• FSSC22000は食品安全に関する国際規格
  • 日本のFSSC22000の取得企業数は、世界全体の約10%を占めているほど多い

FSSC22000認証は、食品安全に関する国際規格 ではありますが、実際にどのような企業が取得しているのでしょうか。食品安全に関する規格には ISO 22000もあるため、FSSC22000を取得すべきかわからないという企業もあるでしょう。

そこで、この記事ではFSSC22000認証の取得企業数や取得事例について紹介します。また、FSSC22000を取得できる業種についても解説していますので、ぜひFSSC22000の実情を知りたいという方は参考にしてください。

FSSC22000とは

FSSC22000とは、食品安全認証財団(FSSC)が発行している食品安全認証システムに関する国際規格です。食品安全規格のISO22000を追加要求事項で補強し、HACCPの衛生管理 も取り入れた、より強固にした食品安全 マネジメントシステム の構築・運用を目指します。

また、国際食品安全イニシアチブ(GFSI :Global Food Safety Initiative)という非営利団体に承認されているGFSI承認スキーム (GFSIが定める食品安全に関する要求事項との同等性が認められたスキーム)でもあります。

関連記事:【図解】GFSI承認スキームとは?概要を簡潔に解説

FSSC22000の取得メリット

以下にFSSC22000を取得する主な社内のメリットをまとめました。

  • 強固な食品安全体制を構築できる
  • 業務効率化や生産性向上、コスト削減
  • 食品安全の継続的改善が可能になる

食品安全体制の構築や業務効率化などの社内におけるメリットは自社の事業継続性を高めてくれます。原材料の高騰や人材不足が深刻化する昨今では、生産性向上やコスト削減は企業にとって大きな課題といえるでしょう。そのような状況でFSSC22000を取得することは、食品安全を高めるだけでなく、管理体制を整備する過程で自社の業務プロセスにおけるムダの削減につながるのです。

また、以下にFSSC22000を取得する主な対外的なメリットをまとめました。

  • 取引先や消費者の信頼の獲得
  • ブランドイメージの向上
  • 国際的な競争力の強化

対外的なメリットの効果としてよく挙げられるのは、取引先や消費者の信頼獲得です。しかし、それ以外にも効果を発揮することも。例えば、取引先による二者監査が免除されたり、監査の項目数が減ったりする場合があります。
また、国際規格であるため、海外への輸出を目指している場合には自社の食品安全をアピールする材料になります。早めに獲得を検討すると良いでしょう。

FSSC22000の詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:FSSC22000とは?導入企業や他の規格との違いを徹底解説!
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FSSC22000の取得企業数


FSSC22000の取得企業数は、FSSCのホームページから確認できます。2023年12月19日現在、世界全体の認証取得数が33,911件で、日本国内では3,267件です。世界全体の約1割を日本企業が取得していることからわかるように、日本において食品安全の重要性は非常に高くなっています。

詳しくはのちほど解説しますが、食品製造に関わる大手企業の多くは取得しており、また物流関係の企業も取得する動きが活発です。このように、日本国内では特に食品安全の注目度が高く、ISO22000だけでなくFSSC22000を取得する企業が増えています。

FSSC22000を取得できる企業

FSSC22000は食品安全に関する規格ですが、フードチェーン全体において食品安全を担保するために、以下の8つのカテゴリを対象にしています。

  • 畜産・水産
  • 食品製造
  • 食品包装及び包装材の製造
  • ケータリング
  • 動物の飼料製造
  • 流通
  • 輸送及び保管サービスの提供
  • 生化学製品の製造

取得が多いカテゴリは、食品製造やケータリング、食品包装及び包装材の製造の3つです。食品製造や加工、提供に直接関わるために取得数も多くなっています。

一方、取得数が少ないカテゴリは、畜産・水産、動物の飼料製造、流通、輸送及び保管サービスの提供、生化学製品の製造の5つです。

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FSSC22000取得企業の事例


最後にFSSC22000を取得した企業の取得事例を紹介します。
食品の生産や製造、加工を主に行う企業の事例は多くありますが、ここでは物流企業も一社紹介します。というのも、FSSC22000取得をしている物流企業は多くありません。しかし、競合他社がまだ取り組みはじめていないからこそ、取得することで他社との差別化につながるでしょう。

