• 有効性評価とは、PDCAサイクルのCheck(評価)にあたる部分
  • 認証取得を要するすべてのISO規格要求事項に含まれている
  • 有効性評価により、計画どおりの結果が出ているかどうかを判断できる

有効性評価とは、活動や施策の結果どのような効果が出ているのかを評価することです。ISO 規格 においても要求事項に含まれており、ISO マネジメントシステム 規格の取得の際に重要な、内部監査マネジメントレビューで有効性評価を行う必要があります。

しかし、そもそも有効性評価の解像度が低い、あるいはどのように実施すべきかわからないという担当者も多いはずです。そこで、この記事ではISO規格における有効性評価やよく混同されるパフォーマンス評価との違いについて解説します。

有効性評価とは

有効性評価とは、「計画を立てて取り組んだ取り組みが、計画したとおりの結果をどの程度達成したかを評価すること」です。
企業において何らかの活動を行う際には、計画を立てて、その活動を行うことによる目標や期待値を設定することが求められます。有効性評価により、目標や期待値どおりの効果が得られたかどうかを確認できるのです。

また有効性評価の実施は、組織の運営を継続的に成長させるうえで非常に重要です。
例えば、業務プロセスやシステムの有効性評価を行うことで、非効率的な部分やムダな工程が明らかになり、業務効率化やリソースの最適化につながります。

有効性評価は、以下のような事業活動のために実施します。

  • 経営層の意思決定のための判断材料にするため
  • 事業に関する法律・規制に準拠した運用ができているかを確認するため
  • 業務プロセスを改善もしくは効率化するため
  • リスクマネジメントを強化するため
  • 顧客満足度の向上のために、顧客のニーズに応えているかどうかを測定するため
  • 従業員の教育訓練におけるスキルアップの成果を確認するため
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ISO規格で求められる有効性評価

ISO規格においても事業活動と同様に、目標や期待値を設定したうえでマネジメントシステムを運用し、計画どおりの効果があったのかどうかを評価します。

ただし、ISO規格においては有効性評価を行うタイミングや枠組みが定義されているため、確実に行うことが求められています。

そこで、ここではISO規格における有効性評価について解説します。

有効性評価を行うタイミング

有効性評価を行うタイミングは、マネジメントシステムを構築・運用し、その結果を評価する段階です。

ISOの要求事項においては有効性評価の項番に当てはまるのは「9.パフォーマンス評価」の部分であり、具体的には内部監査・マネジメントレビューで行うことが求められています。つまり、PDCAサイクルのCheck(評価・確認)に該当する部分で、有効性評価を行うことが必要です。

各ISO規格における有効性評価の例

ここでは、各ISO規格における有効性評価の例をまとめました。

ISO9001(品質マネジメントシステム)

提供している製品における顧客満足度や製品の品質、生産の効率性を指標とし、それぞれの有効性を評価します。

ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)

組織の情報資産に潜むリスクアセスメントや情報セキュリティポリシーの実施などにおける有効性を評価します。

ISO14001(環境マネジメントシステム)

環境関連の法的・規制要件の順守や自社で設定した環境方針環境目標の達成状況などにおける有効性を評価します。

ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)

職場における事故などのリスクアセスメントや労働安全に関する法的・規制要件を順守した職場づくりなどに対する有効性を評価します。

評価後に行う是正処置とは

有効性評価により「その取り組みは成果につながっておらず、有効ではない」と判断された場合には、是正処置の実施が必要になります。

是正処置とは、「問題が発生した場合や改善点を発見した場合、根本的な原因を特定し、取り除くための処置」のことです。
例えば、有効性評価によって以下のような課題が見つかった場合には、是正処置が必要になります。

  • 計画時に立てた目標や期待値に達しなかった場合
  • 製品・サービス、業務プロセスが要求事項や法的・規制要件などに適合していない場合
  • 製品・サービスの効率性や品質に改善が必要な場合
  • 新たなリスクが発見された場合

是正処置は、問題点や改善点が表面化した部分への対策ではなく、根本的な原因を特定することが重要です。わかりやすくいうと「倒れた棚を元の位置に戻すこと」はただの処置であり、「棚が倒れた原因を特定し、また棚が倒れないように対処すること」が是正処置です。

是正処置を実施したあとは、再度有効性評価を行い、問題点や課題点が解決されたかの確認や再発しないかどうかを検証します。

有効性評価とパフォーマンス評価の違い

ここでは、ISO規格において実施することが求められている「有効性評価」と「パフォーマンス評価」の違いについて解説します。

両者はよく似ているため混同してしまう方もいるかもしれませんが、それぞれの概念や目的の違いを理解したうえで、実施しましょう。

パフォーマンス評価とは

パフォーマンス評価とは、「予め計画された企業の活動によって、日常的に発生しているパフォーマンスを監視・測定し、その結果を分析・評価すること」です。

パフォーマンス評価を行うためには、まず以下の4つについて決定します。

  • 監査・測定を行う対象
  • 適切な監査・測定・分析・評価の方法
  • 監査・測定の実施時期
  • 監査・測定の結果の、分析・評価の実施時期

例えば、「品質目標の進捗状況を対象に、毎日監査・測定を実施し、四半期に一度マネジメントレビューを含む検討会議を実施する」といった具合にパフォーマンス評価を実施します。

パフォーマンス評価は、ISO規格の要求事項「9.パフォーマンス評価」で有効性評価とともに行うことが求められています。マネジメントシステムの運用によって発生しているパフォーマンスについて評価することで、継続的な改善の実現を目指します。

有効性評価との違い

パフォーマンス評価と有効性評価の主な違いを以下にまとめました。

異なる点有効性評価パフォーマンス評価
目的目標や目的がどの程度達成されたかを評価すること事前に定めた評価基準をもとに、活動を評価すること
評価基準組織の戦略的な目的・目標に対する達成度具体的な指標を評価基準として設ける、例えば以下のような基準
  • 作業の効率性
  • 顧客満足の達成度合い
  • コスト管理
活用方法活動における改善策の立案、戦略の再評価に活用されることが多いプロセス改善、リソース調整、業務の最適化などに活用されることが多い

例えば、製品Aの製造プロセスで「不適合製品率を0.5%以下にすること」を目標とした場合におけるパフォーマンス評価と有効性評価について考えてみましょう。

結果が0.4%以下結果が0.5%以上
有効性評価製造プロセスは機能しており、適合と判断する。不適合と判断する。さらに、この結果になった原因を特定する必要がある。
パフォーマンス評価達成理由を追求して関連する指標を確認する。達成理由を追求した結果、上位の重点課題等の問題解決を脅かす傾向が認められる場合は、プロセス改善の提案をする。不適合と判断する。さらに、この結果になった原因を特定する必要がある。
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まとめ

この記事では、ISO規格における有効性評価について解説しました。

ISO規格の要求事項では、有効性評価はパフォーマンス評価とともに実施することが求められており、一般的にはマネジメントシステムの運用後の内部監査・マネジメントレビューの際に行います。有効性評価を行うことで、これまで取り組んできた活動が、目標に対してどの程度成果につながったかを確認できます。

自社で行う有効性評価が適切かどうか不安な場合には、ISOコンサルに相談することがおすすめです。

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