建設業法に違反するとどうなる?処分事例をわかりやすく解説
- 建設業法に違反すると、罰則・監督処分を受けることになる
- 建設業法に違反すると、最悪の場合許可取消処分を受けることもある
建設業者が事業活動を行う際に、必ず順守しなければならないのが建設業法です。違反すると罰則や監督処分を受けることになります。意図的な違反でなかったとしても、最悪の場合事業を継続できなくなる可能性すらあります。
そのため、建設業法に違反してしまうとどうなるのか理解を深め、自社のコンプライアンスの強化に努めましょう。
この記事では、建設業法に違反した場合の制裁として、罰則や監督処分、違反事例について詳しく解説。また、コンプライアンスの強化におすすめの方法についても紹介します。
目次
【建設業法に違反した場合の制裁】1.罰則
建設業法に違反した場合の制裁の1つ目の罰則について解説します。
罰則とは、懲役などの刑罰、科料のことです。法律上の制裁となり、法律を犯したために裁判所から科せられます。
罰則は、以下の4つに区分されています。
10万円以下の過料
手続きを行わなかった場合や、営業所・工事現場に建設業許可票を表示しなかった場合など、軽微な違反の際に科せられることがあります。
100万円以下の罰金
許可行政庁からの監督処分を受けた際に、規定期間内に注文者に通知しなかった場合や、許可行政庁から報告や検査を求められた際に応じない、不正しようとした場合などに科せられることがあります。
6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
建設業許可申請書や変更などの届出に虚偽の記載をして提出した場合などに科せられることがあります。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合1億円以下の罰金)
建設業許可を受けずに、一般建設業や特定建設業の許可が必要な工事を行った場合や、不正をして建設業許可を得た場合、営業停止処分中に営業した場合など重い情状の際に科せられることがあります。
違反した内容が重大であればあるほど、受ける罰則も大きくなります。また、情状によっては懲役と罰金が併科される場合もあることは覚えておきましょう。
【建設業法に違反した場合の制裁】2.監督処分
建設業法に違反した場合の制裁の2つ目の監督処分について解説します。
監督処分とは、法令違反があった際に行政機関が発する命令のことです。建設業の場合には許可行政庁(建設業を受けた行政庁のこと)から科せられます。
監督処分は、以下の3つに区分されています。
指示処分
指示処分とは、法律違反を訂正するための監督行政庁からされる改善命令のことです。
営業停止
営業停止処分は、指示処分に従わないときに受ける処分のことです。1年以内の期間、営業を止めなければなりません。営業停止の範囲は、すべて停止か、営業の一部を停止させるかの2つがあります。
ただし、悪質な違反の場合には、指示処分がなく営業処分になることもあります。
許可取消処分
許可取消処分とは、建設業許可を取り消されてしまう最も重い処分です。営業停止処分に違反して営業したり、不当に建設業許可を取得したりした場合などに許可が取り消されます。
刑罰と監督処分は、別々の機関から命令される制裁であるため、まったくの別物です。そのため、どちらの制裁を受けることもあります。
監督処分になる建設業法の違反事例
監督処分の概要を解説しましたが、具体的にどのような違反をすると処分を受けることになるのでしょうか。より詳しい事例を確認した場合には、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」をご覧ください。
ここでは、監督処分になる建設業法の違反事例について紹介します。
指示処分の事例
指示処分になる事例には、以下のようなものがあります。
- 建設工事の請負契約の規定に違反したこと
- 労働災害が発生した際に、虚偽の報告を行ったこと
- 営業所の専任者を監理技術者として配置していたこと
- 営業所新設から30日以内に変更届出書を提出しなかったこと
- 適切な足場を設置するなどして、労働者が墜落する危険を防止するための必要な措置を講じなかったこと
営業停止処分の事例
営業停止処分になる事例には、以下のようなものがあります。
- 指示処分に違反したこと
- 資格要件を満たさない者を主任技術者及び監理技術者を工事現場に配置していたこと
- 経営事項審査において、虚偽の申請を行ったこと
- 労働災害を防止すべき業務上の注意義務があったにもかかわらず、必要な措置を講じなかったこと
- 架空の外注加工費などを計上し、事業年度における法人税や地方法人税を免れたこと
許可取消処分の事例
許可取消処分になる事例には、以下のようなものがあります。
- 指示処分や営業停止処分に違反したこと
- 営業所の所在地を確認できなかったこと
- 経営業務管理責任者や専任技術者が退職などの理由で不在になったこと
- 不正の手段により許可を受けたこと
- 役員などの懲役刑が科されたこと
建設業の事業継続性を高めるにはISO規格の取得がおすすめ
ここまで、建設業法を違反した際の制裁について解説してきました。一度でも法令に違反してしまうと、制裁によっては事業存続にかかわる事態に陥りかねません。
こうした事態を避けるためには法令を遵守する体制づくりが重要です。そこで、多くの建設業の企業はISO 規格 を取得しています。最後に建設業者におすすめのISO規格としてISO14001とISO9001について解説します。
おすすめの規格①:ISO14001
ISO14001は、環境 マネジメントシステムに関する国際規格です。自社の事業活動が環境に与える影響を分析し、悪い影響を低減し、良い影響は伸ばしていくような仕組みを構築・運用することを目指します。
環境というと、自然環境を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ISO14001では、「自社を取り巻くすべてのモノゴト」を指しています。そのため、国・地方自治体や取引先、従業員なども含まれます。
そのため、ISO14001では法規制遵守の強化が求められており、事業継続性を高めることにつながります。最近では、国や地方自治体が自然環境への取り組みを厳格化しているため、今後の法規制の動きにも対応できるようになります。
ISO14001の詳細は、以下の記事をご覧ください。
おすすめの規格②:ISO9001
ISO9001は、品質 マネジメントシステムに関する国際規格です。自社製品・サービスの品質を向上する仕組みをつくることで、最終的には顧客満足の達成を目的にしています。
顧客満足の達成のためには、当然法令順守も大切になります。そのため、ISO9001もコンプライアンスの強化は要求事項の一つに含まれています。
また、建設業であれば、品質の向上はそのまま経営活動の強化につながることも嬉しいメリットといえるでしょう。以前は建設業の公共工事の入札参加条件として設定していたこともあり、現在も経審の加点や主観点の向上になる場合もあります。
ISO9001の詳細は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
建設業法に違反した場合の罰則と監督処分の具体的な事例について解説しました。
法令に違反してしまった場合、最も重い処分である許可取消処分を受けてしまえば、事業を継続することが困難になるでしょう。小規模な企業であってもコンプライアンスを順守する体制をつくることで、建設業法の違反を防げます。
そのためには、国際規格であるISO9001やISO14001の取得がおすすめです。コンプライアンスの順守に役立つだけでなく、公共工事の入札参加の際に加点されるなど、多くのメリットを受けられます。
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