• CCP(重要管理点)とは、危害要因を取り除くために特に重要な工程のこと
  • CCPは計測可能な管理基準(CL)によって管理される
  • CCPは「ここさえ守れば食品の安全を保てる」という側面から「トドメ」とも言われている

HACCPとは、HA(危害要因分析 )とCCP重要管理点 )の略語からなる食品安全衛生管理の手法のことです。この手法を理解する上でCCPという概念を理解することはとても重要になってきます。

——ということで、今回はCCPとはいったいどのようなものなのかということについて、具体例を挙げながら解説していきたいと思います。

CCP(重要管理点)とは

CCP(重要管理点)

CCPとは、Critical Control Pointの頭文字をとったもので日本語では『重要管理点』と訳されます。HACCPという衛生管理手法において、食品からリスク(ハザード)を取り除くために、“特に管理すべきであるチェックポイント”のことです。
CCPは提供する食品によって異なりますが、温度や時間などの定量的な基準(CL: 管理基準 )をもって監視する必要があるため、加熱処理などがCCPとして決定されることが多いです。

CCP(Critical Control Point)それぞれの単語には以下のような意味合いがあります。

  • Critical:重要な、危機的な
  • Control:管理、コントロール
  • Point:点、箇所

HACCPでは7原則12手順と呼ばれる以下のような手順で食品の危害を除去、低減していきますが、CCPという言葉が出てくるのは「手順7」です。

手順1 HACCPのチーム編成
手順2 製品説明書の作成
手順3 意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4 製造工程一覧図の作成
手順5 製造工程一覧図の現場確認
手順6 【原則1】 危害要因(ハザード)分析の実施
手順7 【原則2】 重要管理点(CCP)の決定
手順8 【原則3】 管理基準(CL)の設定
手順9 【原則4】 モニタリング方法の設定
手順10 【原則5】 改善措置の設定
手順11 【原則6】 検証方法の設定
手順12 【原則7】 記録と保存方法の設定

HACCPの大まかな流れは、以下のようなものです。

  1. 1.危害要因(例えば、食品に付着している細菌など)を分析します。
  2. 2.分析して発見した危害要因を取り除くために特に監視すべき工程(CCP)を決定します。
  3. 3.管理点を定量的に管理するために、科学的な根拠をもとに管理基準(CL)を決定します。
  4. 4.実際の製造現場で、管理基準が常に満たされているのかどうかをモニタリング(監視)します
  5. 5.モニタリングの結果を記録し、その記録に基づいて管理点や工程の見直しを行い、改善計画を策定します。
  6. 6.改善した計画を実行し、上記の工程を繰り返します。

以上を繰り替えし、継続的に製造現場の衛生水準を向上させていくのがHACCPと呼ばれる衛生管理手法です。

——上記の工程を意識した上で、以下ではもう少し具体的な話をしていきましょう。

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具体的にCCPとはどのようなものか?

CCPとは
例えば飲食店の場合は、食品に付着した細菌やノロウイルスによって引き起こされる「食中毒」は常に注意を払うべき危害要因であると言えます。もちろん、他にも食品に関連するリスクはありますが、便宜上ここでは食中毒菌やウイルスという危害を除去するための重要管理点について例を挙げていきたいと思います。

この食中毒菌やノロウイルスを死滅させる方法は様々な方法があると思います。
具体的には

  • 消毒
  • 手洗い
  • 清掃
  • 加熱

このような手法が挙げられるでしょう。これらはCP(管理点)と呼ばれるものです。

この中でもCCPとなるのは、多くの飲食店の場合は加熱処理でしょう。ノロウイルスや食中毒菌のほとんどは、ある一定の温度で一定時間加熱し続けることで死滅すると言われているからです。このため、加熱処理を行う料理を提供する場合は、「加熱処理」を重要管理点として決定することになります。

そして、加熱処理を重要管理点として設定した場合には「どれくらいの時間」「何度で」「どのように」加熱するのかということが管理基準(CL)となるのです。具体的に言うと、「加熱」という工程がCCPであり、「90度で90秒間加熱する」というのがCLということになります。

CCPはこのように定量的に管理される必要があるため、時間や温度による定量的な管理がしやすい加熱処理や冷却処理がCCPとして決定されることが多いのです。

なぜCCPを決定するのか

さて、食品の安全性を保つためには、手洗いや消毒はとても重要な工程です。——しかし、これらの管理点をすべて管理することはできるでしょうか?——もちろん、管理できるのであれば、管理することに越したことはありませんが、「従業員のAさんがしっかり手洗いをしたか」「従業員のBさんは食品に触る前に消毒は行っていたか」ということを逐一監視していては、なかなか作業が進みません。

——そこで、数ある管理点の中から「これだけは守ってくれればリスクは大幅に低減することができる」というポイントを見つけ出すのです。CCPは「トドメ」とも言われますが、その理由がこれです。

HACCPは何もすべての危害を分析し、分析した危害すべてを除去しろといっているのではなく、「特に重要である点(CCP)」を決定して、管理基準(CL)を以て管理し、そのCCPやCLが機能しているかということを監視し、作業工程全体を通して衛生水準を継続的に向上させていきましょうといっているのです。

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CCPの設定の対象


CCPを設定する対象となるのは、「科学的根拠があるもの」です。科学的根拠に基づいた具体的な管理基準が必要となります。
例えば、肉の製造工程における加熱処理をCCPに設定するとします。加熱後、食品中に含まれている微生物などの細菌量を計測することで、科学的根拠のある基準を設けることができます。その基準を守ることで、食中毒を防ぐことにつながるのです。

科学的根拠がない基準としては、例えば個人の感覚が挙げられます。先ほどの例で考えると、「肉の色が変わったから加熱は大丈夫だろう」という感覚です。この方法では確実性がなく、安全を確保することは難しいでしょう。

CCPはHACCPを実施する上で重要なポイントの一つです。消費者の安全を守るために、基準は科学的根拠に基づき、明確に定める必要があるのです。

HACCPとは?


HACCPとは、アメリカで開発された食品衛生管理手法で、日本では2020年6月から「食」に関わるすべての業種の企業に導入が義務付けられました。食品の製造における一般的衛生管理プログラムを前提としており、国際的な管理手法です。

HACCPは、H(Hazard:危害)A(Analysis:分析)C(Critical:重要)C(Control:管理)P(Point:点)の頭文字から取った名称で、危害分析(HA)の重要管理点(CCP)のことを指しています。
食中毒菌やノロウイルスなどの危害要因をすべて洗い出すことを危害要因分析(HA)と言います。そして、危害要因を除去するために特に重要な工程として重要管理点(CCP)を設定するのです。

その具体的な構築方法には、上述した7原則12手順があります。構築したあとも、継続的にモニタリングを行い、検証・修正を繰り返し行うことで有効に機能するHACCPを築くことができます。

関連記事:【簡単解説】5分でわかるHACCPってなに?
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まとめ

今回は、HACCPの中でも特に重要なキーワード「CCP」について解説してきました。まとめると、CCPとは「いくつかの作業工程の中で、食品の安全衛生を脅かすリスクを除去するために特に重要である工程」のことです。

HACCPを正しく理解して、義務化に向けて準備を進めていきましょう。

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