ISO45001取得企業一覧!取得が多い業種や企業事例を紹介
FAQISO45001取得企業に関するよくある質問
「ISO45001はどのような企業が取得している?」「自社と同じ業種でも取得する必要がある?」といった疑問を持つ企業担当者は多いのではないでしょうか。
ISO45001は、労働安全衛生に関するリスクを管理し、安全な職場環境づくりを目指すための国際規格です。ISO45001を取得している企業は、製造業や建設業だけでなく、運輸・物流業、サービス業など幅広い業種に及びます。
そこでこの記事では、ISO45001を取得している大手・有名企業を紹介するとともに、取得が多い業種や取得する理由、取得企業の調べ方、認証取得までの流れについてわかりやすく解説します。
目次
ISO45001を取得している大手・有名企業一覧
ISO45001を取得している企業には、製造業を中心に、化学、鉄鋼、電子部品など幅広い業種の大手企業があります。
実際に、ISO45001を取得している代表的な取得企業を以下にまとめました。
| 企業名 | 主な業種 | ISO45001の取得状況 |
|---|---|---|
| キヤノン株式会社 | 電気機器・精密機器 | 国内外のグループ生産会社などで取得 |
| ルネサスエレクトロニクス株式会社 | 半導体 | 主要な生産拠点で取得 |
| ローム株式会社 | 電子部品・半導体 | ISO45001:2018を取得 |
| 住友化学株式会社 | 化学 | 複数の事業所で取得 |
| 日本製鉄株式会社 | 鉄鋼 | 製鉄所などで取得 |
| 富士フイルム株式会社 | 化学・精密機器など | 富士宮事業場など複数拠点で取得 |
例えば、ルネサスエレクトロニクスでは主要な生産拠点すべてでISO45001を取得しており、拠点ごとに目標や行動計画を設定してPDCAを回しています。
また、ロームはISO45001:2018の認証を取得しており、LSIや電子部品などの設計・開発、製造、販売を認証範囲としています。
このように、ISO45001は「労働災害のリスクが高い企業だけ」が取得するものではありません。特に複数の拠点や工程を持つ企業では、安全衛生管理を組織的に統一するための仕組みとして活用されています。
ISO45001の取得が多い業種とは?
ISO45001は特定の業種に限定された規格ではありませんが、製造業や建設業、運輸・物流業など、作業中の事故や労働災害のリスクが比較的大きい業種で取得が進んでいます。
一方で、サービス業などの第三次産業でも、従業員の安全衛生管理や取引先からの要求をきっかけに取得する企業があります。
製造業
製造業では、機械設備の操作や化学物質の取り扱い、重量物の運搬など、さまざまな労働安全衛生上のリスクがあるため、ISO45001の取得が多い業種の一つです。
工場では、設備ごとの危険箇所や作業手順を把握し、事故や災害につながるリスクを継続的に管理する必要があります。ISO45001を活用することで、安全衛生に関するルールを整備するだけでなく、現場のリスクを特定・評価し、改善につなげる仕組みを構築できます。
また、大手製造業では自社だけでなく、グループ会社やサプライヤーを含めた安全衛生管理を重視するケースもあり、ISO45001が活用されています。
建設業
建設業は、高所作業や重機の使用、資材の運搬など、現場ごとに異なる危険が発生するため、安全衛生管理の重要性が特に高い業種です。
建設現場では、作業内容や環境が工事の進行に伴って変化するため、あらかじめ危険を把握するだけでなく、状況に応じてリスクを見直すことが求められます。ISO45001では、こうしたリスクを組織的に管理し、継続的に改善する仕組みを構築できます。
さらに、元請企業から安全衛生管理の水準を求められることもあり、取引先からの信頼を得ることを目的としてISO45001を取得する建設関連企業もあります。
運輸・物流業
運輸・物流業では、トラックなどの車両運行、荷役作業、倉庫内での作業などに伴う事故や労働災害を防止するため、ISO45001が活用されています。
