【2025年最新】ISO9001の取得企業一覧!業種・取得数・事例を徹底解説

- ISO9001は世界190カ国で100万件以上の取得実績がある
- 日本国内では建設業や製造業において取得が進んでいる
ISO9001は、商品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高めるための国際規格として、世界および日本において広く普及している規格です。社会的な信頼を獲得するために非常に有効な手段の一つであるといえます。そのため、取引先からの要求によって取得を目指す企業が多くあります。
そこで、本記事ではISO9001の取得企業数や取得するメリット、取得できる組織、取得事例について解説します。
目次
ISO9001とは
ISO9001とは、「品質マネジメントシステムに関するISO認証規格」です。企業が提供する製品・サービスの品質を体系的に向上させるための仕組みを構築・運用するためのフレームワークといえます。
ここでいう品質とは、高品質で優れた製品・サービスではなく、「顧客が求める基準や期待を満たしているかどうか」を指します。これは、ISO9001の最終目標が「顧客満足度の達成」にあるためです。
顧客満足度を達成するためには、Q(quality:品質)、C(cost:価格)、D(delivery:納期)の3つの要素を管理し、以下の観点からバランスよく改善することが必要です。
- Q(quality:品質):顧客が製品・サービスの品質に満足できるか
- C(cost:価格):顧客が製品・サービスの対価として納得できる価格かどうか
- D(delivery:納期):顧客と合意した納期を順守できるかどうか
また、ISO9001を取得するには、第三者である認証機関による審査を受け、規格の要求事項を満たしていることが確認される必要があります。認証を取得することで、社内外に「品質管理の仕組みが適切に機能している」と客観的に示すことができます。
企業の主なISO9001取得目的
企業がISO9001を取得する主な目的をまとめました。
- 製品・サービスの品質向上
- 顧客満足度の向上
- 業務プロセスの改善
- 社会的信用の獲得
- 取引先からの要求への対応
ISO9001を取得することは、「自社の品質マネジメントシステムが国際的な基準を満たしている」という証明になります。そのため、取引先から取得を要求されることもあり、取得することで社会的信用の獲得につながるなどの対外的な関係性の構築・改善にも寄与します。
そのため、ISO9001取得を検討している企業は、品質向上を目指すだけでなく、「取得することで対外的にどのように作用するのか」を検討すると良いでしょう。

【2025年現在】ISO9001を取得している有名企業一覧
ここでは、2025年9月13日現在、ISO9001を取得している主な有名企業・大手企業をまとめました。
- AGC株式会社
- ALSOKグループ
- Dynabook株式会社
- KDDI株式会社
- NSKワーナー株式会社
- YKKAP株式会社
- 旭化成株式会社
- 日立建機株式会社
- アキレス株式会社
- いすゞ自動車株式会社
- エクシオグループ株式会社
- コニカミノルタ株式会社
- コスモ石油株式会社
- サントリー株式会社
- 住友化学株式会社
- 東芝テック株式会社
- 東邦チタニウム株式会社
- 日本航空電子工業株式会社
- 日本製鉄株式会社
- パナソニック株式会社
- 株式会社ヤクルト本社
- 株式会社リコー
- ローム株式会社
さまざまな有名企業・大手企業がISO9001を取得していることは、顧客満足度の向上や社内の業務効率化、取引先からの信頼獲得など、さまざまなメリットを享受している証でもあります。
そのため、ベンチマークとしている企業がISO9001を取得している場合、自社でも取得することで、業務改善や市場での競争力向上といった効果も期待できるでしょう。
【世界・日本】ISO9001認証の取得企業数
ここでは、世界各国と日本のISO9001認証取得企業数を解説します。
世界の取得企業数
世界のISO9001取得企業数は、ISOの公式ホームページから確認できます。
2025年9月時点で公表されている最新の2023年の調査結果から、取得企業数が多い10カ国をまとめました。
国名 | 取得企業数 | |
---|---|---|
1 | 中国 | 130,402 |
2 | イタリア | 99,419 |
3 | インド | 57,658 |
4 | ドイツ | 41,760 |
5 | 日本 | 39,584 |
6 | 韓国 | 38,041 |
7 | イギリス | 35,882 |
8 | スペイン | 30,341 |
9 | アメリカ合衆国 | 26,833 |
10 | フランス | 19,987 |
引用:ISO Survey 2023 results – number of certificates and sites per country and the number of sectors overall
世界全体では、ISO9001認証は190カ国で83万件以上取得されています。
その中でも、中国の取得企業数が群を抜いて多いことがわかります。経済成長が続く中で国際的に展開する企業が増え、品質の信頼性を証明するためISO認証取得が奨励されたことが要因と考えられます。
また、人口の多さや企業数の多さも取得企業数に影響しているのでしょう。
その他ではヨーロッパ諸国において取得数の多さが目立つ一方で、アメリカの取得数はそれほど多くありません。アメリカにおいては、自国が主導している規格があることや、人口に比べて企業母数が少ないという産業構造によるものと考えられます。
日本の取得企業数
公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)によると、2025年9月13日現在、ISO9001を取得している企業数は21,694件です。
ISO9001の取得件数は、2007年の43,023件をピークに減少に転じ、その後2021年まで減少が続きました。直近でも、2025年3月8日時点で21,791社であるため、わずかではありますが引き続き減少傾向にあることが分かります。
この理由に、取得件数が多い業種である建設業における取得件数の減少が影響しているのです。建設業がISO9001認証を取得する目的の一つに、入札参加条件を満たすため、という目的があります。しかし、その条件を満たすために必須だったISO9001の取得が緩和されたためだと考えられます。
ただし、JABのサイトで確認が取れるのは、JABが認定した認証機関の審査を通過して認証を取得した企業のみです。
ANABやUKASから認定されている認証機関で審査を受けた企業は載っていませんので、ご留意ください。

