今回は「4.3 品質 マネジメントシステム適用範囲の決定」についての解説です。

ISO 9001:2015規格 では、品質マネジメントシステムの適用範囲について「4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」で記載されていますが、ISO9001 :2008では、下記「■ISO9001:2008「適用範囲」に関する要求事項」に示すように、「1.適用範囲」で記載されている規定内容が「2015年版」では箇条4.3と箇条1の2箇所で別々に記載されています。「1.適用範囲」についても4.3と合わせて理解する必要があります。

≪変更内容≫

  • ・2008:「1.1一般」⇒2015:「1.適用範囲」
  • ・2008:「1.2適用」⇒2015:「4.3. 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」

■ISO9001:2008「適用範囲」に関する要求事項

1適用範囲
  1.1一般
この規格は,次の二つの事項に該当する組織に対して,品質マネジメントシステムに関する要求事項について規定する。
            :
           (省略)

1.2適用
この規格の要求事項は,はん(汎)用性があり,業種及び形態,規模,並びに提供する製品を問わず,あらゆる組織に適用できることを意図している。組織及びその製品の性質によって,この規格の要求事項のいずれかが適用不可能な場合には,その要求事項の除外を考慮することができる。このような除外を行う場合には,除外できる要求事項は箇条 7 に規定する要求事項に限定される。除外を行うことが,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項 を満たす製品を提供するという組織の能力又は責任に何らかの影響を及ぼすものであるならば,この規格への適合の宣言は受け入れられない。
【出典】JIS Q9001:2008 (1.2 適用)

以降、ISO9001:2015の要求事項に沿って規定内容について解説します。

【ISO9001:2015要求事項】

適用範囲

この規格は,次の場合の品質マネジメントシステムに関する要求事項について規定する。

a)組織が,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する能力をもつことを実証する必要がある場合。

【解説】組織(あるいは適用範囲となる部署等)が、品質管理マネジメントシステムの導入及び運用が形式的なものであってはならない。品質保証において顧客や法令・規制要求事項を満足する製品・サービスを一貫して提供できるよう、顧客の要求/期待を社員間で共有、顧客満足度の監視・その結果が良好であること等、実証しなければなりません。

b)組織が,品質マネジメントシステムの改善のプロセスを含むシステムの効果的な適用,並びに顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して,顧客満足の向上を目指す場合。この規格の要求事項は,汎用性があり,業種・形態,規模,又は提供する製品及びサービスを問わず,あらゆる組織に適用できることを意図している。

注記 1 この規格の 製品 又は サービス という用語は,顧客向けに意図した製品及びサービス,又は顧客に要求された製品及びサービスに限定して用いる。
注記 2 法令・規制要求事項は,法的要求事項と表現することもある。
注記 3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。ISO 9001:2015,Quality management systems−Requirements(IDT)なお,対応の程度を表す記号IDTは,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき, 一致していることを示す。

【解説】組織(あるいは適用範囲となる部署等)は、品質マネジメントシステムの運用結果をプロセスに反映(継続的改善)すること。また、顧客要求や法令・規制要求事項に適合する製品・サービスを提供し、顧客満足の向上を図らなければならない。顧客満足度を適切に評価するための評価方法を決定して評価基準を作成し、顧客満足度の達成基準(目標)を具体的に表現することが重要です。

組織の状況

4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
組織は品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性を決定するために、次の事項を考慮しなければならない。
この適用範囲を決定するときは、組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a) 4.1に規定する外部及び内部の課題

【解説】組織の品質マネジメントシステム運用目的や戦略的な方向性に関連し、期待した結果を達成する組織の能力に影響を与える様々な内部・外部の課題を明確にしなければなりません。

b) 4.2に規定する、密接に関連する利害関係者の要求事項
c) 組織の製品及びサービス

【解説】「b) 4.2に規定する、密接に関連する利害関係者」及び「c) 組織の製品及びサービス」とは、組織自らが品質マネジメントシステムに密接に関連すると決定した利害関係者や、品質マネジメントシステムの適用対象と決定した製品及びサービスに対してのみ、規格要求事項を考慮しなければならないというものです。

決定された品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用できる場合には、組織はこれらを全て適用しなければならない。

【解説】組織は、適用範囲となる製品及びサービスを決定し、適用範囲内において規格要求事項は全て適用する必要があります。

組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として利用可能な状態にし、維持しなければならない。適用範囲では、対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し、組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の全ての要求事項について、その正当性を示さなければならない。

【解説】適用範囲では、「組織が適用不可能」と決定した場合、組織の課題や顧客要求・利害関係者のニーズや期待も考慮し、適用除外とした製品及びサービスの妥当性、つまり規格要求事項の適用不可能と判断した理由について明確にする必要があります。組織にとつての課題(弱み)は、組織の品質マネジメントシステムに対するリスク及び機会をもたらし得るため、課題を明確にして品質マネジメントシステムに反映し、継続的改善を実施することが重要です。

適用不可能と決定した要求事項が、組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限り、この規格への適合を表明してよい。

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