• 品質管理システムとは製造物やサービスの品質を改善していこうとする経営管理システム
  • ルールを決めることで製品やサービスの品質が改善されていくような仕組みを構築する
  • 品質管理システム規格は、どのような状況であろうと品質保証 のための継続的な改善が実行されるような設計がされている

現代において「品質」はとても重要で、「量」ではなく「質の良さ」が求められるようになってきました。品質を改善し顧客の求めるレベルの超える品質を維持し続けるには、「改善」と「検証」の繰り返しを合理的に行う必要があり、それらを手助けするのが品質管理システムという経営手法なのです。

品質管理システムとは、製造物やサービスを提供するまでに至る工程を管理することでその製造物やサービスの品質を改善していこうとする経営管理システムの一つで、顧客満足を向上させるという目的のもと、どのようなことをすれば良いのかというガイドラインが定められています。

この記事は、品質管理システムの概要について簡単に説明していきます。

品質管理システムとは

品質管理システムとは、製造物やサービスを提供するまでに至る工程を管理することでその製造物やサービスの品質を改善していこうとする経営管理システムの一つです。

英語ではQuality Management Systemと呼ばれます。これを直訳すると

  • Quality:品質
  • Management:管理
  • System:システム

となりますね。

しかし、単語を並べただけではなかなか理解しにくい部分もあると思います。なぜ理解しにくいかというと、「管理システム」というものが私達日本人にとって理解しにくいものだからです。

私達が日常で、「システム」という単語について、なんとなく意味を理解していながらも、その単語を使うことは多くないです。一部ではシステムという考え方はもともと日本には存在していなかったと言われています。このため、「品質管理システム」と言われてもイマイチ、ピンと来ないわけです。

経営管理システムとは

システムという単語を理解するためには、企業組織を機械のように置き換えると良いかもしれません。例えば炊飯器は、スイッチを入れると電流が走って熱によって窯を温めてくれます。——つまり、スイッチを入れることでご飯が炊けるというシステムなわけです。

経営管理システムもそれと同じで、「こういうルールを決めれば、社員はこう動く」——そんな仕組みのことを指すのです。

人が絡むと途端に理解しにくくなりますが、実は皆さんも経営管理システムの中で生活しています。——例えば、「朝出社したら打刻をする」というルールがあると思います。打刻することで、勤務時間を簡単に計算することができて、給与計算が簡単になっています。これも経営管理システムの一つです。逆に「打刻をする」というルールがなければ、誰かが「Aさんは8時49分に出社して、18時30分に退勤しました」ということを覚えて置かなければいけません。これはとても大変なことです。

QMSは品質が継続的に改善していく仕組み

前述の「打刻をするというルール」と同じように、品質管理システムは、「製品の品質を向上させる」という目的で行われる経営手法の一つで、要するにルールを決めることで製品やサービスの品質が改善されていくような仕組みを構築することを言います。

例えば、ある製品の製造段階で不良品が出たとします。その不良品が二度と出ないようにするためには、どのようにすれば良いでしょうか?「その不良品が発生した原因を見つけ出し、原因を潰す」というのが最も合理的な選択でしょう。しかし、その結果別の原因で不良品が出る可能性があります。

AではうまくいかなかったからB、BでうまくいかなかったからC……となにかを改善していくためには改善と検証を繰り返していく必要がありますが、継続的に品質を改善していくためには、この改善と検証 の繰り返しを合理的に行う必要があります。——それを手助けするのが、品質管理システムという経営手法なのです。QMS (品質管理システム)では、これらをPDCAサイクルに落とし込み、継続的改善が実行されるように構築されています。

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品質管理が求められるのはなぜ?

そもそも、なぜ品質管理というものが求められるのでしょうか?——それは、現代において「品質」というものが非常に重要なものであると認識され始めたからです。

一昔まえに比べて、日本を始めとする先進国では、モノが溢れかえっています。戦時中のように空腹になることもなければ、洗濯機や冷蔵庫の登場によって便利な世の中になりました。こういった社会で求められるのは、「量」ではなく「質」です。

例えば、一人暮らしを始めたとして、洗濯機、冷蔵庫などがないような環境からスタートしたとすれば、多少品質が悪くても、すぐに生活に必要なものを揃えたいと思うはずです。——しかし、ある程度モノが揃うと、「この洗濯機、もう少し高いものに買い換えよう」などということを考え始めますよね? つまり、人は充足感を得ると次に質を意識し始めるのです。

これはビジネスにおいても同じです。品質改善というのは常に顧客から求められており、逆に品質を改善していくことで顧客満足を得ることが可能なのです。つまり、今後ますます事業を拡大するならなおのこと、「品質を改善する」という企業活動が求められることになるのです。品質を改善すると言葉で言うのは簡単ですが、具体的にどの程度改善しなければいけないのでしょうか?それは、顧客の求めるレベルを超える品質を保ち続けるよう改善することです。どの程度超えるのかというところは、採算を考慮し、経営者が判断するところです。

品質管理システムの規格はなぜ必要なのか?

ISO 9000シリーズに代表される品質管理システム規格 は、どのような状況であろうと品質保証 のための継続的な改善が実行されるような設計がされています。具体的には、計画の策定、計画の実行、監視、データ分析、改善といったことが規格の要求事項としてありますが、要求事項に則って品質改善に取り組めば、必ず改善されていくという考え方のもと策定されています。

例えば、ある会社が「よし!うちも品質改善をやろう!」と意気込んで品質改善に取り組んだとして、全くヒントもないまま「あーでもない、こーでもない」と取り組んでいても非効率的です。これを効率的に行うためにあるのが、品質管理システムに関する規格、ISO9001なのです。

ISO9001には、顧客満足を向上させるという目的のもと、どのようなことをすれば良いのかというガイドラインが定められています。そのガイドラインに則って「各企業に適した形にしていくために、こういうことをしましょう」という道を提示してくれるということが、品質マネジメントシステム規格の存在意義なのです。

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