ISO9001の継続的改善についてわかりやすく解説します
ISOのマネジメントシステムにおいて、「継続的改善」は非常に重要な概念の一つです。ISO9001においても、それは例外ではなく、この継続的改善を行うために様々な要求事項があるといっても過言ではありません。
では、ISO9001における継続的改善とはどのような概念なのでしょうか? 今一度整理していきたいと思います。
継続的改善とは
継続的改善とは、PDCAサイクルを回すことで実現することができるもので、絶え間なく計画と実行、検証、改善を繰り返すことで、品質(顧客満足) を向上させていくことができるという枠組みのようなものです。
ISO9001が要求する品質マネジメントシステムは、この継続的改善を行うことができることであることが最も重要です。なぜならマネジメントシステムとは今すぐに最高品質の製品やサービスを顧客に提供するためのツールではないからです。
マネジメントシステムとは、組織の仕組みです。この仕組をガラッと変えたからと言って、急に品質が向上することはありえるでしょうか?少し身近な例に置き換えると、野球のチームをリーグ優勝に導くために、チームの課題を分析、データを収集し、足りない部分を補う練習メニューを組み込む仕組みを構築したとします。――だからといって、すぐにリーグ優勝を目指すことができるわけではありませんよね? そのデータを収集し、課題点を改善する仕組みを長きにわたって運用していくことで、ようやくリーグ優勝という結果がついてくるはずです。
マネジメントシステムも、先程の野球の例でいうところの「課題を抽出、データを収集、足りない部分を補うメニューを実行し、検証していく」という組織運用の仕組みのことです。品質マネジメントシステムの優劣は、「すぐに結果を出せること」ではなく、「この先何十年もこの仕組みをつかって何らかしらの目標を達成することができるか」ということなのです。
このため、ISO9001を始めとするISOマネジメントシステム規格では、「現時点で品質が高いか」よりも「継続的に改善していくことが可能であるか」というものが重視されるのです。
全ての要求事項は継続的改善のために
ISO9001は、官公庁案件の入札加点の対象となったり、取引先からの外部要求だったりによって取得されることが多いマネジメントシステム規格という側面もありますから、「やらされ感」から抜け出せないままISO9001を運用している企業も多いかもしれません。
「なんでこんなものを文書化する必要があるのか」「こんな記録をつける意味あるのか」などという不満を持っている企業も多いかもしれませんね。――しかし、それはISO9001規格が要求するマネジメントシステムがどのようなものかを理解すれば、その文書や記録がどのような価値を持つものかが理解できるはずです。
例えばISO9001では、マネジメントレビューの実施が必要になります。そして、そのマネジメントレビューを行うためには、経営判断を下すための材料が必要になります。――その材料とはデータのことですが、計画し、実行し、検証した内容を正確に経営層に報告する必要があります。
適切にレビューを行うためには、そのデータが信頼できるものでなくてはいけません。このため、様々な活動に対して文書化することが要求されているのです。そして、計画の達成率がどれくらいかということを確認するためには、明確な目標が必要になります。――つまり品質目標が必要になるわけです。
このように、ISO9001規格が要求するものというのは、「品質に関する目標を掲げ、その目標を達成するための計画を実行し、その計画に効果があったかどうかを信頼できるデータを以て検証し、レビューを行い、うまく言っていない場合は改善を加える…」という一連の流れを合理的に実行していくために必要になるものなのです。
まとめ
今回は、ISO9001において最も重要な概念の一つである継続的改善について解説してきました。この考え方はどのISOマネジメントシステム規格にも共通するものであるため、しっかりと理解し、意識して有効なマネジメントシステムの構築・運用をしていきましょう。
ISOプロでは月額4万円から御社に合わせたISO運用を実施中
ISOプロではISO各種の認証取得から運用まで幅広くサポートしております。
また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に認証を取得しているお客様においてもご提案しております。
サポート料金においても新プランを用意し、業界最安級の月額4万円からご利用いただけます。
こんな方に読んでほしい