FSSC22000の取得を検討している企業の方は、ぜひ取得事例を参考にしてみてください。

キッコーマン株式会社

キッコーマングループでは、国内外にあるほとんどの工場でFSSC22000をはじめ、SQF2000レベル2、ISO22000、ISO9001 、HACCPなどの国際的な品質管理システムを取得。さらに、独自の商品安全マネジメントシステムのキッコーマン食品品質体系に基づき、生産活動の管理を実施しています。

具体的な取り組みの一つに、日本国内のしょうゆ充填ラインでは衛生管理を厳格化。工場内では異物混入を防ぐために、作業服の上着にはポケットはなく、扉は二重扉に。ホチキスの針やクリップなどの金属類の持ち込みを禁止しています。

この他にも顧客に安全で高品質な商品を届けるために、キッコーマングループではさまざまな取り組みを実施しています。

キユーピー株式会社

キユーピー株式会社では、グループの国内外にあるすべての生産拠点でFSSC22000などのGFSI認証を取得しています。取得しただけでなく、今後も第三者機関の審査を受けることで食品安全確保の取り組みをさらに向上していくと公表しています。

具体的な取り組みの一つに、商品の製造に関わるすべての担当者を対象に、安全の原理・原則などを学ぶ「ものづくり学校 品質コース」を設けています。順守すべき法令や自社の取り決め、過去の事例などを学び、品質のルールや考え方を身につけることで修了できるようになっています。

この他にも製造工程の品質を維持するため、ルールを徹底しミス防止の取り組みを徹底。異物混入防止や品質維持のために容器包装の改良など、さまざまな視点から食品安全に取り組んでいます。

森永乳業株式会社

森永乳業株式会社では、関係会社の工場を含む国内すべての生産拠点でFSSC22000を取得しています。これまでHACCPを中心に独自の品質管理システムやISO9001を運用していたものの、より安全・安心を重視した原材料調達と製造を実現し、高品質な商品を安定的に提供することを目指しています。

具体的な取り組みの一つに、社内教育の充実があります。品質を作り上げるのは人であるという考えから、入社3年目までの社員は品質に関する基礎技術や技能・知識・安全衛生の研修を受けることが必須です。製造に直接携わらない部門の社員に対しても、品質を守る重要性や自社の取り組みを理解する研修を行っています。

この他にも、社員のキャリアにあわせた階層別の研修体型を構築。社員一人一人が品質管理に必要な知識や技能の向上を図れる体制を整備しています。

株式会社トワード

株式会社トワードは、西日本で初となる物流カテゴリでFSSC22000を取得しました。日本初の「3温度帯同時物流」を導入したことで、食品の温度・鮮度管理を適切に実施。

登録カテゴリや登録範囲は、以下のようになっています。

登録カテゴリ G1(腐敗しやすい食品及び飼料の輸送及び保管サービスの提供)
G2(常温保存食品及び飼料の輸送及び保管サービスの提供)
登録範囲 食品の保管(常温・冷凍・冷蔵)及び輸送(陸送)

食品の生産や製造などの工程だけでなく、流通を含めたフードチェーン全体での食品安全を実現するべく、取り組みを推進しています。

まとめ

FSSC22000の概要や取得企業について解説しました。

世界だけでなく日本においても食品安全における重要性は高まっています。そのため、日本の大手企業をはじめ、多くの企業がFSSC22000を取得し、自社の安全性を高める取り組みを実施しています。

また、FSSC22000では、取得できる業種は決まっているため、すべての企業が取得できるわけではありません。しかし。食品に関わる企業であれば基本的に取得できるため、より自社の食品安全性を高め、市場にアピールしたい場合には取得されることがおすすめです。

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