近年、国内外を問わず多様な原産地の食品が、様々な工程を経て加工食品となり、私たちの食卓を豊かに彩っています。

私たちが販売されている食品を口にする際、何かしらの不安を覚えることは少ないかと思いますが、これらの食品はその加工の段階で細菌や薬品などに汚染される危険もあります。

実際、加工食品による食中毒や異物混入は、毎年のように全国で発生しているのです。

こういった食品汚染を防ぎ、食の安全性を維持するために「HACCP」という制度が生まれました。

HACCPは、食品製造業者が行う衛生管理方法についての制度ですが、ここでは、HACCPがどのようなものなのか、目的や導入方法などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

HACCP(ハサップ)とは

HACCPとは、1970年代にアメリカで生まれた、食品の安全を維持する管理方法のことをいいます。

食品を製造・加工する工程で予想される種々の危険を分析し、その危険を回避するためにどのように管理すれば最も効率的かを示し、食品の管理方法を形式化したものです。

例えば、ハンバーグを製造する際に最も汚染が起こりやすいのは、内部まで十分な加熱が行われないことで、大腸菌などの食中毒を引き起こす病原体が死滅しない場合です。HACCPでは、中心温度を何度まで加熱すれば病原菌が死滅するのかを分析し、すべての製造品に同様の加熱を加えることを徹底することで、安全を管理しています。

要するにHACCPは、危険の予測とそれを回避するための管理方法を、全ての製造工程に応用することによって、食品の安全管理は適切に維持できるという考え方なのです。

HACCPの考え方は当初、アポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するために考案された管理方法でした。その後、先進国を中心に全般的な食品に適応が広まっていったわけです。

現在では、HACCPの導入を義務化する国もあり、日本から義務化した国へ食品を輸出する際にはHACCPに基づく安全管理を行わなくてはなりません。もはや、海外との食品取引を行う際に必須となりつつあるのが現状なのです。

日本では、現時点でHACCPを導入している食品製造業者はまだ少数ですが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目途に国際的な基準に合ったHACCPの義務化を目指しています。

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日本の食品製造業における導入率は?

平成28年度までにHACCPを導入した食品製造業者は三割弱であり、年々その数は増加しています。また、年間販売金額100億円以上の大企業に関しては、その8割以上がHACCPを導入しており、1億円未満の企業の導入率は2割以下です。

規模が小さい業者ほどHACCPの考え方自体を知らないというデータもあり、HACCPの導入には業者の規模が大きく関わっているのが現状でもあります。

HACCP制度化の目的は?

現段階では、HACCPの導入は各食品製造業者の判断に任されていますが、平成30年度の国会で、HACCPを制度化する食品衛生法改正案が提出される予定です。

日本は超高齢化社会を迎え、わずかな食品汚染でも大規模な食中毒事件に発展する可能性があります。そのため、国際社会の中で食品分野の取引をする際には、HACCP導入が必須となりつつある状況にあるのです。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国内外に日本の国際基準に合致した食品衛生基準を示す必要があることから、HACCP制度化へ向けた法改正が取り組まれることとなりました。

制度化の対象はすべての食品製造業者であり、衛生管理の定着と安全性の維持を目的としています。

これまでHACCPの導入率が悪かった中小規模の業者に対しても、国や業界団体などが導入支援や適切な助言・指導を行うことで、食品製造業界が一体となって食品の安全性を守ることが期待されるのです。

また、各業者が衛生管理の方法を文書化することで取組や課題を明確にして、更なる衛生管理の向上につなげていくことも目的とされています。

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制度導入に向けて必要な準備は?

HACCPを導入するには、人員や物資など、様々なものが必要になります。

第一に整えなければならない体制は、HACCPを行うためのチームを作ることです。HACCPに関する知識を持つ人材がいない場合は、外部から専門家を招いたり、地域で行われる講習会に参加したりして、知識を持つ人をチームに入れなくてはなりません。

そして、製造する商品の安全についての特徴を示した製品説明書を作成し、製造にはどのような工程があるのか、各工程でどのような危険があるのか、危険への対策などを盛り込んだ計画書の作成が必要です。

また、HACCPは計画書の手順通りに管理が行われているかを厳密に記録する必要があります。その中で、安全管理に対する問題点が露見した際には、その問題点に対する改善策を見出し、計画書の変更を行っていきます。

そのため、どのような方法で安全管理のチェックを行うかについても事前に決めておかなければなりません。

このように、HACCPは自社の製品や安全管理の専門知識を持った人材、安全管理を適切に行っていくための資料など、様々な物資が必要です。特に小規模な製造業者の場合、すべてを揃えるのは難しく、これが導入率の低さにつながっていると考えられています。

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