全く違う!HACCPとISO22000、FSSC22000の違い

- HACCPは、食品の衛生管理手法の一種
- ISO22000は、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格
- FSSC22000は、ISO22000に要求事項を足したさらに高度な食品安全の規格
HACCPは食品製造の全工程を「見える化」し管理する衛生管理”手法”の一種です。
それに対し、ISO 22000は食品安全マネジメントシステムの”国際規格 ”で、さらにこの規格に要求事項を足したより高度な食品安全の規格がFSSC22000です。
この記事では、HACCPとISO22000、FSSC22000の「規格」、「前提条件プログラム」、「ハザード管理」、「適応範囲」の4つの違いについて解説していきます。
規格としての違い
HACCPは食品の衛生管理手法の一種です。主に食品製造業者を対象として、原材料の搬入から、製造、出荷の全ての工程を細分化し、そこで起こりうる食品汚染の危険因子とその回避方法を科学的根拠に基づいて行うというものです。
また、設定された衛生管理が適切に行われているかを全工程で監視、記録されるため、汚染食品の出荷を未然に防ぐことができ、事後の検証を行いやすいというメリットがあります。
このHACCPの考え方は、従来の衛生管理と一線を画すもので、アメリカで発案されて以来、世界の食の安全を向上し、維持してきたといっても過言ではありません。
しかし、HACCPには認証団体が複数あり、それによって基準や審査項目が異なることから、プライベート認証に近い側面があります。「食品衛生の世界基準的ガイドライン」として、あくまで手法のひとつという色が強いです。
ただ、食品の流通過程が複雑化している現代においては、ガイドラインだけではなく国際的に通用する食品安全の規格の需要が高まり、そこで生まれたのがISO22000とFSSC22000なのです。
HACCPでは取り入れられていない食品安全のマネジメントシステムもその要素の一つであり、世界規模で食の安全レベルを向上することを目標としています。
これらは世界共通の規格のため、国際取引の場でも非常に信頼度が高く、中にはこれらの規格の認証を受けていない商品は取り扱いをしないという大企業もあるほどです。

前提条件プログラムの違い
前提条件プログラムとは、手洗いや器具の消毒など、食品の衛生管理を行う以前の当然に行われるべき衛生管理のことです。
HACCPにおける前提条件プログラムは、一般的衛生管理活動を指し、細かく規定されている訳ではありません。
世界初の国際規格であるISO22000は、明確に内容を定められておらず、取得する企業ごとに決められるなど自由度が高いといえます。そのため、大規模な食品業者でも食品汚染事故が発生し、ISO22000自体の信頼性が損なわれつつありました。
そこで誕生したのがFSSC22000であり、これは各プログラムがISO/TS22000-2によって、業種ごとの前提条件プログラムが厳密に設定されており、より認証取得の条件が厳しくなったものです。
このFSSC22000が誕生したことによって、より強固な食品安全の国際規格が形作られたと言えるでしょう。
今では、世界各国でこれらの規格を導入する企業が増えており、食品の国際取引の場でもISO22000やFSSC22000の取得が求められつつある時代に突入しています。
ハザード管理の違い
ハザード管理とは、食品を扱う各工程で生じる異物混入や食中毒菌付着などの危険因子を未然に予測し、科学的根拠に基づいて徹底した管理を行うことをいいます。
HACCPでは、衛生管理の基盤となる前提条件プログラム(PRP)に加え、食品の安全に重大な影響を及ぼす危害要因を管理するための重要管理点(CCP)の設定と管理が求められます。
ISO22000では、これらに加え、CCPほどではないものの管理が必要とされる危害要因に対して、運用前提条件プログラム(OPRP)の実施が求められており、より体系的で高いレベルの食品安全管理が可能になります。
さらに、FSSC22000はISO22000を基盤に、業種別のPRP(例:ISO/TS22002シリーズ)や追加要求事項を加えることで、より厳格かつ包括的な食品安全マネジメント規格となっています。

対象事業者の違い
HACCPの適用対象は認証団体によってやや異なる場合がありますが、基本的にはフードチェーンに関わるあらゆる事業者が対象となります。これはISO22000についても同様で、農業・製造・流通・飲食など幅広い業種が対象です。
一方、FSSC22000はISO22000を基盤としながらも、食品製造業など特定の業種に限定して認証の対象を定めており、認証スキームで定められた業種コード(食品カテゴリー)に該当する事業者のみが対象となります。
食の安全は、製造業者だけでなく、それを適切な温度管理や梱包によって流通、保存する業者の努力があってこそ成り立つものです。そのため、これらの国際規格は食の安全性を守る上で非常に効果的であると考えられます。
日本では、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までにHACCP導入義務化を目指していますが、これは食品製造業者だけでなく、流通業や保存業者も対象となる予定です。

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