環境マネジメントシステムが勢揃い!ISO14000ファミリーとは
- ISO14000シリーズは、ISO14001を中心とした環境マネジメントシステムに関する規格群
- ISO14000シリーズは、約50種類存在している
環境 マネジメントシステムの規格 として世界的に有名な ISO 14001ですが、ISO14001の他にも14000シリーズには様々な規格が存在します。これらの規格群を総括して「ISO14000シリーズ」や「ISO14000ファミリー」と称しますが、具体的にはどのような規格があるのでしょうか?
今回は、ISO14000シリーズが注目される背景や各規格の概要、取得企業数をご紹介します。
目次
ISO14000シリーズとは
ISO14000シリーズとは、国際標準化機構(ISO)が発行した環境マネジメントシステムに関する国際規格群の総称です。
環境マネジメントシステムを構築するにあたっては、ISO14001にとりわけ注目が集まりますが、それはISO14001が規格の要求事項をまとめたものであるからです。
つまり、ISO14001に記載されている事項を満たすことができれば、ISO14001の
認証
を取得できるのです。
ISO14000シリーズが注目される背景
ISO14000シリーズが社会的に注目されるようになったのは、なぜでしょうか。
もともとのきっかけとなったのは、1992年の地球サミットです。このときに創設された「持続可能な開発のための経済人会議」の要請を受けて、ISO規格として環境について取り組むことが決まったのです。
1996年にISO14001が制定されて以降、ISO14001シリーズも次々に制定されました。
その後は、地球温暖化やプラスチックの低減などの環境問題に取り組むことが企業責任として国際的に求められるようになり、現在では多くの企業が自主的な取り組みをするようになっています。その際、社会に対して自社の取り組みの優位性をアピールし、企業価値を高められるため、ISO14001シリーズが注目されるようになってきたのです。
また、省エネ法や温暖法などの環境に関する法律も制定されているため、法律に順守するためにも、ISO14001シリーズに則った取り組みが重視されているのです。
ISO14000シリーズの種類一覧
それでは、ISO14001シリーズにはどのような種類の規格があるのでしょうか。ここでは、ISO14000シリーズの種類一覧を解説します。
ISO14001
ISO14001は環境マネジメントシステムの要求事項が記載された規格です。基本的な環境マネジメントシステムを構築するに際してはこのISO14001のみをチェックしておけば問題ありません。
ISO14001の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO14004
ISO14004は環境マネジメントシステム実施のための一般指針つまり、ガイドラインのような役割を持った規格のことです。ISO14004には具体的な環境マネジメントシステムの管理作が示されており、ISO14001にて構築したマネジメントシステムをさらに向上させるために活用できます。
ISO14001を取得するにあたって、ISO14004に記載されているような管理作を実施する必要はありませんが、より効果的な環境マネジメントシステムを構築し、実行していくにあたって非常に参考になるのがISO14004です。ISO14001を読み解くにあたっても、ISO14004は理解を促進する一助となるでしょう。
ISO14001を取得することを検討しているのであれば、ISO14004にも目を通しておくと良いかもしれません。
ISO14010番台
ISO14010番台は、環境監査や環境調査などの原則や監査手順、監査員の資格基準などについて定めた規格です。
ISO14010は一般原則を、ISO14011は環境管理システムの監査手順について定めています。
また、ISO14015はISO14001のプラグインのような役割を持つ規格で、副題として「用地及び組織の環境アセスメント」というものが与えられています。要するに土壌汚染に関する規格なのですが、ISO14001だけでは対応できない土壌汚染に関する専門的な要求が本規格にて定められています。
ISO14020番台
ISO14020は、環境ラベルに関する規格です。環境ラベルとは、消費者などに対して製品のパッケージや広告などを用いて企業の環境に対する取り組みなどを伝達するもののことを指します。
——例えば、「エコマーク」などは環境ラベルの代表例でしょう。エコマークを用いることで環境志向の消費者に対して一定のマーケティング効果を得ることができることは、もはや言うまでもありません。
こういった環境ラベルの取扱に関して定められた規格がISO14020です。ISO規格を「マネジメントシステム規格」として認識している方には目新しいかもしれませんが、例えば非常口のマークもISO規格があります。——それと同じような要素を持った規格だと考えれば分かりやすいでしょう。
ISO14030番台
ISO14030はグリーンボンドに関する規格です。グリーンボンドとは、環境への取り組みに特化した資金調達のことですが、その投資を行う投資家などを対象とした規格です。
ISO14031は環境パフォーマンス 評価の指針に関する規格です。その他、ISO14030番台の規格には環境負荷や具体的な事例、対策の成果方法などについて制定されています。
ISO14040
ISO14040はある製品のライフサイクル全体または特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法であるライフサイクルアセスメントに関する規格です。
ライフサイクルとは、製品を生み出してから廃棄するまでの一連の流れのことです。ライフサイクルアセスメントでは、原材料の調達から材料の加工、製造、流通、メンテナンス、リサイクル、廃棄までにおいて環境側面を評価します。
ISO14050
ISO14050では環境マネジメントにおいて使用される基本的な用語が定義されています。
ISO14063
ISO14063は環境コミュニケーション規格とも呼ばれます。環境コミュニケーションとは、環境問題に関して意見交換会などを実施していく取り組みのことを指しますが、そういった取り組みに対する規格がISO14063です。
ISO14064
ISO14064は温室効果ガスに関する規格群です。ISO14064は3部構成となっており、第1部では「組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及び報告のための仕様並びに手引」、第2部では「プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量削減又は吸収量増大の定量化、監視及び報告のための仕様並びに手引」、第3部では「温室効果ガスに関する主張の有効化確認及び検証のための手引」が定められています。
またISO14001同様に認証制度があります。
ISO14065、ISO14066
これらの規格も引き続き温室効果ガスに関する規格となっており、ISO14065はISO14604に準拠したGHG排出量等に関する妥当性の確認・検証をする機関を対象とした規格、ISO14066は審査員に対する規格となっています。
ISO14000シリーズの取得企業数
ISO14000シリーズのうち、取得企業数を調べられるのは、ISO14001です。日本適合性認定
協会の「
適合組織検索
」から登録組織を検索できます。
ISO14001の認証取得企業数は、2023年12月16日現在、12,666件です。
その中には、アスクル株式会社やいすゞ自動車、キッコーマングループなどの有名企業も多くあります。
例に挙げた企業だけでも、さまざまな業種の企業が取得しています。特に環境負荷の高いイメージがある製造業や建設業は取得しておくと、自社の環境対策を対外的にアピールできるでしょう。特に建設業は経営事項審査の入札加点になったり、公共事業の入札条件を満たせる場合も多くあります。
ISO14001の取得企業の詳細や実際に取得した事例については、以下の記事をご覧ください。
ISO14001と建設業に関する記事については、以下の記事をご覧ください。
まとめ
今回は、ISO14000シリーズに関するご紹介を行ってきました。ISOのマネジメントシステム規格には、要求事項以外にも様々なものがあり、これらの中にはよりよいEMSを構築するために一助となるものもありますので、気になった方は目を通して見ても良いかもしれません。
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