ISOのマネジメントシステム規格における「意図した成果」について
ISO のマネジメントシステム規格 では、「マネジメントシステムの意図した成果」というフレーズが出てきます。有効なマネジメントシステムを構築するにあたっては、この意図した成果は非常に重要な役割を果たします。
では、マネジメントシステムの意図した成果とは一体どのようなものなのでしょうか?今回は、マネジメントシステムの意図した成果について解説していきたいと思います。
マネジメントシステムの意図した成果とは
マネジメントシステムの意図した成果とは、そのマネジメントシステムを活用することで、組織が得たいと考える結果のことです。つまり、そのマネジメントシステムを構築し、運用する目的のことです。
ISOのマネジメントシステムは、規格そのものの価値より第三者認証 であるという点に惹かれて興味を持つ組織も多いと思います。しかし、その認証を利用するためだけにマネジメントシステムを構築することは、非常に危険です。これは、以前の記事でも触れています。
例えばISO9001 の場合、「ISO9001の認証を活用して取引先を増やしたい」という目的でマネジメントシステムを構築してしまっては、そのマネジメントシステムの根幹部分が抜け落ちてしまいます。――どういうことかというと、「顧客満足の向上」や、「品質 の向上」、「情報セキュリティ水準を高めて顧客からの信頼を得る」といった、マネジメントシステムが本来意図すべき成果というものを明確にする必要があるということです。
意図した成果が明確でないと何が起こるのか?
マネジメントシステムの意図した成果が明確でなければ、どのようなことが発生するのでしょうか?
まず、マネジメントシステムの意図した成果がなければ、組織の課題というものを抽出できなくなります。――なぜなら、課題というものは目指すべきゴールがなければ曖昧なものになってしまうためです。課題とは、目標があって初めて生まれるもので、その目標を達成するための障壁となるもののことです。そして、この課題が明確にならなければ、組織は「何のためにマネジメントシステムを運用するのか」が分からなくなってしまいます。
そうなると、マネジメントシステムはただの「業務の邪魔」にしかならなくなってしまうのです。
ISOのマネジメントシステム規格は、様々な要求事項がありますが、その要求事項の全てはマネジメントシステムの意図した成果を得るために継続的改善を促すために必要になるものです。ISO規格のマネジメントシステムの要求事項というものは、全て継続的改善につなげ、組織がマネジメントシステムの意図した成果を達成するためにあるものなのです。
つまり意図した成果が明確でなければマネジメントシステムは行き場を失い、ただの認証のためにクリアしなければならない業務を増やす「重いISO」となってしまうのです。
意図した成果を軽んじてはならない
ISOのマネジメントシステム規格というのは、非常に綿密に構築された規格であり、有効なマネジメントシステムを構築する上で役立つものです。――しかし、そのマネジメントシステムを構築する初期段階で「マネジメントシステムの意図した成果」や「方針」「目標」を適当に決定してしまうと、あとになって痛い目を見ることになってしまいます。
マネジメントシステムにおいて意図した成果や方針、目標は家造りに例えると設計図、骨格、支柱のようなものです。立ててしまってから「設計図が間違っていた」ということに気づいても、なかなか変更することができないものなのです。家を立てる前に、「どんな家にするのか」「どのような用途でその家は使われるのか」「どのようにすれば住みやすいか」ということを考えることは当然のように行いますよね? マネジメントシステムの構築においても、それは同じなのです。
まとめ
今回は、マネジメントシステムの意図した成果とはどのようなものなのかということについて解説してきました。マネジメントシステムはただ存在するだけでは意味がありません。せっかく色々な要求事項を満たして構築したマネジメントシステムですから、『仏作って魂入れず』な状態ではなく、魂の入ったマネジメントシステムを運用するように心がけましょう。
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