特に、ドライバーの長時間労働や運転中の事故、フォークリフトによる接触事故、重量物の取り扱いなど、業務ごとに異なるリスクへの対応が必要です。
ISO45001では、現場で発生する危険を洗い出して対策を講じるだけでなく、従業員への教育や安全衛生活動の評価・改善まで含めて管理できます。そのため、複数の拠点や営業所を持つ企業にとっても、安全衛生管理を体系化する手段となります。
サービス業
サービス業でも、従業員が働く環境に安全衛生上のリスクがある場合はISO45001の取得対象となります。
例えば、ホテルや小売業、清掃業、設備管理などでは、転倒や腰痛、長時間労働、顧客対応に伴うリスクなど、業務内容に応じた安全衛生上の課題があります。
製造業や建設業と比べて危険性が低いように見える業種でも、従業員の健康や安全を継続的に管理することは重要です。また、取引先からISO45001の取得を求められたことをきっかけに、サービス業の企業が認証取得を検討するケースもあります。
企業がISO45001を取得する理由

企業がISO45001を取得する主な理由は、労働安全衛生の管理体制を整え、労働災害を防止するとともに、取引先や社会からの信頼につなげるためです。
認証を取得するだけではなく、自社の安全衛生上の課題を明確にし、継続的に改善する仕組みとして活用することが重要です。
労働安全衛生に関する管理体制を整備するため
ISO45001を取得することで、職場に潜む労働安全衛生上のリスクを特定・評価し、必要な対策を継続的に行う管理体制を整備できます。
安全対策を担当者や現場ごとの判断に任せていると、部署によって対応にばらつきが生じたり、リスクへの対策が十分に行われなかったりする可能性があります。
ISO45001では、リスクの把握から対策、教育、評価、改善までを組織的に進める仕組みを構築するため、安全衛生活動を継続しやすくなります。
取引先からISO45001の取得を求められるため
ISO45001の取得を取引先から求められたことをきっかけに、認証取得を検討する企業もあります。
特に、大手企業のサプライチェーンに入っている企業では、取引先から品質や情報セキュリティだけでなく、労働安全衛生についても一定の管理水準を求められる場合があります。
ISO45001を取得することで、国際規格に基づいて安全衛生管理に取り組んでいることを第三者に示せるため、取引先からの要求への対応や新たな取引機会の確保につながる可能性があります。
企業として安全衛生への取り組みを示すため
ISO45001は、企業が労働者の安全と健康を重視し、継続的に安全衛生管理へ取り組んでいることを対外的に示す手段にもなります。
近年は、企業の社会的責任や従業員の働く環境への関心が高まっており、安全衛生への取り組みは企業価値にも関わる重要な要素です。
また、認証取得を目指す過程で従業員が安全衛生上のリスクを意識するようになれば、組織全体の安全意識の向上にもつながります。
【実態調査】建設業でISO45001を取得する企業が増える背景
建設業では、人手不足や働き方の見直しが進むなか、従業員が安全かつ継続的に働ける環境を整えることが重要になっています。
実際に、建設業経営者約1,000人を対象とした調査では、建設業2024年問題を受けて「人手不足の悪化」を不安視する回答が52.3%で最も多く、「工期の厳守が難しい」が41.7%、「工期延長によるコスト増加」が36.7%と続きました。
こうした課題への対応に加えて、公共事業の受注や企業としての信頼性向上を目的にISO認証を検討する企業もあります。ここでは、同調査の結果をもとに、建設業でISO認証が注目される背景を見ていきます。
建設業では労働環境の改善が課題となっている
建設業では、人手不足への対応や従業員の満足度向上に向けて、労働環境を改善することが課題となっています。
同調査では、時間外労働の上限規制について「非常に賛成」「賛成」と回答した建設業経営者が合わせて83.2%に達しました。
一方、2024年問題を受けた今後の不安については、「人手不足の悪化」が52.3%、「工期の厳守が難しい」が41.7%、「工期延長によるコスト増加」が36.7%となっています。

