5W1Hのどれかで聞いていく「質問力」4つのポイント

私がコピーライターとして会社案内を作るときのインタビューや、またCI作成コンサルティングで、トップや幹部社員、一般社員にインタビューするときに培ってきた質問の技法がありました。

この質問の技法は、『気づき』を与えるための対話の方法論としても有効です。ポイントは5W1Hのどれかで聞いていく「質問力」、どこから質問を深めていくかの「着眼力」、面談相手の話す内容から現状を想定する「想像力」の3つの右脳力です。

もう一つのポイントは必ず「その意味を問う」ことです。意味を問うと面談相手は自分の行為の意味をそこでもう一度考え、答えてくれます。その答えのなかに手がかりになる何かがあることが多いからです。

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『気づき』を得られる問題提起

質問技法による質問によって、面談相手の内面に体化してある知識を言語化させ、その対話の過程で面談相手に『気づき』を与えることが可能なのだと思います。質問は問題提起でもあります。問題提起につながる質問でないと、『気づき』は得られません。そして問題提起になるような質問は、4つのポイントを踏まえた質問です。このような質問は、問題解決につながる創造的な手法ではないでしょうか。

問題解決につながる創造的な手法について、KJ法の開発者である川喜田二郎博士の考え方を学んでおきます。

KJ法のW型問題解決図式で製造工程を考える

KJ法は事実全体からその本質を見出だす方法で、文化人類学の文化の本質を導き出す方法として開発されたものですが、この方法は目の前の現実事象についてその全体状況の本質を見極める方法でもあります。KJ法を開発した川喜田博士は、その延長線上で問題を解決する思考方法としてW型のモデルを示しているので、これに着目したいのです。

工業的製品の製造工程では、一般的にまず生産計画が立てられ、製品仕様書もしくは設計図書が作成され、QC工程表のような製造基準が作られて、現場には作業指示書などが配布され、従業者はこれらに従って製造作業に従事して、成果物の出来を評価されます。計画→手順化→指示書→作業→成果物→評価という左脳サイクルです。

これは製品の品質を保証し、顧客の満足を得ていくための、優れたサイクルです。

しかしこれはトップダウンのサイクルであり、リーダーシップによって結果が左右されます。リーダーが状況をどう判断し、実状をどう理解するかが重要になります。つまり計画に至るプロセスが結果を左右するということです。

そこでこのリーダーシップのために提案されたものが、問題解決の「ひと仕事」のためのW型図式なのです。Wの右側が計画から成果物の評価までの製造工程の左脳のV、左側が実状理解、状況把握、判断のリーダーシップの製造計画の右脳のVであって、この右脳のVに注目したいのです。

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右脳のVから左脳のVへ

博士はこう説明します。

問題を解決するのには「思考レベル」が必要です。しかし考えてばかりではなく、どこかで現実の世界に触れるレベルが必要になります。したがって最初に必要なのは「どういうことを問題にしたいのか」ということです。これを明らかにし、次に「現実はどうなっているのか」と経験レベルへ取材に行かなければならないので、取材ネットの網を打ち、必要な情報を得に行きます。

個々の現場でしっかりと見届けておかなければならないものを鋭く観察し、記録をし、そのデータをして語らしめます。思い込みでデータを征服してはいけないのです。先入観をいっさい排除し、データが教えてくれることをよく聞き、自分の価値判断をいれず、「己を虚しくして情報を語らしめる」のです。

こうして情報をボトムアップの形でまとめると、ようやく全体の事態がわかります。これがW型の「状況把握」「現状把握」です。ここまで来て初めて、今度は積極的に自分の立場から全体状況についての評価を下す「情勢判断」をします。ここまでが右脳のVです。

判断の結果、次にやることはその問題解決を自分で引き受けるという「決断」です。そして「方針」を確定し、「目標」を確定します。目標イコール構想です。次にどうやってその目標に到達するか「具体策」が必要です。大雑把な前半の具体策までが思考レベルであり、後半のQC工程表に相当する青写真を作成するところでは、経験レベルが必要になってきます。そして実行、成果の評価、これが左脳のVです。

以上がW型問題解決図式の概要ですが、「情勢判断」までの思考レベルの右脳のVプロセスは現場での監査を彷彿とさせるプロセスです。

右脳のVを監査のプロセスに書き換えると

監査の準備で最初に必要なのは「どういうことを問題にしたいのか」というチェックシート です。これを明らかにし、次に「現実はどうなっているのか」を確認 するために、現場へ行かなければなりません。

現場でしっかりと見届けておかなければならないものを鋭く観察し、面談で聞き取り、記録をし、文書を調査し、ありのままのその客観的事実をして語らしめます。思い込みで課題を検出てはいけないのです。先入観をいっさい排除し、客観的事実が語ることをよく聞き、自分の価値判断をいれず、客観的な心理状態で「己を虚しくして情報を語らしめる」のです。

こうして証拠をボトムアップの形でまとめると、ようやく部門の実態がわかります。ここまで来て初めて、今度は積極的に規格など監査基準の要求事項から、検出した状況について、適合、不適合、観察事項、改善の提案などの評価を下します。 右脳のVです。

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右脳のVによる客観的監査技法

現場での監査とは組織の問題を解決するために、W型問題解決図式の右脳のVを回しに行くことと考えられるのではないでしょうか。適合性監査であっても、適合程度を確認するということは、適合しようとしている部署の、適合できていない部分の問題解決のために、右脳のVを回すということなのです。

監査の指針であるISO19011の4.監査の原則 にはこうあります。

監査は、(監査の原則によって)経営方針及び管理業務を支援する効果的、かつ、信頼のおけるツールとなり、また、組織がそのパフォーマンスを改善するには何に取り組むべきかについて情報を提供するものとなる。 【出典】JIS Q19011:2012(4 監査の原則)

そして5つの原則をあげている。その4番目に「監査プログラム中、終始一貫して客観的な心理状態を維持する。」とあるのですが、「己を虚しくする」ことと同義です。

監査での客観的な心理状態とは、「私の部署の職務は○○だから」という日常の心理を捨て、自分の部署に焦点を当てる「部署の立場」というキャップを脱いで、すべてのプロセスが相互に作用していることを客観的に見るということです。しかし社員であるとなかなか難しいのは事実です。したがって、内部監査を外部の専門家に任せるという方法は、理に適っているのです。

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