ISOのパフォーマンス評価と監査 第4講座~パフォーマンス評価の進め方~

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パフォーマンス評価のための監査

対象プロセスの固有知・固有技術及び管理技術について判断をすることが、パフォーマンス評価のための監査を進めるためには必要です。

固有知・固有技術の視点からは、設計のインプットは適切か、設計図面の作図方法は適切か、設計の妥当性確認は製品特性・市場ニーズを考慮しているか、加工条件の設定方法は適切か、生産計画書の管理項目の設定は適切か、作業者の力量基準の設定は業務内容と合致しているか、検査項目の設定は製品特性を考慮しているか、といった判断が求められ、パフォーマンス評価につながります。

また管理技術の視点からは、プロセスに必要な要素が組み込まれているか、プロセスの監視・測定方法は効果的で効率的か、QCの7つ道具などの改善手法を活用しているか、統計的手法の使い方は適切か、どのようにPDCAを回しているか、といった判断が求められ、パフォーマンス評価につながります。

QMSのパフォーマンス評価の例

一般的なQMS監査での評価の例は、例えば品質方針に製造品質の向上が掲げられており、全社品質目標が不適合品率0.5%以下となっており、それを達成するための施策が策定され、マニュアル通りに実行されており、不適合品率は0.4%であった場合は、適合と判断します。

しかし、パフォーマンス評価のためのQMS監査では、品質方針に製造品質の向上が掲げられており、品質目標が品質不適合率0.5%以下となっており、それを達成するための方策が策定され、決められた通りに実施されており、不適合品率は0.4%であったとします。この場合、どのような活動がこのように目標の達成結果を生みだしたのかをトレースして確認し、例えば新製品の生産が遅れていたことが原因であると分かったとすると、今後、新製品の生産開始にあたっては品質問題が発生しないようにFMEAを行った方が良いと提言をします。

パフォーマンス評価の進め方手順

  1. 監査対象プロセスの業務の主な手順についてフローに沿って、質問をしながら被監査者に説明をしてもらう。
  2. 個々の業務の中で監視又は測定している仕事の結果を記録で確認する。
  3. 個々の業務のアウトプットが意図した結果に適切であるかを検査記録などから確認する。
  4. 業務のアウトプットが望ましい状態(目標達成、期待どおりの結果)になっていない時はもちろん、なっていたとしても、プロセスに問題はないかを深掘り質問をして確認する。
  5. その業務プロセスに問題がない場合でも、他のプロセスとの相互関係に問題がある可能性もあるので、監査対象と関連するプロセスの影響及びインターフェイスを確認する。
  6. 問題を検出した場合には、それがプロセスのアウトプットにどのような影響を与えているのかを確認し、不適合・観察事項の指摘又は改善の提言を行う。
  7. 改善の提言では、現在行っている業務のアウトプットがさらに良くなる理由、又は作業の方法を工夫すればもっと効果的である、又は効率的になる根拠を明確にする。
  8. 他部門への水平展開が可能な良い実施事例は、推奨事項として明確に告示する。

パフォーマンス評価のための監査での質問力

パフォーマンス評価のための監査には質問をする力が必要とされます。質問力を身につけるためには、監査の場で起こった事実に疑問を持ち、より質問を深めることが大切です。パフォーマンス評価のための監査での、事実⇒疑問⇒質問の事例です。

事実1:A工程からの中間製品を自己チェックした記録(チェックシート)を1週間分確認したところ、月曜日と水曜日のチェックシートに測定データの記録の記載がなく、火曜日と木曜日の測定したデータの桁数が違っていた。

⇒疑問:記録作成の意義を理解していない又は教育していないのではないか。プロセスの監視は行われていたか。

⇒質問:記録の記載漏れによって製品にどのような影響を与えると考えますか。作業者への教育・訓練はどのように行っていますか。製造プロセスの監視はどのように行われていますか。

事実2:今年度のクレーム件数の目標は、前年度比50%低減の3件以内となっていたが、期の半ばですでに3件であった。

⇒疑問:昨年度のクレームへの適切な処置は行われたのか。データ分析の実行はされていたか。クレームの原因への是正は行われているか。目標を達成するための意識が低いのではないか。

⇒質問:年度末までに目標達成の可否についての見込みを説明してください。今年度の目標を達成させるたために、計画をどのように立てたか教えてください。

事実3:新製品Aの設計検証は5月5日に行う予定であったが、5月20日に行われていた。

⇒疑問:設計プロセスの進捗状況のチェックは行われていたか。計画を立てる際に、設計内容を考慮して組んでいたか。

⇒質問:予定が15日遅れていますが、納期に問題はないのはなぜかを教えてください。どのように遅れた分を取り返すかを説明してください。設計の難易度と計画の関係について教えてください。

事実4:前回の不適合是正の記録を確認したところ、根本原因が特定されていなかった。

⇒疑問:原因はどのように検討されたか。是正処置有効性評価は行われたのか。是正処置についての教育・訓練の有効性評価は行われたか。

⇒質問:原因特定を行った方法を教えてください。再発防止策の有効性の評価をどのように行ったのかを説明してください。是正処置についての教育・訓練はどのように行っていますか。

事実5:検査結果のデータ分析を行うことになっており、月ごとの不良品数が一応グラフ化されていた。

⇒疑問:統計的手法は活用されているのか。分析者の能力は不足していないか。プロセスの能力を評価しているか。ばらつき管理を理解しているか。管理グラフの活用は行われているか。

⇒質問:このグラフからどのような問題が検出できているのかを教えてください。工程管理はどのような方法を採用しているのか説明してください。

5W1Hの特に「HOWどのように」「WHYなぜ」と「説明して」「教えて」をキーワードして、監査対象の部署から詳しく話を聞き、疑問点を明確にして、実態をあぶりだす質問力です。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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