この結果からも、建設業では人材を確保・定着させるためにも、労働環境を改善していくことが重要な課題となっていることがわかります。ISO45001は、労働安全衛生上のリスクを組織的に管理し、継続的な改善につなげる仕組みとして活用できます。
ISO認証の取得が企業活動に影響するケースもある
ISO認証は、建設業において公共事業の受注や顧客からの信頼につながるものとして認識されています。
同調査で「公共事業の比重を上げていくために自社に特に必要な動き」を尋ねたところ、「ISO認証の取得・追加取得」は28.9%で、建設業許可の取得に次いで2番目に多い回答となりました。

さらに、「ISO認証を取得することで、公共事業の取引がしやすくなると考えますか?」という質問では、「とてもそう思う」が29.2%、「そう思う」が54.6%となり、合わせて83.8%が公共事業の取引がしやすくなると考えていることがわかりました。
こうした調査結果から、建設業の経営者がISO認証を、顧客からの信頼や企業体質の強化、公共事業への対応につながる取り組みの一つとして捉えていることがわかります。
ISO45001取得企業では何が変わる?取得後の効果
ISO45001を取得すると、認証そのものだけでなく、労働安全衛生に関する管理の仕組みや従業員の安全意識、社外からの評価にも変化が期待できます。
ここでは、ISO45001取得後に企業が期待できる3つの効果を紹介します。
労働安全衛生上のリスクを把握・管理しやすくなる
ISO45001では、職場に潜む危険源を特定し、リスクを評価したうえで必要な対策を講じることが求められます。そのため、これまで担当者の経験や個別の判断に頼っていた安全衛生活動を、組織として計画的に管理しやすくなります。
事故やヒヤリハットなどの情報も活用しながら継続的に改善することで、労働災害の防止や安全な職場環境づくりにつなげられます。
従業員の安全衛生に対する意識が高まりやすい
ISO45001の運用では、従業員への教育や情報共有などを通じて、安全衛生に関する役割や責任を組織全体で共有することが重要です。
その結果、安全衛生を一部の担当者だけが管理するのではなく、現場の従業員もリスクやルールを意識しながら業務に取り組みやすくなります。継続的な教育や改善活動を行うことで、安全衛生に対する意識を組織に定着させることも期待できます。
取引先や顧客からの信頼につながる
ISO45001の認証取得は、企業が労働安全衛生に関する管理体制を整備し、継続的に改善していることを第三者に示す手段の一つです。
特に建設業や製造業など、安全衛生管理が重視される業種では、取引先からの信頼や企業としての評価につながる可能性があります。また、取引先から認証取得を求められている場合には、商談や取引を進めるうえで必要な条件となるケースもあります。
ISO45001取得企業を調べる方法

ISO45001の取得企業を調べる際は、JAB(日本適合性認定協会)の認証組織検索や認証機関の登録企業一覧、企業の公式サイトなどを確認する方法があります。
自社と近い業種や事業内容の取得企業を調べることで、認証の取得範囲や安全衛生管理の取り組みを具体的にイメージしやすくなるため、検討する際の参考にしてみてください。
JABの認証組織検索で調べる
JABの「認証機関・認証組織検索」では、ISO45001を含むマネジメントシステム認証を取得している組織を検索できます。
業種や認証規格などから取得企業を確認できるため、自社と同じ業種の企業がISO45001を取得しているか調べたい場合に役立ちます。取得企業だけでなく、どの認証機関によって認証されているのかも確認できます。
認証機関の登録企業一覧を確認する
ISO45001の認証を行っている認証機関のWebサイトでは、認証を取得している企業や組織を掲載している場合があります。
認証機関ごとに掲載方法や検索できる情報が異なるため、複数の認証機関を確認するのがおすすめです。自社と近い規模・業種の企業を探すことで、取得時の認証範囲や審査対象についても参考にできます。
