QCサークル活動は時代遅れ?形骸化する原因と適切に進めるポイントを解説
- QCサークルとは、品質管理のための小規模集団による活動のこと
- QCサークル活動の形骸化は行き過ぎた義務感やノルマなどが原因
製造業では、自社の商品の品質維持や向上のために少人数で品質管理の取り組みを実施するQCサークル活動が多く実施されていました。
日本製の品質向上に貢献した活動ではありますが、現在では「時代遅れ」の活動として衰退の傾向にあるといわれています。
そこで、QCサークルの概要や時代遅れといわれている原因、適切な進め方について解説します。最後に、より有効な品質管理体制を構築する方法についても紹介します。
目次
QCサークルとは
QCサークルとは、製造業などにおける品質管理(Quality Control)のために活動する小規模なグループのことです。
QCサークル活動(小集団改善活動)はアメリカで生まれた手法で、日本ビジネス独自の内容に改良されたことにより、さまざまな企業が実施しています。これまで日本の品質向上に貢献したことで注目されてきました。
QCサークル活動は時代遅れといわれる理由
最近では、QCサークル活動は衰退の傾向にあります。ここでは、その理由として考えられている3つの原因を解説します。
慣習として形骸化している
QCサークル活動をはじめたころは有意義に進められていた活動も、時が経つにつれ、惰性で継続しているだけになっている場合があります。品質改善という目的のために行っていたはずが、次第に「活動していると見せるための活動」になってしまうのです。
成果の出ないQCサークル活動によって時間が浪費されていくと、本来の業務にも影響を及ぼします。活動により本来の業務がストップすることで、従業員が業務に集中しにくい環境になってしまうのです。
そうすると、従業員はQCサークル活動に費やす時間をムダな時間と捉えてしまい、形骸化が進みます。
義務感から残業が助長されやすい
トップマネジメント層からの干渉が激しい場合やノルマが課されている場合、達成しなければならない義務になります。そうすると、従業員の自主性が損なわれるとともに、ノルマを達成するために残業しなければならなくなる可能性があります。
コミュニケーションの活発化によるアイデアの創出や働き方改革が推進される現代の流れに逆行するため、時代遅れになりやすいのです。
効果が実感できない
QCサークル活動に十分なリソースの支援がない場合には、効果が実感できない場合があります。そうすると、「やってもどうせ意味がないし…」とモチベーションが低下してしまう可能性があります。
特に、短期間で問題を解決しようと急いで実施すると、問題の要因解明や改善策の立案から効果測定までを十分に行えないため、効果が得られないことが多いでしょう。
現代では非効率的な活動を低減することが企業の課題になっているため、効果が得られないと時代遅れに思われてしまうのです。
適切なQCサークルの進め方・ポイント
こうした状況にならないために、QCサークルの正しい進め方とポイントを確認しましょう。
QCサークルの進め方
QCサークルを正しく進めるためには、以下の5つの工程を踏む必要があります。
1. グループの結成
2. テーマと目標の決定
3. テーマに適したQCストーリーの選定
4. 対策の実行
5. 効果測定
小規模なメンバーでグループをつくり、QCサークル活動のテーマを選び、問題解決のための対策に取り組みます。対策後には、効果測定を実施し、目標の達成率を分析します。
これらの工程の詳細は、以下の記事をご覧ください。
次にQCサークル活動を行うポイントを解説します。
経営層の適切な支援
経営層やマネジメント層が適切な支援をすることが大切です。
品質向上は会社全体の問題ではあるものの、QCサークル活動が形骸化している企業の多くはトップマネジメントが無関心もしくは過干渉なことが挙げられます。
報告に目を通し、結果だけを見るのではなく品質向上にいたった過程についても把握しましょう。過程まで理解することで、適切な支援の仕方が見えてきます。また、自分たちの活動が経営層に認められることは従業員たちのモチベーションにも大きく影響します。
経営目標とリンクさせる
QCサークル活動は、製造現場における問題点を議論し、改善していく活動です。それぞれのグループが自由に目標を立てることで自主性は尊重されますが、会社の方針と異なっていると企業全体にとってはプラスにならない可能性があります。
そのため、自社の経営目標を定め、品質改善の方針や目標に落とし込み、QCサークル活動のテーマ選びの際の方針として周知しましょう。自分たちの活動が直接経営に紐づいていると感じられると、サークル活動に意義を感じられて従業員のモチベーション向上につながります。
品質管理の体制をより強化したいならISO9001の取得を
QCサークルがうまくいかないという企業や、より強固な品質管理体制を構築したい企業には、ISO
9001の取得を検討してみることがおすすめです。
ISO9001とは
ISO9001
とは、自社の製品・サービスの品質向上を目指す品質マネジメントシステム
に関する国際規格
です。品質管理の体制づくりのフレームワークとして活用できるため、ISO9001を取得することで取得範囲内を統一した合理的な仕組みで管理できるようになります。
また、取得したら品質マネジメントシステムが完成するのではなく、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善を目指しています。そのため、形骸化せずに自社に適したマネジメントシステムを運用できるのです。
ISO9001は知名度が高く、日本国内だけでなく世界においてもISO規格の中で最も取得数が多い規格です。そのため、取得することにより自社の品質管理の体制を取引先や消費者にアピールできます。
ISO9001の詳細は以下の記事をご覧ください。
ISO9001の導入実績
大丸鐵興株式会社
大丸鐵興株式会社は、1967年に創業した金属加工業の会社です。鉄鋼商社から製造業に転換し、現在では非常用給水タンクの開発や製造を手掛けています。
ISO9001の取得にいたった理由は、取引先からの要求と、業務転換により品質面での責任を果たす必要性を感じたためです。
取得により、部署ごとで異なった書類や作業内容が統一され、全従業員が作業全体の流れを把握しやすい環境づくりが実現。不良品が出た場合の情報共有がスムーズにできるようになったことで、全社的な品質管理できるようになりました。
大丸鐵興株式会社の取得事例の詳細は以下の記事をご覧ください。
株式会社シーエンジ
株式会社シーエンジは2000年に創業した製造業の会社です。独自の特許技術でクッション材を開発し、国内販売や海外8か国でライセンス生産を行っています。
ISO9001の取得にいたった理由は、ベトナムへの製品輸出にあたり、ISO9001の取得が必要だったためです。
取得により、ベトナムとの取引が進展したとともに、社内においても部署間を越えた協力が実現し、品質の高い製品を作り続ける仕組みが実現しました。
株式会社シーエンジの取得事例の詳細は以下の記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、QCサークルの概要や衰退の原因、有効な進め方について解説しました。
日本の品質向上に貢献したQCサークルではありますが、最近では形骸化が進み、衰退の傾向にあります。有効な品質管理活動として進めていくためには、経営層やマネジメント層の適切な支援のもと、社員の自主的な取り組みが欠かせません。
QCサークルの有効性が保てない場合には、事業体制の強化を目指してISO9001の取得を検討しましょう。
ISOプロでは月額4万円から御社に合わせたISO運用を実施中
ISOプロではISO各種の認証取得から運用まで幅広くサポートしております。
また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に認証を取得しているお客様においてもご提案しております。
サポート料金においても新プランを用意し、業界最安級の月額4万円からご利用いただけます。
こんな方に読んでほしい