【HACCP対応施設 第1講座】HACCP対応の食品製造施設の条件とは?

投稿日:

ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年08月02日

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HACCP対応の食品製造施設

この講座はHACCP対応の食品製造施設の設計と運営について、まずは食品製造施設のPRPsをFSSC要求事項ISO/TS22002-1「食品製造」に沿ってその条件と事例を説明して、HACCP対応の施設について論考するものです。これはHACCP対応の施設の最も厳しいレベルであり、製品の特性によってはクリアする必要がない項目もあり、また製造方法によっては該当しない項目もあります。

腐敗しにくい製品、乾いている製品、作ってから消費まで短時間の製品、原材料となる中間製品、洗浄力や殺菌力が特性としてある製品、などは比較的厳しさは緩やかになります。逆に腐敗し易い製品、湿っている製品、製造から消費まで長い流通経路があり最終製品として消費者に直接届く製品、洗浄力や殺菌力は特性としてない製品、などは比較的厳しくなります。

建物の構造と配置

まずHACCP対応の建物の構造と配置ですが施設は、製造する製品に相応しい建物を設計・建設し、保守ができ、耐久性のある構造にしなければなりません。
そしてそのHACCP対応の施設のための環境は、その場所の潜在的な汚染源を考慮し、製品に危険物質が入ることがないようにして、その保護の手段の有効性を定期的にレビューします。

具体的には、敷地が過去にどのように使われて、その時期に土壌汚染などがなかったか、また周辺の施設や土地利用状況が、どのような潜在的汚染源をもたらしうるか、といった立地による影響を調査し、明らかになった潜在的な汚染源の影響を、極力抑えることをしなければならないということです。近隣に農場があれば、農薬散布の状況を知らせてもらうようにお願いをし、その折には農薬のドリフがないような対策を講じます。

施設の所在地は、敷地の境界を明確にし、そこへのアクセスを管理し、植栽は手入れをするか撤去して、道、構内、駐車場は水溜りを防ぎ、保守をします。つまり、敷地は境界にフェンスなどを設けて、門扉は閉じられ、そこには門衛を配置するか、ビュアー付きインタフォンにより来場者を確認してから門扉を開くなどの構えを構築します。最低でも、ビデオカメラによる来場者の映像と記名・出入時刻の記録を保持します。

周辺の樹木は建屋から距離があり、定期的に剪定をし、敷地内の道及び駐車場は水捌けのよいアスファルト舗装をし、舗装は亀裂や陥没、剥げを保守管理します。

施設及び作業区域の配置

施設及び作業区域の配置は、材料、製品、人の動線を確保し、装置は良い衛生状態を保てるようにします。ワンウエイが理想ですが材料・製品・従業員が合理的に流れるような造りとレイアウトにし、原料を加工区域から物理的に隔離できるように十分な空間を取ります。材料や包材の搬入のための開放は、異物・有害生物の侵入を最小限になるようにします。

つまり材料・製品・従業員の動線はワンウエイが理想的とはいえ、それはなかなか無理なのでできるだけ整然と流れるレイアウトと造りにし、作業区域に原材料などを保管することはなく、入場または搬入時に、外の扉と内の扉が同時に開放されるようなことがないような構造にします。

内部の設計、配置及び動線

内部の設計、配置及び動線については、まず加工区域の壁・床は不浸透性の素材によって清掃・洗浄が可能であること、床と壁の接合部分及び隅(角)は清掃・洗浄が容易であること、床と壁の接合部分及び隅(角)は窓枠の下部も含めて、埃が溜まりにくく清掃し易いようにアールを付けることが推奨されています。

そして床は水溜まりを避け、水洗浄を実施するウェットな加工区域は漏れ止め・排水をすること、天井と頭上のダクトなどの設備は埃・結露の蓄積がないようにすること、外窓、屋根の換気孔、換気扇には捕虫網を付け、外窓は閉めるあるいは仕切る、または無窓にします。

装置の配置

装置の配置は、モニタリングが容易で、作業、清掃・洗浄をし易くします。モニタリングや作業、そして清掃・洗浄が容易にできるとは、例えば装置と壁との間を人が楽に出入りできる幅にすることです。
試験室や試験設備はリスクを管理し、細菌試験室は製造区域に直接通じない造りとします。細菌試験室は製造区域とは区切られた別の場所に設置し、製造区域を一旦出場しないと試験室には入れない造りにすることです。
一時的に移動可能な設備及びベンディングマシンなどは有害生物の棲みかにならないように、また製品汚染を避けられるように、そのハザードは管理します。つまり一時的に設置した設備やベンディングマシンなどの下側や壁側とかが有害生物の棲みかにならないように、さらに製品の汚染に繋がらないように、ハザードを管理するということです。

食品、包装資材、材料及び非化学物質の保管については、それらの保管設備は、埃・結露・排水・廃棄物などの汚染から保護できて、その保管区域は乾燥し換気が良く、原料・中間製品・最終製品をそれぞれ隔離し、材料・製品は床に直置きすることなく、床から離し、隙間を確保し、保管区域は清掃・洗浄をします。つまり食品、包装資材、材料及び非化学物質は、埃・結露・排水・廃棄物などの汚染から保護できる設備に保管し、その場所は乾燥していて換気が良く、また原料・中間製品・最終製品はそれぞれを別の保管区域とし、材料・製品は床に直接置くことは絶対に避け、全ての保管品の壁からあるいは保管品相互の間隔を一定距離に確保し、保管区域は清掃し、必要なら洗浄するということです。
清掃・洗浄剤や化学薬剤、他の危険物は、別の鍵が掛かるなど安全な場所を保管場所とします。鍵のかかった部屋やロッカーにそれぞれ保管するということです。

最近は、酸性還元水の次亜塩素酸や食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムの、ウイルスも99.9%死滅できる洗浄剤・殺菌剤が販売されており、これらの50PPMや100PPMなど希釈液を、用途に応じて手洗い、材料洗浄、生保存、拭き掃除、落下菌対策、マスクなどに、効果的に活用することも有効な方法です。また、アルカリ性還元水を調理や製造の後の清掃・洗浄に活用することも有効です。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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