マネジメントシステムとは? 第1講座~論考の目的~

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マネジメントシステムの課題とは

グローバルスタンダードの流れの中で、ISOマネジメントシステム国際規格は確実にその存在意義を高めていると言えます。しかし、マネジメントシステム構築における実事業との一体性と戦略性、運用における実質性と容易性、そして改善のための有効性監査とパフォーマンス評価、そのための方法論を確立して実施しなければ、認証組織にとって登録維持の価値や意味がなくなってしまう状況が生まれてくるのではないかと危惧するのです。

ISOの認証審査が始まって30年になろうとしています。その功罪は色々と議論されていますが、そのちょうど半ばの2003年を境に新規の認証組織は減少に転じたということです。

P.F.ドラッカーは、システムとはその特性から詳細化、緻密化してしまう癖がある、と言っています。仕組みの精度を高めようとすると精緻化に向かい、その結果これを理解しコントロールできるのは限られた専門家となってしまいます。人々の創造性を削いでしまう結果になってしまった現状のTQCは、その轍を踏んでしまったと言ってよいのかもしれません。ISOのマネジメントシステムも同じ轍を踏む恐れがあります。

ISOマネジメントシステムの構築・運用・改善の方法論

2015年版はプロセスアプローチとリスクベースシンキングにフォーカスし、ISOマネジメントシステムの経営戦略的な運用の側面が強化されました。

2008年版まで行われていた現場重視ですが形式的で煩雑で、しかも瑣末な運用と監査では、認証組織にとってマネジメントシステムの経営的価値は薄くなっていってしまうのではないでしょうか。現場だけでなく経営の現状と結果から、問題点だけでなく将来のリスクと機会を見出し、組織の目的にフォーカスしながら、発展という将来システムを見据えた構築及び運用と改善をしなければ、ISOマネジメントシステムを経営戦略に生かしていけないからです。これからの構築、再構築では組織の目的をトップマネジメントの思いや願いから描かれるビジョンの明確化から定義し、運用では組織に内在する「知」を結集し新規性を展開する創造的な組織横断的PDCAの入口Pをまず切り開き、改善のための監査では質問と指摘によって小さな機会にも気づかせてプッシュしてパフォーマンスの改善に結びつける、そんな方法論を実施しなければならなりません。運用と事業そのものとを完全に統合し、監査から導き出される改善を、経営戦略を押し進めるエンジンにする、そんな効果的な方法論の実行なのです。

認証マネジメントシステムの創造性コード

私がこれから提案しようと思う運用の方法論は、規模の小さな組織にも容易に取り組みができ、またレベルの高い内部監査をどんな組織にも適用できるものにする方法論です。本論考は、ISOが当初から意図していた認証マネジメントシステムとは何かを説き、それを経営の道具として生かすための構築、運用、改善の方法を、経営学の観点に立って探りながら進めます。

ところで、審査と監査はISOの英文用語ではいずれも auditです。このauditこそ、マネジメントシステムの創造性コードを活性化させる、組織学習の機能であり場であると思います。その場を経営ツールとして効果的に機能させるには、残念ながら専門的な監査技術が必要です。本論考は、組織を存続させて発展させる「ISO経営のすすめ」でもあり、その経営の道具を容易に使うための指針でもあります。

では、本論考にあたって用いる、いくつかの用語についてISO9000でのその定義を確認しながら、用いるそれらの語の意味についての私のコメントを加えておきます。

マネジメントシステムの規格用語とその意味

適合(conformity)
「要求事項を満たしていること」。したがって適合性は規格要求事項を満たしている状態のこと。なおconformには「同じ形にする」「従う」という意味もあります。序文では「画一化」uniformityをあえて否定して「同じ形にする」という意味を限定的にしています。

マネジメントシステム(management system)
「方針及び目標、並びにその目標を達成するためのプロセスを確立するための、相互に関連する又は相互に作用する、組織の一連の要素」という定義です。

有効性(effectiveness)
「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した(achieved=過去形)程度」。effectには「結果」の意味があり、有効性とは過去の結果の、達成程度のことです。

的確性(qualification)
「規定要求事項を満たす能力」を有している状態のことです。

妥当性確認(validation)
「客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に関する(暗黙の了解を含む)要求事項が満たされていることを確認すること」。計画した要求事項が満たされる結果が得られるのか、その根拠を事前に確認することが妥当性確認です。validには「根拠」の意味があり、つまり妥当性があるとは製品要求事項が満たされている根拠があるということです。

検証(verification)
「客観的証拠を提示することによって、規定(文書で明示された)要求事項が満たされていることを確認すること」。妥当性確認と同じような意味ですが、文書に明記された規定要求事項への適合性判断のための活動です。

レビュー(review)
「設定された目標を達成するための対象の適切性、妥当性、及び有効性の確認」です。精査、又は見直し、そのための会議も言います。

改善(improvement)
より有益な変更をもたらす、「パフォーマンスを向上するための活動」のことで、PDCAのA=actは改善活動そのものです。

方針(policy)
「トップマネジメントによって正式に表明された組織の意図及び方向付け」です。つまり組織の方針は、組織の目的(purpose)よりも具体的な、その決意や意思を実現させるための方向性の明示です。

戦略(strategy)
「長期的な又は全体的な目標を達成するための計画」です。

環境⇒目的⇒方針⇒目標のマネジメント

方針管理=定量的な目標を設定する枠組みを提供して、組織の部門及び階層へ上意下達的に目標達成活動を命令し管理する、TQCに由来する活動の意味に限定します。

方針によるマネジメント=置かれた環境を前提に、達成度が判定可能な目標を設定する枠組みを提供し、組織の目的に即した部門及び階層の自律的創造的な目標達成活動を指揮し管理するための、マネジメントシステムにおける調整された活動です。(JIS Q9023による)この活動も「方針管理」と呼ぶ場合がありますが、本稿ではTQCに由来する用語と区別するため、「方針によるマネジメント」とします。

第2講座では、マネジメントシステムのフィードフォワードと品質保証システムとの違いについて論考します。

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