ISO 14001の認証取得には、少なくとも数ヶ月から数年間という長い期間が必要とされています。また、審査も1次審査と2次審査に分かれ、認証された後も定期的に更新のための審査が必要です。実際にどのような過程を経て審査を行い、その具体的な条件とはどのようなものなのでしょうか?
今回はその中身を具体的に、多くの企業が実際に行っている認証取得までの流れに沿って説明していきます。

社内体制の構築

まずは社内での体制を構築する必要があります。CSR活動(企業が社会に対する責任を果たすこと)を行っている企業も増えてきていますが、ISOについてもCSR活動の一環であることから、このプロジェクトの責任者として兼務することが多いようです。
また、最も重要なのはISO14001の認証取得を目指すことを全社員に周知することです。 環境 マネジメントは、一部の担当者や管理職、役員だけが取り組めば良いというものではありません。会社を挙げて社員一人ひとりが取り組むことで大きな成果となります。

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現在の業務の中で環境へ影響を及ぼしているものの評価

業務を行っている中で環境への影響が大きいものを洗い出します。建設・建築・土木などの業界においては、例えば産業廃棄物の処理方法、リサイクル率、廃棄物の分別などが適正に行われているかというポイントが多く見られるのです。
また、事業所をはじめとしたオフィスにおいては、消費電力の削減、ゴミの分別、資源のリサイクルが適正に行われているかなどを確認します。
これらは日々の作業内容を細かく整理し、それぞれの業務内容を把握した上で評価する必要があるのです。そして同時に、環境保護に関する法律にも抵触していないかを改めて確認していきます。

環境負荷に対する軽減目標の設定

環境影響評価に対する課題が見つかったら、それらに対する具体的目標の設定を行います。
テーマごとに、「いつまでに」「誰が」「何を」「どのように」行うのかを具体的に示す必要があります。できるだけ細かく指定することで目標が明確に定まり、従業員が取り組むべきことも分かりやすくなります。
そしてISO14001の認証を得るためには、できるだけ軽減目標を数値化することが必要です。例えば廃棄物の削減が目標であれば、「3年後までに30%削減」や、「従来の工法に比べて20%削減」というように、数字を取り込むことでより説得力が増します。

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作業内容のマニュアル化

掲げた目標を達成するためのマニュアルを整備します。ここで最も重要なのは、誰が見ても作業内容が把握できることです。
その部署に所属する一部の人間だけが分かるような、属人的なマニュアルは意味を成しません。例えば第三者が配属され、その部署独自のルールや工程についても取り入れる必要があります。

マニュアルに沿った運用

作成された作業マニュアルをもとに実際に運用します。数ヶ月程度のテストを行う中では、作業マニュアルに記載漏れがあったり、逆に不要な工程やルールが記載されていたりということも多いものです。それらを確認する意味で、実運用を想定しながらマニュアルを整備していきます。
このようにISOのための作業マニュアルは、実際の運用を行いながら従業員全員で協力して作り上げていく必要があります。
また、実際に作業マニュアルに沿った運用になっているかを内部監査でチェックしていくことも必要です。作業に慣れた従業員は、それまでの「自分流」で仕事を進めるケースが多く見られます。しかし、ISO認証のためには平準化された運用と仕組みが必要です。それを従業員一人ひとりに意識付けしていくことも内部監査の重要な役割となります。

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審査機関による予備審査

ISO14001の認証を得るためには2段階の審査があります。第1段階は書類による審査です。これは作業マニュアルがISOの基準を満たしているかを審査員が書類上で判断するものです。審査員は実際に企業へ訪問し、その場でマニュアルに沿ってさまざまな質問を投げかけます。
この時点で基準に達していない項目や、改善したほうが良いとされる項目についてはアドバイスを受けることができるため、予備審査のようなものと考えることができます。

審査機関による本審査

第2段階の審査は、第1段階の指摘を踏まえて実際に運用できているかを現場で確認します。第1段階での審査員からのアドバイスを正しく理解し、それをマニュアルと実運用に反映されていればほとんど問題はありません。
第2段階の審査をパスすれば、晴れてISO14001の認証を得ることができます。
ISOの基準や条件はさまざまな業種に対応できるように制定されています。実際にマニュアルに沿った運用を行うことももちろん重要ですが、それ以上にISOの基準を自社の業務に照らし合わせ、具体的なルールや作業マニュアルを作っていくことが最も重要です。
そして、それらは社員一人ひとりの意識、協力が無ければ達成することができません。ISO14001取得の条件とは、会社を挙げて一丸となって取り組み、そしてそれを継続していくことを忘れてはいけません。

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