【最新版】FSSC22000取得企業数は?取得すべき企業の特徴を解説

- FSSC22000は食品安全に関する国際規格
- 日本のFSSC22000の取得企業数は、世界全体の約10%を占めているほど多い
FSSC22000認証は食品安全に関する国際規格ですが、実際にどのような企業が取得しているのでしょうか。食品安全に関する規格にはISO22000もあるため、FSSC22000を取得すべきかわからないという企業もあるでしょう。
そこで、この記事ではFSSC22000認証の取得企業数や取得事例について紹介します。また、FSSC22000を取得できる業種についても解説していますので、ぜひFSSC22000の実情を知りたいという方は参考にしてください。
目次
FSSC22000の取得企業数
FSSC22000の取得企業数は、FSSCによると2025年7月17日現在では、世界全体の認証取得数が38,242件で、日本国内では3,426件です。世界全体の約1割を日本企業が取得していることからわかるように、日本において食品安全の重要性は非常に高くなっています。
詳しくはのちほど解説しますが、食品製造に関わる大手企業の多くは取得しており、また物流関係の企業も取得する動きが活発です。
このように、日本国内では特に食品安全の注目度が高く、ISO22000だけでなくFSSC22000を取得する企業が増えています。
FSSC22000取得企業数の確認方法
最新のFSSC22000取得企業数の確認方法を以下にまとめました。
FSSC22000公式ホームページの「Public Register(公的登録簿)(外部リンク)」を開く
- 「フィルター」をクリックする
- 「Scheme(スキーム)」のうち「FSSC22000」にチェックを入れる
- 「Country(国)」から「Japan(日本)」を選択する
- 「Search(検索)」をクリックする
- 日本の取得企業数が表示される
また「Certificate status(証明書のステータス)」の「Valid(有効)」、「Suspended(一時停止)」を選ぶことで、現在の証明書ステータスの状況も含めて確認できます。

