ISO9001の社内教育を効果的に行うポイントを解説

- 教育訓練には、OFF-JTとOJTがある
- 各従業員に求める力量を明らかにしたうえで、適切な教育訓練を行う必要がある
最近は、企業でさまざまな研修やセミナーが開かれており、社内メンバーで実施されるものから、外部の講師を招くものまでやり方も多種多様です。
どのような方法で行われるにしても一定の成果が得られることが前提となっており、「研修を受けた」だけでは価値のある教育訓練とはいえません。そのため、社内研修の意義や内容をよく理解したうえで教育訓練を実施し、出席する必要があります。
そこで、この記事ではISO9001の社内訓練の必要性や方法、効果的に行うポイントを解説します。
目次
ISO9001における社内教育の必要性
ISO9001における社内教育の必要性は、「品質マネジメントシステムをスムーズに運用すること」にあります。
いくら経営者がISO9001を取得し、品質マネジメントシステムを構築・運用しようとしても、社員の理想や認識とギャップがあると、期待した効果が得られない可能性が高まります。例えば、社内教育によりISO 規格を取得する意義や意味を理解することで、それまで規格取得に懐疑的だった人も、より納得のいく形でISO9001取得を前向きに捉えられるようになるのです。
また従業員が実務を行うにあたり、必要なノウハウや知識などが身についていなければ、品質マネジメントシステムの運用も滞る可能性があります。
こうした理由から、社内教育を行うことで品質マネジメントシステムのスムーズな運用につながるのです。

ISO9001における社内教育訓練とは
ISO9001における社内教育訓練は、「従業員に求められる力量を備えるための手段の一つ」として規定されています。やみくもに従業員のノウハウや知識を身につけるのではなく、実務ごとに求められる力量を管理したうえで、適切に教育訓練することが求められます。
社内訓練の方法は、OJT教育とOFF-JT教育に分類されます。
方法 | 内容 |
---|---|
OJT教育 | 職場で実務を行いながら行う教育訓練。新人教育の際に、業務全体の流れを把握するためなどに行われる。 |
Off-JT教育 | 職場を離れて、セミナーや研修を受けるなどして行う教育訓練。職務の高度な専門性を高めたり、新たな領域のノウハウや知識を身につけたりするためなどに行われる。 |
社内教育訓練を行うことで、品質マネジメントシステムを運用し、製品・サービスの提供におけるスキルや知識が身につけられます。
ISO9001で求められる力量とは
ISO9001の要求事項では、「7.2力量」にて求める力量について規定しています。
7.2力量
組織は,次の事項を行わなければならない。a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b)適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
c)該当する場合には,必ず,必要な力量を身につけるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
d)力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。注記適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。
引用:ISO9001:2015
この要求事項をまとめると、以下の内容に取り組むことが必要です。
- 品質マネジメントシステムの管理下で、パフォーマンスや有効性に影響を与える従業員に求められる職務能力を明確にする
- 働く従業員が、1を備えているかどうかを確認・評価する
- 働く従業員の力量が不足している場合、必要な職務能力を身につけるための教育訓練の機会を与える。もしくは、職務能力を備えた従業員を新たに雇用する
- 1~3を実施後に、取り組んだ内容を文書化して記録として保管する

ISO9001内部監査員を教育するセミナーとは
ISO9001における社内教育で忘れてはならないのが、内部監査員の教育です。ISO9001の運用をスムーズかつ効果的なものにするために、内部監査員の力量を向上させることは重要な要素の一つといえます。
ISO内部監査員とは、「内部監査を実施する社員から選任された監査員」のことです。
内部監査では、品質マネジメントシステムの有効性やISO9001の要求事項との適合性を確認します。適切にISO9001が運用されているかどうかを評価するために、内部監査は欠かせない工程です。
そして、内部監査員の力量によって内部監査の質は大きく左右されます。特にISO9001取得直後にはISOの運用がまだ浸透していないため、内部監査員もどのように仕事を進めていけばいいのか壁にぶつかることも少なくありません。
そこで、内部監査員を教育するセミナーを実施するもしくは参加する企業もあるでしょう。自社の内部監査員の力量が不足していると感じた場合には、セミナーへの参加を検討することもおすすめです。
ISO9001内部監査員セミナーの期間は内容によって異なりますが、1~2日間にわたって行われることが一般的です。またセミナー受講前にきちんと予習できるようにネット上での事前学習が設けられていますので、セミナーへの準備を十分に行えます。
さらに、本番さながらの内部監査を実演形式で行うセミナーもあるため、内部監査員たちにとって貴重な体験の場となることは間違いありません。
セミナー受講に必要なフォロー
短時間で詰め込まれるセミナーでありがちなのが、受講後に内容をしっかり自分に落とし込むことができないという状況です。そうした結果にならないように、受講後のフォローやネット上で復習できるテストが準備されているセミナーもあります。
受講前から受講後まで徹底したフォローをしてくれるので、内部監査員たちは自信をもって自分たちの仕事に従事できるように訓練されるはずです。
ISO9001をしっかりと運用していけるかどうかが重要であり、取得した時点で満足していては企業の向上にはつながりません。そのため、こうしたアフターフォローのしっかりしたセミナーは企業にとって参考になるでしょう。
ISO9001の社内教育を行うポイント
ISO9001の社内教育を効果的に行うポイントには、「PDCAサイクルで継続的に社内教育に取り組むこと」が挙げられます。
というのも、一度行った社内訓練が「本当に効果的であったのかどうか」や「対象者が職務能力を身につけられたかどうか」を評価しなければ、実施した社内訓練の価値は見えてこないためです。
社内訓練自体に問題点や課題がある場合には、訓練内容や方法を改善することが必要です。また対象者が職務能力を身につけられていない場合には、再度教育訓練を行うことが求められます。
社内教育自体をPDCAサイクルで改善していくことで、より質の高い教育訓練を実施できます。

まとめ
この記事では、ISO9001における社内教育の必要性や方法、求められる力量、効果的な教育訓練のポイントを解説しました。
ISO9001の要求事項を満たす社内教育を実施するには、まず従業員に求められる職務能力を明確にしたのち、適切な方法で教育訓練を行うことが必要です。
また社内教育においては内部監査員の力量についても確認しましょう。内部監査員の力量を高めることで、品質マネジメントシステムの運用がより効果的に進行できる可能性があります。
「自社の社内教育に悩んでいる」「より効果的な社内教育の方法が知りたい」などの不明点や不安があれば、プロのISOコンサルタントに依頼することもおすすめです。

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