取得企業の公式サイトで認証範囲を確認する
気になる取得企業が見つかったら、企業の公式サイトも確認してみましょう。
ISO45001を取得している企業でも、必ずしも全社・全拠点が認証対象とは限らないため、認証範囲まで確認することが重要です。「ISO45001認証取得」「安全衛生方針」などのページやサステナビリティ関連の情報を確認すると、対象となる事業所や事業内容、取得の目的などを把握できる場合があります。
ISO45001を取得する流れ
ISO45001を取得するには、自社で定めた適用範囲において安全衛生マネジメントシステムを構築・運用したうえで、認証機関による審査を受ける必要があります。
- ISO45001の適用範囲を決める
- 安全衛生マネジメントシステムを構築する
- 構築した仕組みを運用する
- 認証機関による審査を受ける
規程や書類を作成するだけではなく、実際の業務で仕組みを運用し、継続的に改善できる状態にすることが重要です。
1.ISO45001の適用範囲を決める
まず、ISO45001の認証を取得する組織・事業所・業務などの適用範囲を決定します。
すべての事業や拠点を対象にする必要があるとは限らないため、自社の事業内容や安全衛生上のリスク、認証取得の目的などを踏まえて範囲を検討します。適用範囲によって、その後に構築する仕組みや審査対象も変わるため、最初に明確にしておくことが大切です。
2.安全衛生マネジメントシステムを構築する
次に、ISO45001の要求事項に沿って、労働安全衛生上のリスクを特定・評価し、必要な対策を管理できる仕組みを構築します。
具体的には、安全衛生方針や目標の設定、危険源の特定、リスクアセスメント、法令・その他の要求事項の確認、役割や責任の明確化などを行います。自社の実際の業務に合わせて仕組みを設計することで、形だけの安全衛生管理にならないようにします。
3.構築した仕組みを運用する
仕組みを構築した後は、実際の業務で運用し、記録を残しながら安全衛生上の課題を継続的に改善します。
従業員への教育やリスクアセスメント、内部監査、マネジメントレビューなどを実施し、運用状況を確認します。事故やヒヤリハット、業務内容の変更などがあった場合には、その内容をリスク評価や安全衛生対策に反映することも重要です。
4.審査を受ける
最後に、認証機関による一次審査と二次審査を受け、ISO45001の要求事項への適合性が確認されれば認証取得となります。
- 一次審査:ISO45001の要求事項に沿って、安全衛生マネジメントシステムが適切に構築されているかを確認する審査です。マニュアルや規程などの文書類を確認し、二次審査を実施できる状態かを判断します。
- 二次審査:構築した安全衛生マネジメントシステムが、実際の業務で適切に運用されているかを確認する審査です。現場や担当者へのヒアリング、記録の確認などを通じて、ISO45001の要求事項への適合性を審査します。
審査で不適合が指摘された場合は、原因を確認して是正処置を行い、認証取得を目指します。
まとめ
この記事では、ISO45001を取得している大手・有名企業や取得が多い業種、企業が認証を取得する理由、取得企業を調べる方法、認証取得までの流れについて解説しました。
ISO45001は特定の業種だけを対象とした規格ではなく、労働安全衛生上のリスクを管理し、安全な職場環境を継続的につくっていくための仕組みです。また、労働災害の防止だけでなく、取引先からの信頼獲得や企業としての安全衛生への取り組みを示すことにもつながります。
自社と近い業種・事業内容の取得企業を参考にしながら、「なぜISO45001を取得するのか」「取得によってどのような課題を解決したいのか」を整理したうえで、認証取得を検討しましょう。
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取得を検討する際は、まず「なぜISO45001を取得するのか」を明確にし、取引先からの要求への対応なのか、安全衛生管理そのものの改善なのかを整理しておくと、自社に必要な仕組みや取り組みを検討しやすくなります。