ISO9001を取得している企業の調べ方
ISO9001を取得している企業の調べ方は、主に以下の3つがあります。
公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)のホームページから検索する
日本国内におけるISO9001認証数や取得企業の最新情報は、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)のホームページの「適合組織検索」から確認できます。
また組織の国籍や産業分類ごとに検索できるため、自社の業界における企業の取得状況を知りたい場合にも役立つでしょう。
ただし、JABから認定を受けた認証機関(審査機関)から認証を受けた企業のみご覧いただけます。海外の認定機関から受けた認証機関から認証を受けた企業は、JABのホームページでは知ることができません。
組織のホームページを確認する
取得しているかどうかを知りたい組織のホームページを確認することで、多くの場合はISO9001の取得状況を確認できます。
ただし、ホームページを用意していない場合には確認できないため、別の手段を選択することが必要です。
パンフレット・名刺を確認する
ホームページを用意していない企業の場合には、パンフレットや工場の入口、社員の名刺などを確認することで、ISO9001を取得しているかどうかを調べられる場合があります。
ISO9001認証取得が多い業種
日本におけるISO9001認証を取得している企業のうち、取得数が多い業種や少ない業種、その特徴について解説します。
まず、2025年3月8日現在、ISO9001の取得数が多い業種は以下のとおりです。ISO9001が商品やサービスの品質管理における規格であるため、特に建設業や製造業といったモノをつくる業界において積極的に取得が進められています。
- 建設業:5,768社
- 基礎金属・加工金属製品:5,071社
- 電気的及び光学的装置:2,649社
- ゴム製品、プラスチック製品:2,132社
- 機械、装置:2,086件
最近ではものづくり以外の業種においても、品質が求められるようになっており以下のような業種でもISO9001を取得する企業が見られるようになってきました。
- 卸売業、小売業、自動車、オートバイ、個人所持品及び家財道具の修理業:1,613件
- 情報技術業:1,071件
情報技術業においてはISO9001とISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の両方を取得することで、自社のITサービスの信頼性を高める動きが活発化しています。
このようにISO9001自体はあらゆる業種に対応できる汎用性をもった規格であるため、自社にとって有用である場合には取得を検討することがおすすめです。

