マネジメントシステムとは? 第4講座~ISO9000シリーズ1994年版と2000年版の方法論~

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ISO9000シリーズ1994年版のISO9001規格

1994年版の、例えば4.1.3マネジメントレビューの項には

「執行責任をもつ供給側の経営者は、この国際規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために、品質システムが引き続き適切、かつ、効果的に運営されることを確実にするのに十分な、あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行なうこと。この見直しの記録は維持すること。 4.1.3マネジメントレビュー

とありました。「供給側」とは現規格の「組織」のことです。

これが2000年版では、5.5マネジメントレビュー5.6.1『一般』の項では以下のようになります。

「トップマネジメントは、組織の品質マネジメントシステムが、引き続き適切で、妥当で、有効であることを確実にするために、予め定められた間隔で品質マネジメントシステムをレビューすること。このレビューでは、品質マネジメントシステムの改善の機会の評価、品質方針及び品質目標を含む品質マネジメントシステムの変更の必要性を評価も行なうこと。マネジメントレビューの結果の記録は維持すること。」 5.5マネジメントレビュー

基本的な内容はあまり変わっていないように見えますが、誰が実施するかについては「執行責任をもつ供給側の経営者」が「トップマネジメント」に限定され、また要求事項が強化され、適切、かつ、効果的に運営されることを確実にするのに十分なとしか記述がなかったのに代って、適切で、妥当で、有効であることを確実にするために、システムの改善の機会の評価、システムの変更の必要性を評価と「改善」と「変更」が明示されて、さらに具体的にその実施に当たっては、5.6.2マネジメントレビューへのインプット及び、5.6.3マネジメントレビューからのアウトプットが新規要求事項として明示されています。

改訂2000年版の真の意図

1994年版では、品質システムは経営層から見ると運営されているものであり、マネジメントレビューは高みからそれをチェックするものでありましたが、2000年版では、品質マネジメントシステムが引き続き適切で、妥当で、有効であることを確実にする責任はトップ自らにあり、マネジメントレビューはそのために実施するものであることが明確に要求されるという改訂です。

1994年版は経営者の責任の比重が要求として低かったといえます。マネジメントレビューは「経営層による品質システム診断」ではあるが「経営者の責任」という意識が薄かったということです。品質システムに対する経営者の立ち位置が、本質的に違うのです。これは品質保証システムをマネジメントシステムに改訂した大きな意図を表わしています。

2015年版の改訂では、「更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするために」と経営戦略性が強化されました。

品質管理の手法QC

一方で工場生産の現場での品質は、品質管理の手法、つまりQC手法が開発され、QC工程表、QCの7つ道具(パレート図、特殊要因図、チェックシート、ヒストグラム、管理図、グラフ、散布図)が普及していました。さらに新7つ道具(親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイヤグラム法、マトリックス・データ解析法)なる、言語データを整理し、図にまとめることによって問題を解決する方法も開発され使われてきました。

またQCのためのグループ活動も盛んで、現場の改善提案を奨励する改善提案制度もかなりの製造工場で採用されていました。その頃はISO9000シリーズよりもQC手法を核とするTQC(Total Quality Control)の方が、改善が進むとすら考えられていました。

規格から外された品質保証

「品質保証システム」は物に偏りすぎ、ここに重心を置きすぎると組織の存続に危機を来たす恐れがあることが分かりました。それが品質保証システムからマネジメントシステムへ変わった大きな理由のひとつですが、あえて「品質保証」という概念を規格から外しているのです。

1987年、EC統合が進められて行く過程で、品質保証を目的とした規格が取りまとめられました。この規格は、EC内で流通するであろう製品の品質を保証するシステムとして構想されました。その段階では、対象とする製品は品物という「物」が主でした。

しかし物そのものの質を保証するのではなく、適用する組織自らを「供給側」と呼び、製造し供給する「物」の品質を、それを作る「供給側」の仕組みで担保して保証するための規格として考えられたものでした。

その第二版の1994年版も、「物」を供給しないサービス業や、また同じ造るでも製造とはかなり違う建設が適合しようとすると、実態をどう合わせたらよいのか困惑するような要求事項がありました。「物」を作る規格ではなく、「仕組み」の規格ではあるのですが、GMPの発展形の「工場で物を作る仕組み」の規格という性格が色濃かったのです。その仕組みで製品の品質を保証しようとしたのです。その品質保証を規格から外しました。2000年版は「品質保証」という用語を規格からあえて消し去ったのです。

審査では画一化を求めない

ISO9000でマネジメントの定義は3.2.6に「マネジメント、運営管理、運用管理(management) 組織を指揮し、管理するための調整された活動」とあります。これはまさに事業を遂行する「経営」のための活動ですが、経営よりも細部で末端の管理活動まで含むところが違います。だから経営者を「トップマネジメント」と呼ぶわけです。

以前の講座で整理した経営課題は、このトップマネジメントから見た課題です。自らの管理活動は一部になりますが、マネジメントは全てに及びます。だから会計・経理を除くほぼ全ての経営課題を、組織運営の方法論として網羅しているのです。

2015年版では、4.組織の状況で意図した結果達成のための組織能力の経営課題の明確化と、5.リーダーシップと9.3マネジメントレビューにおいて、トップマネジメントへの要求事項を示していますが、戦略的な経営の方法論であることが、さらに明確になりました。つまりマネジメントシステムとは、トップマネジメントの定める組織の目的や経営方針の実現のための、細部末端に至るマネジメント=調整された経営戦略的な管理活動のシステムということです。

方法論であるので、監査は実態がその方法論を効果的に使っているかという視点で見なければなりません。方法論は画一化された形として、組織の活動を測る道具にしてはいけないのです。審査で画一化を求めてはいけない理由です。

次講座では社会システムとしてのマネジメントシステムと目標の設定について論考します。

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