に必要になってくるのです。
たとえば、建設業において、施工物に対してISO14001を導入しようと考えた際に、その施工物を作る過程に絞って意図的に範囲を決めたとします。
しかし、建設する過程には物販のやり取りや顧客への満足度なども含まれます。こうした部分を排除するだけの意図を、自分たちで説明できないのであれば範囲を狭めることは難しいのです。環境側面を抽出する際にも、ライフサイクル を考慮する必要もあるからです。
範囲を決める場合には、要求事項 にある「この規格の要求事項を適用できない場合には、それを正当する理由について文書化する」という形で定められています。
きちんと排除するだけの根拠を示すことができないのであれば、適用を認めることができないという、国際標準化機構(ISO)側の意思です。とりあえず自社組織が提供するサービスや商品について「とりえあえず認証取得できるから」という形での申請は、不可能であるということも意味します。
範囲を指定する際、理由や根拠を求められることで面倒に思う企業や経営陣の方々もいるでしょう。しかし、範囲をしっかりと考えるということは、各企業が自分たちの目指す方向性を見定める、という意味として捉えることもできます。特に、先ほど確認した範囲を考える上で加えられた「内部および外部の課題」と「利害関係者のニーズ・期待への順守義務 」は、各企業が抱える問題を内側と外側の両方から見直すと共に、今までサービスや商品を利用していた消費者のニーズの変化の確認にもなるのです。
ISO規格では環境面のことばかり考えるものだと捉えがちですが、企業が周りの環境に与える影響を見直すことで、自社の弱いところを強みへと変えることができるシステムと捉えることもできます。
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