ISO9001を取得できる企業・組織
ここでは、ISO9001を取得できる企業・組織について解説します。
中堅・大手企業
ISO9001を取得している組織のイメージといえば、中堅・大手企業でしょう。
中堅・大手企業がISO9001を取得する理由には、「国際的な競争力の向上」や「法規制に対するコンプライアンスの強化」「顧客満足の向上や信頼性の獲得」「業務プロセスの標準化」などが挙げられます。
特に中堅・大手企業の場合には、複数の拠点をもつ場合や多方面の分野に携わる場合が多いため、サプライヤーとの連携や法規制を確実に順守する体制づくりが求められるのです。
小規模企業
実は、ISO9001の取得企業の半数以上が、100人以下の組織であるといわれています。
大企業には知名度の高さや実績の豊富さによって消費者の信頼を得ることが可能です。しかし、中小企業や小規模企業の場合には、自社の製品・サービスの品質を担保できるものを探さなければなりません。
国際規格であるISO9001であれば、信頼性を取引先や消費者にアピールできるため、多くの中小企業や小規模企業が取得に動いているのです。
単独企業以外の組織
ISO規格は単独企業以外の組織も取得可能です。
共同企業体や事業組合、もしくは法人の会社以外も取得実績はあります。例えば、商店街や清掃事業組合がISO規格を取得しています。
取得するには、組織のISO9001の認証取得範囲が明確であること、且つISO9001のマネジメントシステムの要件を満たすことが必要です。
ISO9001を取得するメリット・デメリット
ここでは、ISO9001を取得するうえで理解しておきたいメリット・デメリットについて解説します。
メリット
ISO9001を取得することで、以下のようなメリットを享受できます。
- 企業の安心感・信頼感の醸成
- 作業手順の明確化
- 従業員教育の効率化
- 品質の継続的な改善
- 取引先の拡大
デメリット
ISO9001を取得するにあたり、以下のデメリットが考えられます。負担となる側面や負担の低減方法についても理解したうえで、認証取得の準備を行いましょう。
- 管理者への負担
- コストや手間がかかる
- 運用の継続が負担になる
ISO9001を取得するメリット・デメリットの詳細は、以下の記事をご覧ください。

ISO9001取得企業の事例
最後にISO9001取得企業の事例をご紹介します。ISO9001を取得することにより、どのような変化があったのか、ぜひ参考にしてください。
ブルーコンシャスグループ株式会社
ブルーコンシャスグループ株式会社は、2011年に創業した太陽光発電システムや蓄電池システムを中心に事業を営む総合エネルギー事業の会社です。
業種 | 総合エネルギー事業 |
企業規模 | 201~300名以下 |
取得前の課題 | 事業規模拡大のために、マネジメントシステム構築の必要性を感じた |
取得後の変化 | 品質マネジメントを中心に内部体制が強化され、社会的信用も高まった |
事業規模の拡大に向けて、企業として品質を大切にするためにマネジメントシステム規格を取得しました。その結果、内部体制が強化され、社員が目指すベクトルが揃ってきました。また、ISO9001取得により、大手企業とのつながりをもてるようになり、取引先からの見られ方も変わってきたという実感されています。
ブルーコンシャスグループ株式会社のISO9001取得事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ハイキス株式会社
ハイキス株式会社は、1997年に創業した半導体の部品製造や難削材の加工などを手掛ける製造業の会社です。
業種 | 製造業 |
企業規模 | 21~50名以下 |
取得前の課題 | 営業面でのPRや社員教育を強化し、事業をステップアップさせたい |
取得後の変化 | 社員の意識が高まり、業務が円滑に進むようになった |
ISO9001と情報セキュリティマネジメントシステムに関する規格であるISO27001を同時取得。取得後には、社員が業務に取り組む姿勢が変化しました。また、これまで曖昧だったルールや仕組みが、ISO取得過程で明確になり、業務がより円滑に進むようになりました。
ハイキス株式会社のISO9001取得事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。
株式会社野崎造園
株式会社野崎造園は、1983年に創業した造園業を営む会社です。
業種 | 造園業 |
企業規模 | 20名以下 |
取得前の課題 | 元請けに方向転換したことで、内部統制が統一できなくなった |
取得後の変化 | 社内のルールをつくり、内部統制の統一に向けて動き出せた |
もともと、大手建築会社の二次下請けとして事業を開始しましたが、最近元請けに方向転換しました。その結果、現場により手法や進行具合が大きく異なる事態が発生し、社員の離職につながってしまいました。
そのため、属人的な事業体制を変革する必要があり、ISO9001に則った内部統制づくりを実施。品質の安定化と事務の書式・管理方法の統一などを実現し、会社全体で業務フローの進行が安定したのです。
株式会社野崎造園のISO9001取得事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
ISO9001の取得企業や取得におけるメリット・デメリットについて解説しました。
品質マネジメントシステムは、すべての業種において応用が可能な仕組みとなっています。
自社における商品やサービスの品質を向上させ、合理的な管理体制を築きたい組織の方は、ISO9001の取得について検討してみてはいかがでしょうか。

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