FSSC22000を取得すべき企業とは
ここでは、FSSC22000の概要やメリット、取得すべき企業の特徴について解説します。
FSSC22000とは
FSSC22000とは、食品安全認証財団(FSSC)が発行している食品安全認証システムに関する国際規格です。
食品安全規格のISO22000を追加要求事項で補強し、HACCPの衛生管理も取り入れた、より強固にした食品安全マネジメントシステムの構築・運用を目指します。
また、国際食品安全イニシアチブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)という非営利団体に承認されているGFSI承認スキーム(GFSIが定める食品安全に関する要求事項との同等性が認められたスキーム)でもあります。
FSSC22000の取得メリット
FSSC22000を取得することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 取引先や消費者の信頼の獲得
- ブランドイメージの向上
- 国際的な競争力の強化
- 強固な食品安全体制を構築できる
- 業務効率化や生産性の向上、コスト削減
- 食品安全の継続的改善が可能になる
食品安全マネジメントシステムの構築・運用により、食品に関するリスクマネジメントの実施や業務プロセスの見直しなどを行います。その結果、強固な食品安全体制の構築や業務効率化・生産性の向上が期待できます。
また、食品安全管理における認証規格の中でも厳しい要件を満たす必要がある規格です。そのため、取得することで取引先や消費者からの信頼の獲得やブランドイメージの向上につながります。
FSSC22000の詳細は、以下の記事をご覧ください。
FSSC22000の対象業種一覧
FSSC22000は食品安全に関する規格ですが、フードチェーン全体において食品安全を担保するために、以下の8つのカテゴリを対象にしています。
- 畜産・水産
- 食品製造
- 食品包装及び包装材の製造
- ケータリング
- 動物の飼料製造
- 流通
- 輸送及び保管サービスの提供
- 生化学製品の製造
取得が多いカテゴリは、食品製造やケータリング、食品包装及び包装材の製造の3つです。食品製造や加工、提供に直接関わるために取得数も多くなっています。
一方、取得数が少ないカテゴリは、畜産・水産、動物の飼料製造、流通、輸送及び保管サービスの提供、生化学製品の製造の5つです。
FSSC22000を取得すべき企業の6つの特徴
FSSC22000を取得すべき企業の6つの特徴を以下にまとめました。
食品製造やケータリング、食品包装関連の製造に関わる業種の企業
食品やその包装資材に関わる企業は、消費者の口に直接入る製品を扱う責任を負っています。FSSC22000を取得することで、国際的に認められた安全基準を満たしている証明となり、事故の未然防止やブランドの信頼性強化につながります。
食品事故の予防やリスクにおける管理をより強化したい企業
FSSC22000の要求事項には、ISO22000をベースに、より強力な管理につながる追加要求事項や前提条件プログラム(PRP)が含まれています。
こうした要求事項に取り組むことで、リスクベースアプローチによる継続的な改善体制を導入できるため、重大な食品事故を未然に防ぎたい企業にとって大きな強みとなります。
品質管理に注力したい企業
食品安全と品質は密接に関係しており、FSSC22000は食品安全だけでなく、組織全体のマネジメントや文書管理、教育訓練まで一貫して見直すきっかけとなります。結果として、現場の衛生意識や従業員の意識向上にもつながります。
グローバルに展開している企業
FSSC22000はGFSI(Global Food Safety Initiative)承認スキームのひとつであることから、欧米をはじめとする国際的な食品バイヤーとの取引要件として定められることが多くあります。
そのため、グローバル展開を検討している場合には、FSSC22000の取得を前向きに検討する必要があります。
取引先や消費者からの信頼度を向上したい企業
「FSSC22000を認証取得している」という事実が、食品の安全性と企業の信頼性を客観的に証明する手段になります。
特に、BtoB取引においては、FSSC22000取得の有無が取引における判断に直結する場合もあることから、他社との差別化にも有効です。
サプライチェーン全体での安全管理を行いたい企業
FSSC22000は、食品製造だけでなく流通、包装資材などの食品に関連するサプライチェーン全体を対象としています。
そのため、自社の衛生管理だけでなく、パートナー企業や外注先との連携を通じた食品安全管理体制の構築につながります。
このように、FSSC22000は単なる「食品安全の証明」にとどまらず、企業の信頼性や国際競争力、内部の業務管理能力を高める全社的な取り組みといえます。自社の事業戦略と照らし合わせながら、取得の必要性を検討することが大切です。
一つでも該当する場合には、取得によるメリットを大いに享受できる可能性があるため、取得を検討してみることがおすすめです。
FSSC22000取得企業の事例
最後にFSSC22000を取得した企業の取得事例を紹介します。
食品の生産や製造、加工を主に行う企業の事例は多くありますが、ここでは物流企業も一社紹介します。というのも、FSSC22000取得をしている物流企業は多くありません。しかし、競合他社がまだ取り組みはじめていないからこそ、取得することで他社との差別化につながるでしょう。
FSSC22000の取得を検討している企業の方は、ぜひ取得事例を参考にしてみてください。
キッコーマン株式会社
キユーピー株式会社では、グループの国内外にあるすべての生産拠点でFSSC22000などのGFSI認証を取得しています。取得しただけでなく、今後も第三者機関の審査を受けることで食品安全確保の取り組みをさらに向上させていくと公表しています。
具体的な取り組みの一つに、日本国内のしょうゆ充填ラインでは衛生管理を厳格化。工場内では異物混入を防ぐために、作業服の上着にはポケットはなく、扉は二重扉に。ホチキスの針やクリップなどの金属類の持ち込みを禁止しています。
この他にも顧客に安全で高品質な商品を届けるために、キッコーマングループではさまざまな取り組みを実施しています。
キユーピー株式会社
キユーピー株式会社では、グループの国内外にあるすべての生産拠点でFSSC22000などのGFSI認証を取得しています。取得しただけでなく、今後も第三者機関の審査を受けることで食品安全確保の取り組みをさらに向上していくと公表しています。
具体的な取り組みの一つに、商品の製造に関わるすべての担当者を対象に、安全の原理・原則などを学ぶ「ものづくり学校品質コース」を設けています。順守すべき法令や自社の取り決め、過去の事例などを学び、品質のルールや考え方を身につけることで修了できるようになっています。
この他にも製造工程の品質を維持するため、ルールを徹底しミス防止の取り組みを徹底。異物混入防止や品質維持のために容器包装の改良など、さまざまな視点から食品安全に取り組んでいます。
森永乳業株式会社
森永乳業株式会社では、関係会社の工場を含む国内すべての生産拠点でFSSC22000を取得しています。これまでHACCPを中心に独自の品質管理システムやISO9001を運用していたものの、より安全・安心を重視した原材料調達と製造を実現し、高品質な商品を安定的に提供することを目指しています。
具体的な取り組みの一つに、社内教育の充実があります。品質を作り上げるのは人であるという考えから、入社3年目までの社員は品質に関する基礎技術や技能・知識・安全衛生の研修を受けることが必須です。製造に直接携わらない部門の社員に対しても、品質を守る重要性や自社の取り組みを理解する研修を行っています。
この他にも、社員のキャリアにあわせた階層別の研修体型を構築。社員一人ひとりが品質管理に必要な知識や技能の向上を図れる体制を整備しています。
株式会社トワード
株式会社トワードは、西日本で初となる物流カテゴリでFSSC22000を取得しました。日本初の「3温度帯同時物流」を導入したことで、食品の温度・鮮度管理を適切に実施しています。
登録カテゴリや登録範囲は、以下のようになっています。
登録カテゴリ | G1(腐敗しやすい食品及び飼料の輸送及び保管サービスの提供) G2(常温保存食品及び飼料の輸送及び保管サービスの提供) |
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登録範囲 | 食品の保管(常温・冷凍・冷蔵)及び輸送(陸送) |
食品の生産や製造などの工程だけでなく、流通を含めたフードチェーン全体での食品安全を実現するべく、取り組みを推進しています。

まとめ
FSSC22000の概要や取得企業について解説しました。
世界だけでなく日本においても食品安全における重要性は高まっています。そのため、日本の大手企業をはじめ、多くの企業がFSSC22000を取得し、自社の安全性を高める取り組みを実施しています。
また、FSSC22000では、取得できる業種は決まっているため、すべての企業が取得できるわけではありません。しかし。食品に関わる企業であれば基本的に取得できるため、より自社の食品安全性を高め、市場にアピールしたい場合には取得されることがおすすめです。

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