ISOのパフォーマンス評価と監査 第1講座~監査の目的と監査の基礎技術~
この講座は、当社が継続支援で提供する内部監査について、その考え方と内容を紹介し、マネジメントシステム の パフォーマンス評価 につながる内部監査とは、どういったものかを知っていただくものです。
監査の目的a)
監査の目的は、ISO 9001:2015規格の9.2内部監査の節に明記されています。
組織は,マネジメントシステムが次の状況にあるか否かの情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。
a) 次の事項に適合している。
- マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求事項
- 当該規格の要求事項
【出典】JIS Q9001:2015(9.2 内部監査)
この項は、要求事項 を満たしつつその通りに実行されているかという観点で、マネジメントシステムを設計するために必要となる要求事項を基に構築した要素について、内部監査を行うことが監査の目的であるということを示しています。プロセスの運用を支援するための文書化された情報=基本の文書は、“組織自体が規定した要求事項と当該規格の要求事項”を明確にしたものに相当します。
監査の目的b)
さらにもうひとつの監査の目的、「b) 有効に実施され,維持されている。」かの情報の提供も監査の目的にしなければならないということです。
規格には、組織が置かれた状況と利害関係者 のニーズ及び期待の理解に基づき、基本の文書に規定されたシステムの運用によって得られる、計画通りの結果を仕組みがあり、リスク及び機会への取り組みもあり、その通りに実施し、パフォーマンス及び有効性を評価し、問題がある場合には改善を行っているということであります。したがって、“有効に実施され,維持されている”ということを確認するとは、このようなあるべき姿を想定して監査の目的を決め、監査を行う必要があるということです。
有効性監査からパフォーマンス評価へとは、このあるべき姿で求められる監査の流れなのです。
6つの監査の基礎技術
そのような監査に至るには、まずは監査の基礎技術を習得し、磨きをかける必要があります。監査の基礎技術とは、
- a) 観察の技術(事実を的確に把握する)⇒ありのままの活動と現場の状況や、アウトプットに着目し、着眼点にマークをつけて観察する。
- b) サンプリングの技術(母集団の代表となるものを選ぶ)⇒偏りがないように代表となるサンプルを抽出する。すべてを確認する必要はない。
- c) 質問の技術(when、where、who、what、how、whyのどれかで) ⇒実態を把握するために問題意識をもって質問を準備し、多くの情報を引き出す質問をする。
- d) 記録の技術(相手の発言や情報源、相手の状態を記録)⇒見出した事実や評価判定の内容など、後で報告書に記入する際に必要となる情報を詳しくメモする。
- e) 評価の技術(監査基準と監査証拠の照合)⇒見出した事実を監査基準に照合し、監査と並行して評価し、論理的に判定する。
- f) 報告の技術(監査所見は論理的に根拠と結果を明確に)⇒5W1Hで誰が読んでもわかりやすく、理解しやすく、要点を完結に記述する。
以上のような6つの技術です。
監査の基礎技術の内容
a)観察の技術
観察の技術とは、マネジメントシステムの活動状況を現場で的確に把握するために、まずはプロセスの成果を含む実施状況のばらつきに着目します。
- 製品、又はサービスの性質や出来栄えの差が大きい
- 作業現場で使用している書式・記録の書き方、又は作業の手順が人によって異なっている
- 作業員によって力量のレベルの差が大きい
- 収集記録しているデータの異常値、又はデータの推移の変動が大きい。
- 現場を監査する際は、貼ってある文書・写真、使用されている計測器、道具や工具の整頓状態に着目し、また作業がどのように行われているかじっくり観察する
b)サンプリングの技術
監査ではサンプルで評価を行いますので、監査対象の活動状況のすべてを監査するのではないので、サンプリングの技術とは、母集団の代表となるサンプルを選ぶ技術なのです。
- 監査員が自ら選定する。
- 母集団の代表的なものである。
- 受注台帳などの事前情報から選定しておく。
- 監査時点で選定する場合にはランダムにする。
- 少なくとも3つは選定する。
不適合のサンプルだった場合には、サンプルの評価結果で母集団の評価を推定することになりますので、その母集団に同じ不適合が含まれていないかの確認が必要になります。
c)質問の技術
質問の技術とは、事前に準備したチェックリストや観察した結果、さらに面談者の回答をもとに行う質問の技術です。脈絡のない思いつきの質問は監査が散漫になりますので注意が必要なのです。
チェックリストは、監査員が問題意識をもってその都度個別に作成します。組織で作成したものを使うことがありますが、これだけでは不十分です。
監査員の質問力が監査の質に大きく影響します。また質問するときは、じっくりと5W1Hのどれかで質問をします。できるだけ現場の日常的な言葉で話し、相手の話をしっかりとヒアリングすることでより効果的な監査が行えます。
論理的に脈絡のはっきりした質問を規格条項の相互関係も考慮して、することが大切です。質問は多くの情報を収集できるように、Q&Aの形をとります。
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