ISO14001における緊急事態とは?具体例を交えて解説
ISO 14001のマネジメントシステム 規格 では、要求事項内に「緊急事態への準備及び対応」という項目が存在しており、組織は 環境 マネジメントシステム( EMS )を構築する過程で、「緊急事態」を決定する必要が出てきます。
この環境マネジメントシステムにおける緊急事態とはどのようなものなのでしょうか?今回は、ISO14001における緊急事態について解説していきたいと思います。
ISO14001における緊急事態とは?
ISO14001では、要求事項で以下のような記載があります。
組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲の中で,環境影響 を与える可能性のあるものを含め,潜在的な緊急事態を決定しなければならない。
JIS Q 14001
つまり、組織が設定した基準をもとに、著しく環境に影響を与える緊急事態というものを決定する必要があるのです。
緊急事態は、一般的には以下のようなものが挙げられると思います。
- 火災
- 爆発事故
- 排水などによる汚染
- 化学物質の漏洩
- 悪天候
この他にも、近隣の施設で緊急事態が発生する可能性も想定する必要があります。
- プラントでの爆破
- 道路での交通事故
- 鉄道の脱線事故
いずれにしても、
- 環境に対して、多大な影響を与える
- 事業継続が困難になる
このような状況のことを緊急事態と言います。
緊急事態の決定方法
ISO14001の規格では、以下のようなことを考慮して緊急事態を決定することが望ましいとしています。
- − 現場ハザードの性質(例えば,可燃性液体,貯蔵タンク,圧縮ガス)
- − 緊急事態の最も起こりやすい種類及び規模
- − 近接した施設(例えば,プラント,道路,鉄道)で緊急事態が発生する可能性
JIS Q 14001
緊急事態への対応方法
組織は、緊急事態を決定した後にその緊急事態への対応方法についても決定する必要があります。緊急事態への対応プロセスを決定する際には、以下のような項目を考慮することが望ましいです。
- 組織内外のコミュニケーションプロセス
- 環境影響を防止・緩和するために必要になる処置
- 緊急事態後の評価
- 緊急事態対応処置の定期的なテスト
- 緊急事態時に備えた教育訓練
要求事項内でも、以下のことが要求されています。
- a) 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって,対応を準備する。
- b) 顕在した緊急事態に対応する。
- c) 緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて,緊急事態による結果を防止又は緩和するための処置をとる。
- d) 実行可能な場合には,計画した対応処置を定期的にテストする。
- e) 定期的に,また特に緊急事態の発生後又はテストの後には,プロセス及び計画した対応処置をレビューし,改訂する。
- f) 必要に応じて,緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を,組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提供する。
以下では、注意点について解説していきます。
処置の計画について
緊急事態発生時の環境影響を緩和するために、予め緊急事態対応マニュアルのようなものを策定し、対応計画を明確にしておくことが求められます。また、この対応計画はテストを行い、それが計画どおりに実施できることを確信するに足る文書を残しておく必要があります。
テストの実行について
テストとは、避難訓練のようなものを想像してしまいがちですが、このテストの役割は組織が決定した対応プロセスが計画どおりに実施することができるかどうかの確認作業のような役割を持っています。ここがf項で求められる訓練とは異なるため、同一視しないように注意しておきましょう。また、e項にあるように、緊急事態の発生後には対応処置をレビューする必要が出てきます。また、一度発生した緊急事態に関しては、以降の緊急事態決定プロセスでは考慮する必要があるため、文書に残しておくことが望ましいでしょう。
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